2021年09月09日公開
2021年09月09日更新
「カエンタケ」の症状や毒性とは?触るだけでも危険な毒キノコ【分布画像】
本記事は、日本最強クラスの毒性を持つ「カエンタケ」についてまとめています。カエンタケの持つ毒性や摂取した際に出る様々な症状などを紹介し、カエンタケの持つ毒性の危険性や恐ろしい症状などを伝えられたらと思い、本記事を執筆させていただきました。
目次
日本最強クラスの毒性を持つキノコ「カエンタケ」とは
日本最強クラスの毒性で猛威を振るう「カエンタケ」。今回は大量発生も心配されるカエンタケの特徴や分布領域、成分や症状などカエンタケに関する様々を情報を画像を交えてまとめていきたいと思います。
触っただけでも危険!
カエンタケとは、触っただけでも危険とされる猛毒キノコの一種です(上記の画像)。色はオレンジ色~赤色で、一般的な大きさは3センチ~15センチ。中は白く、硬いそうです。
赤色以外のカエンノタケも…
まれに白いカエンタケも報告されており、乾燥の時期になると、少し黒ずんだ赤紫色になるようです。
形状は人間の指のような形をしており、その見た目のインパクトから気づくのは簡単ですが、もし万が一食べてしまうと死亡する危険があるほどの恐ろしいキノコです。
致死量はわずか3グラム。一口食べて死亡した方もいるそうです。
日本では中毒事例が6例報告され、計10名の中毒患者が出ており、うち2名が死亡しています。興味本位で食べたり、触ってみたりしないようにしましょう。純粋に危険です。
日本最強クラスの毒性を持つカエンタケの名前の由来
カエンタケは、漢字で「火炎茸・火焔茸」と書きます。画像と漢字を見ていただくと分かると思いますが、形が火炎のように見えるからカエンタケと名付けられたようです。
見た目からやばいなと感じさせる色と形状をしており、人間の指にも見える(擬人化)不思議なキノコと言えます。
日本最強クラスの毒性を持つカエンタケの分布
カエンタケは古くから生息が確認されているようで、江戸時代の植物図鑑『本草図譜』に「大毒ありといへり」と言う記述があるようです。
詳しい分布ですがwikipediaによりますと、日本・中国・ジャワ島などに分布しているようです。また、コスタリカなどの中央アメリカでは近縁種もしくは同一種が分布しているようです。一点に大量生殖していることもあります。
日本最強クラスの毒性を持つカエンタケの成分
カエンタケにはカビの毒成分として知られるトリコテセン類のベルカリンやロリジンE、またサトラトキシンHやそのエステル類の計6種類が検出されているそうです。
カエンタケに含まれるこれらの有毒成分は非常に毒性が強く、誤って食べてしまうと大体30分ほどで消化器系に症状があらわれ、最悪の場合は前述したように死亡することもあるため厳重な注意が必要です。
また、これらの成分には皮膚を刺激する特性があるため、手に取るだけでも皮膚炎を起こす可能性があり、むやみやたらと触ってはいけません。
軍手などの手袋をつけていたとしても、その手袋に毒素が染みつきそこから感染、皮膚炎を引き起こすことも十分に考えられるため、なるべく触らないようにしましょう。
日本もカエンタケの分布領域内ですので、注意が必要です。
日本最強クラスの毒性を持つカエンタケの類似種
カエンタケの類似種には、ツノタケとエゾシロボウスタケ、ベニナギナタタケがあるようです。
ツノタケはクリーム色~淡黄褐色をしており、エゾシロボウスタケはより大きな形で全体が灰白色をしているそうです。
ベニナギナタタケ(右)
ツノタケ
エゾシロボウスタケ
いくつかの中毒例では、食用キノコのベニナギナタタケ(上の画像参照)や冬虫夏草と誤って摂取してしまったという事例があるようです。
細くて柔らかくほとんど無味なベニナギナタタケに対し、カエンタケは肉質が硬く苦みがあるそうです。
冬虫夏草は、地下で昆虫などの虫体や地下生の子嚢菌の実体と連結するようで、地中部まで丁寧に彫り上げれば誤認することが少ないようです。
カエンタケに詳しい橋本貴美子准教授によると
カエンタケに詳しい京都薬科大学の橋本貴美子准教授によると、
カエンタケを摂取してしまうと全身が炎症(皮膚炎)をおこし、汁に触れただけで皮膚がただれてしまうようです。不用意に近づいたり、触ってみたりするのは本当に危険なようですね。
橋本貴美子さんの話を聞くとカエンタケの危険性がよく分かります。カエンタケについて調べていると毎日新聞の橋本貴美子先生の記事に行き着きますので、興味があればぜひご一読下さい。
このようにカエンタケを触ってみたり食べたりすると、その猛毒により身体に様々な症状があらわれる(最悪死亡してしまうこともある)ようですが、どのような症状が現れるのかを以下にまとめていきたいと思います。
カエンタケの猛毒による多彩な症状
カエンタケは最強クラスの猛毒を持つキノコです。橋本貴美子先生の情報を参考にしつつ、症状について詳しく調べてみると、身体の様々な部分に影響が出るそうで、どれも酷い症状ばかりです。
以下にまとめましたので、ご自身のためにもぜひご一読ください。
カエンタケの猛毒による症状①:腹痛・下痢・嘔吐・めまい・手足のしびれ
橋本貴美子先生によると、カエンタケを食べてしまうと、まず消化器官がやられてしまうようです。食後30分前後から、発熱と悪寒を伴う酷い腹痛、下痢、嘔吐の症状に見舞われます。その後は、めまいや手足のしびれが起きるそうです。
カエンタケの猛毒による症状②:呼吸困難・白血球の破壊・血小板の減少
橋本貴美子先生によると、消化器官に症状が現れた後、続いては呼吸困難に見舞われます。また、白血球が破壊されてしまい、血小板も減少してしまうそうです。カエンタケの猛毒だと摂取後2、3日で死に至ると言われています。
カエンタケの猛毒による症状③:全身にわたる皮膚炎、多機能不全
橋本貴美子先生によると、症状が進行すると、全身の皮膚が皮膚炎を起こしたリ粘膜がただれてきたりします。それだけではなく、呼吸器不全や肝不全、腎不全といった内臓の機能が低下し、最悪の場合は死に至ります。そうならなかったとしてもこれらの症状が1か月ほど続くようで、当事者として拷問のような症状であると言えます。
カエンタケの猛毒による症状④(後遺症):脱毛、脱皮、小脳の委縮、運動障害
カエンタケを摂取し、一命をとりとめ回復したとしても、その後に後遺症が残ることが多いようです。一度の誤食から死亡してしまう、または人生を奪われる可能性があります。カエンタケに似た形のキノコには近づかないようにしましょう。また、中途半端な知識で生えているキノコを食べようとするのは危険ですので、今すぐやめましょう。
カエンタケは触ってみただけでも症状が・・・
ブナ科の樹木が多くある地域に注意!
ブナ科の樹木が多くある地域に大量発生する傾向があるカエンタケ。そんなカエンタケを不用意に触ってみたりすると、その触ってみた部分が皮膚炎を起こしてしまいます。カエンタケの毒成分には皮膚を刺激する特性があるため、触ってみただけでも皮膚炎を起こしてしまうのです。
カエンタケ大量発生
カエンタケは初夏~秋にかけて大量発生するようです(上記の画像のように)。分布領域内の広葉樹であるブナ・コナラなどのナラの木が枯れていく際に、根本やその倒木から増殖を繰り返し大量発生につながるようです。日本国内では、カシノナガキクイムシという体調5ミリほどしかない昆虫がブナ科の樹木に「ナラ菌」を持ち込み、枯死させる「ナラ枯れ」がカエンタケの発生・増殖を促しているようです。この「ナラ枯れ」に感染した樹木は木の葉が茶色く変色し、幹の部分はもろく折れやすくなります。その折れた倒木や腐った樹木の幹にカエンタケが繁殖するというわけです。このカエンタケ大量発生には、コナラの老木が増加したことが背景にあるようです。昔は薪や炭の材料として利用されていたコナラですが、その需要が減少し、放置、それにより老木が大量に残ってしまったのです。
毒性の強いカエンタケを誤食・接触してしまったら
赤色で形状が人の指のようなキノコを食べた場合、そのキノコから苦みを感じたらそれは高い確率でカエンタケです。何度も言っていますが、最悪死亡する可能性もあります。もし万が一、カエンタケを誤食した場合、少しでも早く吐かせるようにしましょう。ぬるま湯を飲ませたり、のどに指を突っ込むなどして、胃の中のものを全て出すつもりで複数回繰り返し行いましょう。
カエンタケに誤って接触してしまった場合は、石けん等を使用して十分に洗い流すようにしてください。誤って食べてしまった場合と異なり、触ってから4、5時間経過していても効果が期待できます。山の中などの石けんなどがない場所でカエンタケに触れてしまった場合、もしくは触れてしまったかもしれない場合は、すぐさま下山するなどして洗浄することを優先事項に行動していきましょう。放っておくと、カエンタケの毒成分が触れたところが皮膚炎を起こしただれてくるので、そのままには絶対にしないでください。
子供やペットなどは特に注意が必要!
カエンタケが大量発生する場所は、ブナ科の樹木が多い地域です。子供やペットと共にそういう地域に行く際は、目を離さないように気をつけましょう。カエンタケが生えてくるのは、樹木の根部分などの低い場所であることが多いので、子供やペットが誤って食べてしまったり、触れてしまって皮膚炎を起こしたり、最悪の場合で死亡する危険性も十分に考えられます。特に好奇心の強い小さなお子さんは、カエンタケの独特な形状(上記した画像参照)に興味をもって触ってしまうことも考えられるので特に注意が必要です。
猛毒キノコ「カエンタケ」には気をつけよう!
日本最強クラスの猛毒を持つカエンタケについてまとめていきましたが、どうでしたか。その危険性や特徴、分布領域、成分、その他注意点などが本記事&画像から伝われば幸いです。自分の身を守るためにも、カエンタケらしきキノコには近づかない・食べないを徹底しましょう!大量発生しがちなブナ木の樹木の近くに行く際は、カエンタケのことを頭に入れといてくださいね。