2021年08月02日公開
2021年08月02日更新
世界初「顔面移植」をしたディノワールさん手術後10年で死亡。患者たちの今
世界初の顔面移植手術を成功させたイザベル・ディノワールさんが亡くなってしまいました。イザベル・ディノワールさんが亡くなったのは顔面移植手術を受けた10年後の事です。この他にも世界には顔面移植手術を受けた人はいます。その人達のエピソードをご紹介します。
目次
世界初「顔面移植」をしたイザベル・ディノワール
2005年に世界初の顔面移植手術を成功させたフランスのイザベル・ディノワールさん(享年49歳)が2016年4月に亡くなったことを、2016年10月にイザベル・ディノワールさんが通っていた病院から発表されました。
顔面移植手術を受けたイザベル・ディノワール
イザベル・ディノワールさんは顔面移植手術を受けた後、拒絶反応を抑える薬を服用していましたがその副作用が原因で2種類の癌を併発してしまい亡くなったとのことです。イザベル・ディノワールさんが死亡した直後に発表されなかった理由は遺族のプライバシーを考慮したためとのことです。
顔面移植をしたイザベル・ディノワールの経緯
イザベル・ディノワールさんが顔面移植手術を受けるきっかけとなったのはある事故でした。2005年にフランスに住んでいたイザベル・ディノワールさんは2005年5月に睡眠薬を過剰摂取してしまい自宅のプールで昏倒してしまいました。
その後意識を取り戻したイザベル・ディノワールさんは鼻・唇・あごが顔面から食いちぎられていました。それはイザベル・ディノワールさんのペットのラブラドールレトリバーが意識を失ったイザベル・ディノワールさんの目を覚まそうとした結果してしまった事故でした。当時のイザベル・ディノワールさんの怪我は修復するのが不可能なほどに酷い物でした。
同年の12月にイザベル・ディノワールさんは自殺者をドナーとして当時世界初の顔面移植手術を行いました。イザベル・ディノワールさんはドナーの自殺者から事故で失った鼻・唇・あごをさせて数か月のリハビリを受けた後に手術を成功させました。
結果的にイザベル・ディノワールさんは術後の拒絶反応を抑えるための免疫抑制薬を服用していて、その10年後に亡くなってしまいました。しかしイザベル・ディノワールさんが世界初の顔面移植手術を成功させたことにより世界中の似た様な悩みを抱えている人達が顔面移植手術を受けて救われる結果となりました。
世界仰天ニュースで紹介された顔面移植手術
世界初の顔面移植手術を成功させたのはイザベル・ディノワールさんですが、これまでに「世界仰天ニュース」で放送された顔面移植手術を受けた人達が2人いますのでご紹介します。
世界仰天ニュースのヨアンナ
ヨアンナさんは1984年にポーランドに生まれました。ヨアンナさんは生まれた頃から左のまぶたが腫れ続けるという障害を持っていました。ヨアンナさんが成長するにつれて腫れがどんどん大きくなり、やがてそれが「レックリングハウゼン病」という褐色のアザが至る場所に出来てしまう病気だと分かりました。
レックリングハウゼン病は日本でも4万人の患者がいて、全国民の3分の1がかかっていると言われていますが大抵の人は生活に支障の無い程度なのでヨアンナさんの様なケースはごく稀です。
ヨアンナさんは13歳の時に初めて腫瘍摘出手術を受けました。しかしそれは表面の腫瘍を摘出するだけなので時間が経てばまた新たな腫瘍が出来てしまいます。その後28歳までに35回も手術を受けましたが一向に改善されず、むしろ酷くなるばかりでした。
その後2013年にポーランドで顔面移植手術を成功させた情報を知ったヨアンナさんは自分も顔面移植手術を受けることを決意しました。その半年後の2013年12月4日にヨアンナさんは19歳のドナーが見つかり23時間にも渡る手術を受けました。
ヨアンナさんの手術は成功し、その後額・目・鼻などの手術を8回受けた後に綺麗な顔を手に入れました。ヨアンナさんは手術から3年経過した後でも皮膚に腫瘍は出て来ていません。
世界仰天ニュースのリチャード・ノリス
リチャード・ノリスさんは1997年に自宅でショットガンを暴発させてしまい自身の鼻、頬骨、唇、舌、歯、顎が吹き飛んでしまいました。リチャード・ノリスさんは幸い命はあったものの自分の醜い顔を恥じて人気の無い山奥で両親と共に暮らしていました。
その後10年後にリチャード・ノリスさんは顔面再建外科医と出会い顔面移植手術を受けることを決意しました。リチャード・ノリスさんは2012年3月19日に事故死した21歳の男性のドナーのおかげで顔面移植手術を開始しました。
リチャード・ノリスさんの顔面移植手術は頭皮から首までの全ての顔の組織を移植する大手術で、36時間・合計36回に渡る手術の後に綺麗な顔を手に入れることが出来ました。
その他顔面移植手術の経験者
ダラス・ウィーンズ
ダラス・ウィーンズさんは2008年に高圧線に接触したせいで顔面の大部分を失うほどのやけどを負いました。ダラス・ウィーンズさんは鼻と唇の皮膚、筋肉、神経を移植する手術を受けてました。そしてダラス・ウィーンズさんは30名の医師による15時間かかった手術の後に顔面移植手術を成功させました。
太田哲也
太田哲也さんは元プロレーサーです。1998年5月3日にレースの最中に大事故に巻き込まれて全身に大火傷を負ってしまいました。ぎりぎり命は取り留めた太田哲也さんでしたが、その後顔の皮膚が定着せずに眉毛と鼻が無い自分の顔を見た時に衝撃を受けました。
その後の太田哲也さんは生きた心地のしない生活が続きましたが支えてくれた家族や同悩みを持つ同室の患者たちによって勇気を取り戻しました。その後太田哲也さんは何度も皮膚の手術とリハビリを重ねて顔を取り戻し2000年11月21日には再びレーサーとして復帰しています。
チャルラ・ナッシュ
チャルラ・ナッシュさんは2009年2月に友人が飼っていたチンパンジーに顔をむしられたせいで顔面を大きく損傷してしまいました。チャルラ・ナッシュさんが友人宅に遊びに行った時にペットのチンパンジー(トラヴィス)が急にチャルラ・ナッシュさんを襲い続け12分間も続いたと言います。
チンパンジーの行為に気づいた友人は警察に通報しチンパンジーを射殺しました。しかしチャルラ・ナッシュさんの顔は無残にかきむしられ上あご、鼻、歯、指を大きく損傷してしまいました。
その後チャルラ・ナッシュさんは顔面移植手術で有名なハーバード大学医学部のブリガムアンウィメンズホスピタルにて手術を受けました。
イザベル・ディノワールの顔面移植手術とその後：まとめ
結果的にイザベル・ディノワールさんは亡くなってしまいましたが、世界初の顔面移植手術を成功させた功績は計り知れないものと言えます。。これを機により精度の高い手術や免疫抑制剤が開発されることを祈ります。イザベル・ディノワールさんのご冥福をお祈り申し上げます。