アララト山でノアの方舟(箱舟)が発見される!その真相とは?

現在でもその実在が議論されているノアの方舟。旧約聖書に登場し、大洪水から救ったとされる船ですが、近年トルコとアルメニアの国境付近にあるアララト山でノアの方舟を発見したと発表されました。アララト山では度々あがる発見報告ですが、本当に方舟は実在したのでしょうか。

アララト山でノアの方舟(箱舟)が発見される!その真相とは?のイメージ

目次

  1. 1ノアの方舟とアララト山の伝説
  2. 2ノアの方舟の残骸がアララト山で発見された?
  3. 3アララト山を巡るトルコとアルメニアの歴史
  4. 4ノアの方舟はアララト山付近で幾度も発見されている
  5. 5アララト山付近で見つかった最も有力視されているノアの方舟
  6. 6アララト山のノアの方舟発見の経緯
  7. 7アララト山のノアの方舟は旧約聖書と同じ設計だった?
  8. 8ノアの方舟には何が乗っていたのか
  9. 9大洪水は本当に起こったのか?世界各地に残る証拠とは
  10. 10アララト山のノアの方舟の発見に懐疑的な主張
  11. 11世界各地に残るノアの方舟と同様の伝説
  12. 12アルメニアに現存する世界最古の教会
  13. 13アメリカにある実物大のノアの方舟
  14. 14まとめ:ノアの方舟伝説は人類への戒めなのか

ノアの方舟とアララト山の伝説

出典: http://www.gibe-on.info

キリスト教の正典である「旧約聖書」にノアの方舟は記されています。
ノアの方舟とは、キリスト教における神の子供であるノアが、家族と動物たちを大洪水から逃がすために作った直方体型の船です。その形状から「箱舟」(箱型の舟)と呼ばれます。
英語では「Noah's Ark」と表記され、大洪水の後、アララト山付近に流れ着いたといわれています。
しかし、ノアの方舟は今もなお本当に実在したのか、トルコやアルメニアを中心として世界中で調査・検証が行われています。

大小2つのアララト山

大アララトと小アララト
アララト山は、大アララトと小アララトの二つの山でできています。

ノアの方舟の残骸がアララト山で発見された?

出典: https://nappi10.wordpress.com

ノアの方舟の一部と見られる木片
2010年4月27日、トルコのアララト山に調査に入った中国とトルコの探検家チームは、山頂近くでノアの方舟の木片を発見したと発表しました。
アララト山の山頂に近いおよそ3700mの地点に、古い教会のような構造物があり、その場所に木造の空間が複数あったそうです。
探検チームに参加した楊永祥(Yeung Wing-cheung)氏は、「99.9%ノアの箱舟だと確信している」と主張しています。
また、写真の木片の年代を測定したところ、船が作られたとされる紀元前2000年前のものであると確認したとも報告されています。
しかしこの発見は後に、木片は山に持ち込まれたものという証言などがあり捏造だと結論付けられています。

アララト山を巡るトルコとアルメニアの歴史

出典: http://hattorimichitaka.blog.jp

アルメニアの国章
アララト山は現在はトルコ共和国の領土で観光地としても有名ですが、山の麓は古くからアルメニア人が居住してきた地域です。
後にオスマン帝国が侵攻してきた際にトルコ人とも共に暮らすことになりましたが、第一次世界大戦中にアルメニア人は強制移住させられます。
そして1920年以降はトルコの革命軍によってアララト山一帯は占領され、トルコ領となったのです。
独立したアルメニア共和国は今でもアララト山は自国のシンボルだと主張し、国章にも山の絵があしらわれています。
トルコとアルメニアは今も領土問題で対立しているとされています。

ノアの方舟はアララト山付近で幾度も発見されている

出典: http://blog.livedoor.jp

ノアの方舟とされる写真
登山者の観光スポットになっています。
1959年にも別の地点でノアの方舟は発見されており、場所はトルコ東部の町ドゥバヤジットに近い山の斜面です。そこはアララト山からもほど近い場所になります。
いかがでしょうか。船の形にも見えそうですね。
トルコ空軍が大型の舟のような地形を写真に収め、1960年から本格的な調査が始まりました。

アララト山付近で見つかった最も有力視されているノアの方舟


他の写真も紹介します。
以降の記事は、この写真で紹介している残骸をノアの方舟として説明していきます。

出典: https://www.trekearth.com


ノアの方舟だと発表されてからは観光客が絶えず訪れました。

出典: http://www.viewzone.com

山の自然な風景にも見えますが、人工物のような規則正しさもあります。
写真のDの位置が船首で、船尾にかけて左右対称になっているのが分かります。
AやBの場所では船の肋材と考えられる作りが確認されました。
その形状から自然にできたとは考えにくく、人工物であるという見方が強いです。

アララト山のノアの方舟発見の経緯

出典: http://wyattmuseum.com

調査に当たったロン・ワイアット氏
1960年に米国の調査団は、たった1日半の調査で「これは自然にできた地形だ」と結論を出しました。
しかし、調査団の1人のロン・ワイアット氏はもっと調べる必要があるとして、その場所を何年もかけて24回に及ぶ詳細な調査を実施しました。
調査結果によると、箱舟の遺跡のサイズは聖書に書かれている寸法とほぼ一致していることが確認されました。
また、地中レーダーによって内部に船の竜骨と思われる木造構造も見つかったそうです。
さらに遺跡周辺からは碇とみられる石製のパーツや船の金属部品、動物の化石なども発見されました。
以上のことから、この発見が本物のノアの方舟であり確かに実在したと信じる人は多く、この場所はトルコ政府も「ノアの方舟国立公園」に指定しています。

ノアの方舟の発見についての講演会の動画

ニュージーランドの考古学研究家、ロス・パターソン氏の講演の様子です。
科学的な調査結果についても解説されており、興味深い内容です。

アララト山のノアの方舟は旧約聖書と同じ設計だった?

出典: https://ameblo.jp

ノアの方舟の予想図
旧約聖書には、ノアの方舟の設計について書かれている箇所があります。
創世記6章を引用すると、


6:15 その造り方は次のとおりである。すなわち箱舟の長さは三百キュビト、幅は五十キュビト、高さは三十キュビトとし、 6:16 箱舟に屋根を造り、上へ一キュビトにそれを仕上げ、また箱舟の戸口をその横に設けて、一階と二階と三階のある箱舟を造りなさい。

要約すると、長さ300キュビト、幅50キュビト、高さ30キュビトにし、箱舟に屋根を作って1キュビトに仕上げ、扉は横に設けて3階建てに作りなさいということです。
キュビトというのは古代に使われていた長さの単位で、1キュビト=52.4cmです。
ただし、キュビトは世界に数多くあり、当時標準だったエジプトキュビトの長さになります。
そして問題の残骸の長さを図ると157.1mであり、
 157.1m ≒ 300キュビト
となるのです。ノアの方舟だと考えるのもうなずけます。

ノアの方舟には何が乗っていたのか

ノアの方舟は、現在の大型タンカーと同程度のサイズの船であると考えられています。
この大型の箱舟には何が乗っていたのでしょうか。
そのヒントはやはり聖書に書かれています。
再び創世記6章から引用します。


6:18 (略)あなた(ノア)は子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。 6:19 またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二つずつを箱舟に入れて、あなたと共にその命を保たせなさい。それらは雄と雌とでなければならない。

箱舟に乗ったのは、ノアとその家族、そして全ての生き物を雄雌2匹ずつと書かれています。
一説によると、ノア一家8人と、8000種16000匹もの生き物が船に乗り込んだとされています。
それほど乗れるのかと思いますが、船の寸法と動物のサイズを見積もると十分に乗れる数だそうです。

大洪水は本当に起こったのか?世界各地に残る証拠とは

出典: http://blog.livedoor.jp

はたして聖書にある通り、大洪水は起こったのでしょうか。
聖書に記述によるとすべての山々は水に覆われたとあり、大洪水の規模は地球全域を指していると考える人たちもいます。
また、ノアの家族の箱舟での生活は1年以上続いたのち、ようやく水が引いて船から出たとも書かれています。
地球規模の大洪水があったとすると、その痕跡は各地に残っているはずでしょう。

出典: http://www.wilderness.net

グランドキャニオンの地層
アメリカにあるグランドキャニオンの広大な渓谷を見ると、全域に渡って水平な地層が広がっていることがわかります。
創世記を支持している人たちの中には、グランドキャニオンは何億年もかかって形成されたのではないと考える人もいます。
この地層は地球規模の大洪水によって短い期間に土砂が堆積したため、水平な地層になったという見方をしています。

クラゲの化石
クラゲは体の大部分が水分で構成されています。
にもかかわらず化石となったのは、非常に短期間に泥で埋まり、バクテリアによる分解の影響がなかったと考えられるのです。


シダ植物の葉の化石
シダ植物は葉が落ちるとすぐにしおれてしまいます。また、あまり時間がかからず分解されて形は残りません。
このように葉の一枚一枚までくっきりと残っているということは、大洪水によってあっという間に泥に埋もれたという証拠とみられています。

アララト山のノアの方舟の発見に懐疑的な主張

出典: http://blog.goo.ne.jp

本記事で紹介しているノアの方舟にも否定的な意見が多くあります。
旧約聖書の記述が本当だとすると、今から約6000年前に地球が誕生したことになります。しかし、様々な化石や地層などの年代測定を行うと、何万年も前だという結果が出ており、結果が矛盾します。
また、過去の箱舟の発見報告はほぼすべてが偽物や捏造だったことが明らかになっており、今回の発見についても慎重な調査が必要だと研究者たちは語っています。

世界各地に残るノアの方舟と同様の伝説


世界各地にはノアの方舟と似た洪水にまつわる伝説が残っています。
そのいくつかを紹介しましょう。

ギルガメシュ叙事詩

出典: https://togetter.com

ギルガメシュ叙事詩の粘土板
ギルガメシュ叙事詩は、紀元前2600年ごろに栄えた国家ウルクに実在したとされる王を題材にした、世界最古の文学作品です。
この粘土板の第11の書版には、旧約聖書のノアの大洪水と酷似した物語が刻まれています。
主人公ギルガメシュは不死となったウトナピシュティムを訪ね、この人物の話の中にノアの大洪水と似た内容が出てきます。
ウトナピシュティムの話によると、エンリル神によって大洪水が予告された際、エア神に逃げ延びるよう箱舟を作るように命じられました。
箱舟は一辺60mの立方体で、7階建てで複数の部屋に仕切って作られます。そして船にはすべての生き物とウトナピシュティムの家族や船大工を乗せました。その後6日間嵐が吹き荒れ、大洪水によって地に残った者たちは粘土に変わったと話しました。
ノアの洪水物語と似ていますね。

シュメール神話

出典: http://www.gibe-on.info

シュメール文字で刻まれた粘土板
シュメール神話によると、紀元前2900年ごろに古代メソポタミアの都市シュルッパクで大洪水があったとされています。
エンキ神は王ジウスドラに洪水を起こして人類を滅ぼすことを告げ、大きな船を作ることを命令しました。そして7日間の大洪水によって人々は一掃されました。

このように、神が洪水を起こすと予告し、船を作らせる点は世界各地の伝説として残っています。

アルメニアに現存する世界最古の教会

出典: https://kotobank.jp

エチミアジン大聖堂
アララト山の麓の場所にあるアルメニアの街エチミアジン。
この街にはエチミアジン大聖堂という世界最古の教会があり、観光地としても名をはせています。
エチミアジン大聖堂は西暦301年に建てられ、現在では世界遺産に登録されています。
そしてこの大聖堂の宝物庫には、ノアの方舟の一部が保管されているというのです。

エチミアジン大聖堂には方舟が実在した証拠があるという

宝物庫に展示されているノアの方舟の木片
観光用にディスプレイされています。
中央の十字架の後ろを見てみてください。
宝物庫は観光整備され、入場料を払えばだれでも入ることができます。
写真の十字架の後ろに見える木の板が、ノアの方舟の木片だといわれています。
興味のある人は、本当に方舟が実在したのか、観光に訪れて思いを馳せてはいかがでしょうか。

アメリカにある実物大のノアの方舟

アーク・エンカウンター建設中の写真
本当に方舟が実在したならば、このような壮観な船体だったのでしょう。
2016年7月、アメリカ・ケンタッキー州ウィリアムズタウンに実物大のノアの方舟の観光施設が完成しました。
写真は建造途中の様子です。
聖書の記述に基づき全長約155m、幅26m、高さ16mで建造され、アーク・エンカウンター(Ark Encounter、箱舟との遭遇)と呼ばれています。
施設内は当時の様子が細かく再現され、動物や恐竜の模型も数多く展示されています。
キリスト教徒だけでなく、子供から大人まで楽しめる巨大な観光スポットとなっています。
今後大洪水が起こった時は、この箱舟が運用されるのではないかと冗談のように話す人もいるそうです。

まとめ:ノアの方舟伝説は人類への戒めなのか

地球が誕生したのは約46億年前であるという説が有力で、現在は大多数の人がそう認識しています。
旧約聖書にはアララト山がある場所にノアの方舟が辿り着いたと書かれていることから、本記事で紹介した遺跡が実在した証拠だと考えるのも一理あるでしょう。
実際に世界中で洪水が起こったとみられる痕跡が多くあるため、過去にノアの洪水のような地球規模の水害が発生したことは十分に考えられます。
もしかするとノアの方舟の遺跡もその名残なのかもしれません。

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