「トリプトファン事件」死者38名を出した健康食品・サプリメントとは?

トリプトファン事件では、死者が38名もでる大惨事となりました。健康食品やサプリメントを取っている方には、他人事ではないと思います。トリプトファン事件は、私達に警鐘を鳴らしました。今一度目を向け、第二の事件を起こさないようにする努力が必要かも知れません。

「トリプトファン事件」死者38名を出した健康食品・サプリメントとは?のイメージ

目次

  1. 1昭和電工のトリプトファン事件とは?
  2. 2昭和電工のトリプトファン事件は、こうして起きた
  3. 3トリプトファン事件の事故調査報告書では?
  4. 4トリプトファン事件で、禁止されたl-トリプトファンとは?
  5. 5トリプトファン事件の原因は?
  6. 6トリプトファン事件の本当の原因は?
  7. 7トリプトファンの副作用や障害の関係
  8. 8トリプトファンは、重要なアミノ酸?
  9. 9トリプトファン事件の意外な結末
  10. 10トリプトファン事件を教訓にしましょう!

昭和電工のトリプトファン事件とは?

出典: http://gmo.luna-organic.org

l-トリプトファンって一体何のこと?

トリプトファン事件:概要

トリプトファン事件とは、昭和電工が作った遺伝子組み換え、アミノ酸の一種でもあるトリプトファンの一部に、不純物が混じっていた事件です。

この不純物が原因で、38人もの死者が出ました。
健康のために飲んだサプリメントの副作用で、これだけの人が亡くなった事件は稀で、当時遺伝子組み換えの食品などがブームなこともあり、より事件が問題視されました。

死者は38名ですが、健康を害した人は、何千人という単位で、被害が出ました。
主にアメリカに被害が出たのですが、日本でも死者とまでいかなくても、副作用が原因で、病気になられた方も多かったのでは?と推測されます。

ただ、原因ははっきりとわかっておらず、逆に怖い気がしますね。
というのは、事件後、昭和電工が菌などを捨ててしまったので、原因の究明が出来なかったんですね。

今サプリメントは、非常に話題になってることもありますし、怖いサプリメントがあるかも知れないと言うことは頭に置いておいた方が良いと思います。

トリプトファン事件について、以下にまとめてみました。

昭和電工のトリプトファン事件は、こうして起きた

出典: http://gmo.luna-organic.org

健康食品でも、サプリメントには注意!

トリプトファン事件の経過

トリプトファン事件は、1988~89年の間に、日本のメーカー「昭和電工」が作り、それがアメリカで販売されたことで起こった、食品公害事件と言われています。

健康食品ということで、アメリカではサプリメントが流行っていたこともあり、サプリメントによって、38名もの方が亡くなりました。

当時斬新な発明とも呼ばれた「遺伝子組み換え」で、トリプトファン事件の副作用が出たこともあり、その後アメリカのみならず、日本でも遺伝子組み換えの食品は問題にされました。

じゃがいもの遺伝子組み換えのニュースも、記憶に新しいことと思います。
トリプトファン事件によって、遺伝子組み換え商品は、危険と認識されるようになったんですね。

トリプトファン事件は、ついこの間まで、トリプトファンが含まれていた食品に、遺伝子組み換え技術の段階で不純物が混じったことにより、起こったとされていました。

ですが、その後の研究では、トリプトファンは全米に出荷されましたが、問題のトリプトファンの発生時期などにより、新しいことがわかり、不純物が混じっていたことが原因ではなく、EMSの発生が問題になりました。

そしてその後、トリプトファン自体の販売がアメリカで禁止されるようになります。

トリプトファンは、怖い物質だったんですね。
ちゃんと臨床データを取っていなかったということでしょうか?
流行に乗るのも、案外危ないのかも知れません。

トリプトファン事件の事故調査報告書では?

出典: http://aqua-blue8.com

トリプトファン事件では、事故調査報告書も謎だらけ

トリプトファン事件の事故調査報告書の内容

トリプトファン事件が昭和電工で製造されていたことから、事件後、事故調査報告書が作成されました。

その内容によると…。
トリプトファンが原因とされるEMS(好酸球増加、筋肉痛症候群)発病は、全ての人に発祥したわけではなく、原因がトリプトファンにあるかは不明である。
また、マウスの実験などでは、EMSが起きていないこと。
人間特有の発症ということになり、副作用の調査をマウスなどの動物で行うことは困難だった。

と言う感じの報告書が出されています。

昭和電工では、きちんとした生成方法をしていませんでしたが、製品の毒性検査だけは行っていました。

その後の厚労省での研究員によって、再生成は成功しています。
そこでわかったことは、「EBTは、精製をすれば減っていきますが、PAAはある濃度以下には下がらないというものでした。

結局は、問題提起で終わってしまった感じですね。
ここまででわかったことは、遺伝子組み換えは、やはり出来ればやらない方が良いということです。
トリプトファンを作ろうとしているのに、違う物質が出来る時点で、その薬は危険な可能性を秘めているのを忘れてはならないと思います。

トリプトファン事件で、禁止されたl-トリプトファンとは?

出典: http://ietore.com

l-トリプトファンは、危険なものだった?

l-トリプトファン禁止後の新たな見解

トリプトファンがアメリカで販売禁止になった後、2001年にFDA(アメリカ食品医薬品局)では、トリプトファンの販売が、一部許されるようになりました。
というのも、トリプトファン事件での原因が明らかではなく、l-トリプトファンが主原因ではないとの見解が示されたんですね。

トリプトファン事件では、遺伝子組み換えの技術の際に混入した不純物が、主な原因として考えられてきたのですが、ここで疑問の声が上がります。
もしl-トリプトファンが原因だとすると、他の会社では問題にならないはずなのに、他の会社でも、同じようにEMSによる健康被害が出たことも、原因が明らかではないという理由になります。

そこで、遺伝子組み換えをしてもしなくても、事件が発生したことから、当初の問題になるとされていた遺伝子組み換えが主原因ではないと言われるようになったんですね。

ですが、l-トリプトファンが原因に何らかの形で関わっていることは間違いがなく、l-トリプトファンは全面緩和ということにはならなかったみたいです。

トリプトファン事件の原因は?

出典: http://s1ep.net

他にも健康被害が出ていた?

健康被害はトリプトファンが原因ではなかった?

トリプトファン事件では、遺伝子組み換えが主原因ではないと言われましたが、l-トリプトファンが全く関係ないという話ではないことは、前述しました。

トリプトファン事件の後、他の会社でも同じような被害が出たこともあり、様々な説が飛び交いました。

例えば、体質が原因とされる説では。

l-トリプトファンを大量に摂取したことで、代謝物のいくつかの物質が、ヒスタミンの代謝分解反応を阻んだとされ、ある特定の持病を持っている人にだけ、EMS反応がでたと言うものです。
FDAの元所属メンバーから提唱された説で、これだと確かに理由になりそうですね。

他にも、大量摂取が原因とされる説では。

遺伝子組み換え自体が悪かったのではなく、単に大量摂取したことにより、健康被害が出たというものです。
サプリメントだからと、大量に摂取するのが危険と言われるようになった背景にも、トリプトファン事件が絡んでいる模様ですね。

何でも効くからと言って、大量に摂取するのは、健康被害はもちろん!
最悪死に至るケースがあるというのは、今でこそ常識ですが、当時は健康に良いからとたくさん飲んでいた方もいたそうです。

トリプトファン事件は、今でも問題視される、重要な事件であったとも言えます。
トリプトファン事件を教訓にして、サプリメントの飲み過ぎなどを防げるように、厚労省とかが発表してくれないものですかね?

トクホとかの商品も、飲みすぎたらダメということを、政府も発表すべきでは?と個人的には思います。

トリプトファン事件の本当の原因は?

出典: http://misohakase.tea-nifty.com

トリプトファン事件の本当の原因は?

健康被害が出たトリプトファン事件の原因はまだ謎のまま

結局その後の研究でも、健康被害が出たトリプトファン事件の主原因は謎のままです。
というのも、トリプトファン事件を起こした昭和電工が、問題になった物質などを捨ててしまったからです。
もしこれが残っていれば、主原因も明らかになったかも?と思うと、ちょっと許せませんね。

隠ぺい工作をするような会社だからこそ、トリプトファン事件を起こした本当の原因かも知れません。
ということで、トリプトファン事件の主原因は未だに明らかにはなっていませんが、原因とされるのは、以下の3つではないかと言われています。

1:トリプトファンを過剰摂取したのが原因ではないか?
2:何かはわからないが、不純物が混じっていたのではないか?
3:患者の遺伝や体質が問題ではないか?

以上の3つの原因が、単独もしくは複数同時に発生して、トリプトファン事件が起こり、健康の被害が出たとされるのが、今の所有力な説です。

遺伝子組み換えの話は消えてしまいましたが、今でも食品の注意事項に「遺伝子組み換え大豆は使用しておりません」などと書かれていることを考えると、まるっきり無関係ではないと思うのですが、実際にはどうなんでしょう?

どちらにしても言えることは、何でも大量摂取は害にしかならないということですね。
ダイエットなどのサプリメントもそうですが、飲み過ぎると、死に至ることもあるのが怖いですね。

トリプトファンの副作用や障害の関係

出典: http://suiminkaimin.net

トリプトファン事件でも、使われていたl-トリプトファン

事件で問題になったトリプトファンとは?

トリプトファン事件でも問題になったトリプトファンですが、実は適切な量を飲む分には、気持ちを落ち着かせたり、不眠を解消するなど、今でもサプリメントなどに含まれている、安全な物質なんですね。

ただ、前述もしましたが、大量に摂取したり、他の薬との併用などにより、一転死に至るほどの副作用が出る薬でもあります。

例えば、トリプトファンを過剰に摂取してしまうと、肝硬変などの肝臓障害が出たりなどの副作用が。
他にも、トリプトファンとうつ病の薬などを同時に摂取すると、これまた血圧や心拍数が急激に変化したりと、薬の副作用はこんなに怖いんですね。

良く胃腸薬とうつ病は関係ないからと、医師に知らせず、同時服用する患者さんもいるそうですが、かなり危険なので絶対にやめた方が良いです。
薬の服用による副作用は、一般人にはわかりません。

もし他に薬を服用している場合は、必ずどんな薬を飲んでいるのかを医師に伝える必要があります。

今回のトリプトファン事件でも、大量に摂取したことが原因とも言われていますが、薬の副作用は必ずどんな薬にもあります。
量も重要ですが、飲み合わせなどにも、しっかりと気を配って下さいね。

なんかもうトリプトファンのサプリを直接摂取したらいいんじゃと思うけどWikipediaの「トリプトファン事件(死者38名)」の記述のせいで怖くてできない
— こことり (@kocotori_23) December 15, 2015

トリプトファンは、重要なアミノ酸?

出典: http://kounenki-rizumu.com

トリプトファンは、摂取量さえ守れば安全?

事件で問題になったトリプトファンは、摂取量を守れば?!

トリプトファン事件では、さもトリプトファン自体に問題があるかのように言われてますが、実は摂取量さえ守れば、害のある薬ではない所か、睡眠と体内のリズムを整える上で、セロトニン、メラトニンに代謝される重要なアミノ酸でもあったんですね。

そもそも事件が起きたのも、トリプトファンが当時睡眠導入剤として盛んに売られていたことも関係しています。
この薬は効くぞ!ということで、アメリカを中心に爆発的に売れたことが無関係とは言えないと思います。

ただ、多分摂取量を守らなかったのが原因だとは思いますが、強い筋肉痛などを訴える患者が続出し、それがEMS(好酸球増加筋肉痛症候群)という病名がつくことになった経緯です。

食品に安全性を求めるのは間違いがないことですが、どんな安全性を謳った商品でも、摂取量を守らないと、薬から劇薬に変化してしまうということですね。

トリプトファン事件の主な原因として、EMSが挙げられますが、摂取量を守らなかったのが主原因ではないかと、今は言われるようになりました。

安全性を求めることから、遺伝子組み換えを規制するのはもちろん大事だとは思いますが、摂取量を守ることも重要です。
消費者も安全性を求めるのであれば、必要最小限の摂取量も知っておくべきなのかも知れませんね。

トリプトファン事件の意外な結末

出典: http://www.cadc-albufeira.org

健康食品の安全性

トリプトファンが含まれる健康食品の弊害

トリプトファン事件の真相は、今の健康食品問題にも言及しています。

もちろん!健康食品だけではなく、服用する薬にも関連することですが、いくら効果があるからと言っても、それは間違いなく薬の類で、安全性が例え確かだったとしても、摂取量を守らないことによって、必要以上の効果が、もっと言えば副作用が出る可能性があるということです。

トリプトファン自体は、睡眠導入剤として使われることが多いですが、健康食品としてサプリメントとしても売られています。
でも、ここで考えたいのは、効果がある薬や健康食品ほど、その副作用が大きいと言うことは考える必要があると思います。

効果がない薬や健康食品に興味がないという方が多数だと思いますが、効果と言うのは人によって様々な状態で現れます。
同じ薬や健康食品を摂取したとしても、万人が同じ効果を得られるとは限らないんですね。

プラシーボ効果のように、効き目があると信じて、サプリや健康食品を摂取することで、予想以上の効果が出ることもあります。

どれだけ安全性をうたった商品でも、効果がしっかりとでるためには、摂取量は必ず守らないといけません。

健康食品だから、安全性を謳ってる商品だから大丈夫と、安易に手を出すのは考えものです。
特に、健康食品は、サプリメントよりも健康になれる気がしますし、安全性も薬より高いように見えますよね?
でも、そんな健康食品でも、やはり摂取量を守らないと、どこかで弊害が出ることがあります。

自分の身は、自分で守らなければいけません。
安全性をうたう商品こそ、もっと疑ってかかる必要がありますし、健康食品にも弊害があることを知っておけば、トリプトファン事件も教訓として生きてくると思います。

トリプトファン事件を教訓にしましょう!

出典: http://min-voice.com

健康食品にだって害になるものはある

トリプトファン事件で、日本が教訓にすべきこと

トリプトファン事件を受けて、日本では、2015年から機能性表示食品制度が開始されました。

これはルールを守れば、食品の機能性を謳った食品を、例えば「○○を含む商品」などと記載出来るようになったんですね。
ただ、ここでも問題があり、食品の機能性だけを見て、過剰に摂取しても大丈夫と思ってしまう人が、少なからずいるということです。

摂取量を守らないで、食品や薬を過剰に摂取する人が増えてしまえば、またトリプトファン事件が起きてしまうかもしれません。

特に最近話題になっているサプリメントも、食品の補助として利用するべきなのに、食品の代わりにしてしまう人も増えています。
食品は、確かに栄養を補うために食べますが、ダイエット中などで、カロリーの摂取が怖い余りに、栄養だけを補えるサプリメントを食品代わりにしてしまうのは、かなり危険なことだと思います。

トリプトファン事件を教訓にして、今一度食品の安全性や、サプリメントなどの薬や食品の過剰摂取は禁止するように、世界情勢も進んで欲しいですね。

「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは良く言った物で、どんな食品であっても薬であっても、過剰に摂取すると害にしかならないということですね。

第二のトリプトファン事件を起こさないようにするためには、もっと流行などに流されないように、良識を持って行動しないといけませんね。
今はネットがあるので、情報が昔より簡単に入る時代になりましたが、それでも架空の団体や詐欺の事件が相次いでいます。

結局は、自分の身は自分で守るしかありません。
まず、薬などを摂取する時でも、摂取量などをきちんと理解し、本来の薬の使い方をするべきなのではないでしょうか?

トリプトファン事件を二度と起こさないようにするためにも、消費者も企業も、昔以上に気を付けるべきではないかと思います。

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