2021年07月01日公開
2021年07月01日更新
「バスク語」とは?世界一難しい謎の言語が日本語にそっくり!?
世界一難しいとも言われる「バスク語」、スペインとフランスをまたにかけてごく一部の地域でしか話されない「バスク語」はなぜ世界一難しい言語と言われているのでしょうか?その原因は日本語にそっくりだから?今回はそんな「バスク語」についてご紹介します!
目次
世界一難しい言語とは?
画像は世界一の山エベレストです。
世界一難しい言葉と聞いて皆さんは何語を思い浮かべますか?もしかすると日本語を思い浮かべた方もいるかもしれませんが、実はヨーロッパでは古くから世界一難しいと言われてきた言語が存在します。それが「バスク語」です。なぜヨーロッパでバスク語が難しいと言われているのか、実はその原因は日本語と同じところにあるのだそうです。今回はそんな「バスク語」についてご紹介したいと思います。
バスク語とは
バスク語はイタリアとフランスの国境を挟んだ二つの国のごく一部の地域でのみ話される言語です。正確にはイタリアは北部にあるギプスコアとビスカヤ、ナバラの3つの県と、フランスは南西にあるピレネーザトランティクという県で話されています。現在バスク語が話せる人は60万人程度だと言われています。
ヨーロッパにインド系の民族が移民してくるずっと以前からその地方で話されていた言葉で、通常のヨーロッパで使われている言語とは全く違う系統の言葉なのだといいます。
基本的に現在のヨーロッパで使用されている言語はヨーロッパに移民してきたインド系の民族の言葉が語源となっています。そのため、ヨーロッパで使われている言葉は元をたどれば全て同じ言語に行きつくのだといいます。しかし、「バスク語」は元々ヨーロッパに住んでいた民族が話していた言葉であり、現在のヨーロッパで使われている言語とはルーツが全く異なるのですが、そのルーツは現在でも解明されていないのだそうです。
バスク語の逸話
バスク語にはその難しさからいくつかの逸話が生まれています。まず、司馬遼太郎の紀行文の中でローマの神学生たちがバスク語の学習をした際にその難しさを例える話として
「悪魔が神から様々な罰を与えられても動じなかったのに、牢屋で3年間バスク語の勉強をさせたら神に許しを乞うてきた」
という話があります。
また、ヨーロッパのジョークとして
「バスク語を話す人を誘惑するために悪魔がバスク語を勉強しようとしたが、7年間学んで覚えた言葉ははいといいえという単語だけだった」
という話があります。また似た系統のジョークとして
「バスク語を話す人で悪魔の誘惑に負けた人はいない、なぜならバスク語を話せる悪魔がいないからだ」
というジョークがあります。
こんなジョークが作られてしまうくらいヨーロッパでは難しい言葉として認識されているようです。では、なぜバスク語は難しいと言われているのでしょうか?
バスク語が難しい理由
バスク語が難しいと言われる理由は2つ考えられます。一つは先ほども話したようにバスク語がヨーロッパで使われている言語と系統が全く違うから、という理由です。そしてもう一つはバスク語が喋る必要のない言語だから、という理由です。
では一つずつ見てみましょう。
バスク語はタイプの違う言語
先ほども話したように、バスク語とはヨーロッパで使われているほとんどの言葉と全く違うルーツで発祥しています。そのため、他のヨーロッパで使用されている言語とは発音や単語の使われ方、文法も全く異なります。つまりフランスやイタリアにありながら遠い異国のような言語だとフランス人やイタリア人は感じるのです。
例えば英語で”I drink coffee”という言葉はイタリア語やフランス語では文法はそのままで単語を変えるだけで意味が通じるのであまり難しく感じません。しかしバスク語では「私 コーヒー 飲む」というような文法になります。そうなんです、バスク語の文法は日本語の文法に近い部分があるのです。
そのため、この日本語のような文法に慣れていないヨーロッパ人には日本語を使う私たちが英語の勉強を難しく感じるように、またヨーロッパの人たちが日本語や中国語を難しいと感じるように、バスク語が難しく感じられるのです。
バスク語は必要のない言語
バスク語を難しいと感じるもう一つの理由はバスク語が必ずしも必要な言語ではないからです。
バスク語は先ほども出たように、フランスとイタリアの一部の地域でのみ使われている言語です。しかし、バスク語を使う人たちはバスク人であると同時にフランス人もしくはイタリア人です。そのため、バスク語しか話せないという人は存在せず大概はバイリンガルです。
しかし、近年バスク語の地域ではバスク語で話そうという運動が盛んになっているようで、学校でも授業を受けなければならず、また就職のためにもバスク語を習得しなければなりません。しかし、そもそも話せなくても何の問題もない言語ですから、無理に習得させようとすればどうしても「何でこんなに難しいのに覚えなきゃいけないんだ」「こんなの覚える必要ない!」と考え、より難しく感じてしまうのだと思われます。
バスク語の特徴
バスク語には独自の文字というものは存在せず、アルファベットを使用します。しかしその発音の仕方は全く違い、さらに文法もヨーロッパの言語とは異なった仕組みをしているようです。ではその仕組みについて詳しく見てみましょう。
バスク語の発音の特徴
上の表を見て分かる通り、アルファベットをそのまま発音するものもあれば全く違う発音をする場合もあるようです。母音については、全てアルファベットの発音のままのようですね。子音については、アルファベットと違う発音になるものをいくつかご紹介します。
dd・・・ガ行とジャ行の間のような発音
tt・・・カ行とチャ行の間のような発音
n(上に波線が付きます)・・・日本語のニャに近い発音
ll・・・舌を口蓋の裏に当てて発音するリャの音
rr・・・巻き舌をしたラ行
x・・・日本語のシャに近いがもっと鋭く発音
tx・・・チャ行、舌の中心を口蓋に当てて発音
ts・・・チャ行、舌の先を口蓋に当てて発音
tz・・・日本語のツに近い発音
j・・・ヤ行、もしくはddに近い発音
バスク語の文法の特徴
では動詞を使ってバスク語の文法を少し見てみましょう。
バスク語の動詞は少し特殊で例外はあることと命令文を除けば基本は助動詞と共に活用するそうです。文法的には肯定文の場合は(動詞 + 助動詞)、否定文の場合は(ez + 助動詞 + 動詞)の形を取ります。
分詞には完了分詞、不完了分詞、未来分詞という3つの種類がありそれぞれが以下の役割を果たしています。
完了分詞・・・動きが終わったことを表す分詞、~したという意味になる
不完了分詞・・・動きが繰り返し行われていることを表す分詞
未来分詞・・・これからする予定の動きについて表す分詞、~するつもり、~するだろう、など
助動詞は二種類あり、自動詞と他動詞に分かれます。自動詞の場合は単数の場合一人称でnaiz、二人称でzara、三人称でda、複数の場合は一人称がgara、二人称がzarete、三人称がdiraという風に変化していきます。それに対して他動詞では目的語が例えば3人称単数であれば一人称がdutであるのに対し、目的語が3人称複数であれば一人称はditutと変化するように、他動詞での変化は自動詞に比べて規則的に変化していきます。
バスク語でよく使われる単語
次はバスク語でよく使われる単語についてみてみましょう。
(返事をする単語)
はい・・・bai(バイ)
いいえ・・・ez(エス)
(感謝や謝罪の単語)
ありがとう!・・・Eskerrik asko!(スケル カスコ!)
どういたしまして!・・・Ez dago zergaitik!(エス ダゴ スカリティク!)
すみません・・・Barkatu(バルカトゥ)
ごめんなさい・・・Sentitzen dut.(センディツェン ドゥト)
バスク語の挨拶
文法や単語を見ただけでは中々マスターするのは難しいと思いますので、バスク語での挨拶についてもご紹介します。
(昼の挨拶)
おはようございます・・・Egun on!(エグノン!)
こんにちは・・・Kaixo!(カイショ!)またはEgun on!(エグノン!)
おはようございますのEgun onとこんにちはのEgun onは同じ発音の挨拶なのですが、おはようのEgun onはエグノン(↓)とイントネーションを下げて挨拶するのに対してこんにちはのEgun onはエグノン(↑)とイントネーションを上げて挨拶するそうです。
次は夜の挨拶と別れの挨拶です。
(夜の挨拶)
こんばんは!・・・Arratsalde on!(アラチャルデ オン!)
おやすみなさい!・・・Gabon!(ガウ オン!)
(別れの挨拶)
ばいばい!・・・Agur!(アグル!)
さようなら!・・・Hurrengo arte!(オレンゴ アルテ!)
また近いうちに!・・・Laster arte!(ラスタ アルテ!)
バスク語はやっぱり難しい?
なぜ難しいと言われているか探ってみたところ日本語と文法が似ていることが分かったバラク語、確かに動詞を見ても英語などよりは日本語に近いものを感じましたが、やはり単語はアルファベット表記でありながら英語とも全く違う配列のため、そんなに簡単には覚えられなさそうです。
あなたはバラク語の難しさをどう感じたでしょうか?