2021年07月01日公開
2021年07月01日更新
深海は宇宙よりも「謎」が多い。巨大化する生物や海底の声など不思議まとめ
宇宙よりも謎が多いと言われる深海と深海の海底に住む不思議な生物たち。宇宙との違いを紹介しつつ、深海や海底とは何かを紹介する。合わせて、深海や深海の海底に住む不思議な生物とその謎、学べる場所や研究している機関について画像や動画を交え紹介する。
目次
- 1実は宇宙より謎が多い!?深海の謎と不思議な生物
- 2深海=海底?謎に包まれた深海世界
- 3宇宙より近い?宇宙より遠い?深海と海底までの地上からの距離
- 4宇宙の謎。深海とは違う不思議な宇宙の世界。
- 5宇宙の不思議な生物。宇宙の謎とは?
- 6宇宙でも生きれる不思議な生物。なぜ宇宙でも死なないのか?
- 7深海と宇宙の違い。宇宙とは異なる深海の環境とは?
- 8深海と海底。不思議な生物と謎に包まれた未知の世界。
- 9深海と海底に生きる不思議な巨大化する生物
- 10謎の深海生物?海底から聞こえる不思議な生物の声
- 11海底から聞こえる不思議な生物の声だけじゃない!他にもある深海の謎
- 12謎の深海生物。その味は?
- 13謎に満ちた深海や海底、不思議な生物を学べる場所
- 14深海や海底の謎。不思議な深海や海底とそこにいる生物を調べる団体
- 15深海や海底の謎。不思議な深海や海底とそこにいる生物の調査方法
- 16宇宙よりも謎が多い深海や海底、深海にいる不思議な生物を調べて
実は宇宙より謎が多い!?深海の謎と不思議な生物
この広い海の下に広がる深海には宇宙よりも多い謎があります
日本に住む私たちにはとても身近な自然である海。海の下に広がる深海や深海の海底には宇宙よりも多い謎があると言われています。
地球の大半を占め、島国である日本ではとても身近な自然と言える海。夏には海水浴などで出かける方も多いと思います。
そんな身近な海ですが、その奥底にある深海については実は宇宙よりも謎が多いと言われています。本記事では宇宙よりも謎が多い深海と、深海や深海の海底に生きる不思議な生物を紹介します。
深海には不思議な生物がたくさん
深海に住む生物には画像のような不思議な生物がたくさんいます。どんな生物がいて、どんな謎があるのでしょう?
深海=海底?謎に包まれた深海世界
深海に明確な定義はありません。一般的に水深200m以上の海域を深海と呼びます。
深海は太陽光が届かないことによる暗黒、高水圧、低水温、低酸素状態と言った過酷な環境条件となっています。そのため、深海の環境に対し独自の進化をした不思議な生物が存在します。
地球の海の平均水深は3,729mと言われ、深海は海面の面積に対し約80%を占めています。科学技術が発展した現在でも、深海による高水圧に阻まれ、なおかつ深海調査が可能な潜水艇などの設備を備えた国が少ないなどの理由から、深海のほとんどが未知の領域となっています。
海底とは文字通り海の底のことです。海の深さに限らず、海の底であれば全て海底と呼びます。
しかし海の深さにより海底の環境は大きく異なります。太陽光が届く浅い海底では多種多様な生物が活発に活動しますが、深海の海底では過酷な環境から生物活動が限られたものとなります。
近代の科学により、火星など他の惑星がどのような形状をしているかは判明してきています。一方で、海底の形状は未だ多くの謎に包まれています。これが宇宙よりも謎が多いと言われる一因となります。
太陽光も届かない深海
深海には画像のような太陽光は届きません。深海調査があまり進んでいないことから、深海には多くの謎があります。
欧州宇宙機構CryoSat-2とNASAのJason-1によって作成された海底地図画像
海底には謎が多いです。この海底地図画像により今まで謎とされていた多くの海底の秘密を解明されました。
宇宙より近い?宇宙より遠い?深海と海底までの地上からの距離
深海は先に書いた通り水深200m以上の海域とされています。深海は深度によって更に中深層、上部及び下部漸深層、深海層、超深海層に区分されます。
中深層は200~1,000m、上部漸深層は1,000~1,500m、下部漸深層は1,500~3,000m、深海層は3,000~6,000m、超深海層は6,000m以上とされています。
また、水深4,000~6,000mには地球の表面積のほぼ半分となる広大な深海底があり、そこを深海帯としています。
深海と地表からの距離の関係
中深層200~1,000m、上部漸深層1,000~1,500m、下部漸深層1,500~3,000m、深海層3,000~6,000m、超深海層6,000m以上とされています。
水深4,000~6,000mには地球の表面積のほぼ半分となる広大な深海帯があります。
一方、宇宙空間は地表から100kmを超える地点を呼ぶことが慣習となっていますが、明文化された定義はありません。これは宇宙空間を定義すると、国際条約上領空の上限を定義することになるため、各国とも慎重な対応をとっているためです。しかし、近年は宇宙空間の利用急増から、国際連合宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の法律小委員会において、より厳密な定義検討が課題となっています。
なお、国際航空連盟では地上から100kmを宇宙空間と大気圏の境界線としてカーマ・ラインと定義しています。
以上から、地表からの距離で言えば、宇宙の方が圧倒的に深海より遠いことになります。
宇宙までの距離
宇宙空間は地表から100kmを超える地点とされています。
国際航空連盟では地上から100kmをカーマ・ラインと定義しています。
宇宙の謎。深海とは違う不思議な宇宙の世界。
宇宙にも当然多くの謎があります。私たちが住む地球が存在する太陽系の惑星、太陽系の外に位置する惑星。地球の深海とは異なる過酷な環境には、地球の深海とは異なる謎や不思議な生物がいます。
宇宙にも謎がいっぱい
宇宙には地球以外の数多くの惑星があります。宇宙空間やその他の惑星にも地球の深海とは異なる多くの謎があります。
私たちの住む太陽系
画像は地球のある太陽系です。太陽系にある地球以外の惑星にもまだまだ未知の謎があります。
宇宙の不思議な生物。宇宙の謎とは?
地球と異なりほぼ真空で酸素がなく、更にとても寒く有害な電磁波が飛んでいる宇宙空間に、生物が存在することはできるのでしょうか。今まで宇宙人をモチーフにしたキャラクターが作られたりしていますが、それは地球以外の惑星に住んでいる設定であり、宇宙空間に住んでいる設定ではありません。地球と異なる過酷な宇宙空間で生物は存在できないとされています。
宇宙人をモチーフにしたキャラクター「ウルトラマン」
宇宙人をモチーフにしたキャラクターはたくさんいます。
巨大だったり、奇妙な形をしていたり、その姿形は様々です。
出典: http://ameblo.jp
しかし、近年英国シェフィールド大学とバッキンガム大学宇宙生物学センターの研究チームが、宇宙から来た生命体と思われる微粒子を発見したとしています。「龍の粒子」と名付けられたその奇妙な粒子の大きさは10μ程度、成分は炭素と酸素で生命体のような複雑な構造をしています。
研究チームによるとその奇妙な粒子は明らかに生命体であると主張しています。生物単体の一部分か、より小さな微生物の集合体かは未確認であり、調査中のようです。
画像「宇宙から来たとされる奇妙な微粒子「龍の粒子」」
宇宙から来た生命体と思われる奇妙な微粒子「龍の粒子」。
明らかに生命体であるとされており、生物単体の一部分か、より小さな微生物の集合体かは未確認です。
宇宙でも生きれる不思議な生物。なぜ宇宙でも死なないのか?
地球には宇宙でも死なない生物が存在します。その代表がクマムシとネムリユスリカです。
クマムシは4対8脚のずんぐりとした脚でゆっくり歩く姿から緩歩動物に分類され、体長は50μmから1.7mmの生物です。形が熊に似ていることからクマムシと呼ばれています。地球のどんな過酷な環境にも適応した生物です。
体の85%が水分で出来ているクマムシは、一部の種で周囲が乾燥すると、水分を0.05%まで減らし、「乾眠(クリプトバイオシス)」と呼ばれる休眠状態に入ります。乾眠状態のクマムシは石ころのようになりますが、水を吸うと何事もなかったかのように再び動き出します。乾眠状態のクマムシはほぼ絶対零度の−273℃でも耐えられ、通常の活動状態でも乾眠能力のあるクマムシは−196℃で生存できます。
また、水深10,000mの深海の75倍に相当する圧力や真空状態など様々な極限的環境に耐えることができます。通常微生物は30MPaで増殖と代謝が止まり、300MPaではほとんどのバクテリアと多細胞生物が死にます。しかし、クマムシは600MPaの高圧にも耐えられます。
更にクマムシは高線量のX線、ガンマ線、重イオンビーム照射後でも生存できることが確認されています。
このようにどんな過酷な環境でも乾眠で生きれるクマムシは、宇宙でも死ぬことがないと言われています。
画像「宇宙でも死なない生物クマムシ」
クマムシの一部の種は乾眠を使い、宇宙でも生存することができる生物です。地球上のあらゆる環境で生存できます。
ネムリユスリカは蚊の仲間で、クマムシと同じく乾眠ができる生物で、宇宙でも死ぬことない生物と言われています。このように乾眠ができる生物は他にも存在し、地球上のあらゆる環境で生息しています。
画像「宇宙でも死なない生物ネムリユスリカ」
この画像の奇妙な生物は蚊の仲間とされています。クマムシ同様乾眠ができる生物で、宇宙でも生存できます。
深海と宇宙の違い。宇宙とは異なる深海の環境とは?
深海は宇宙と異なり、様々な奇妙な生物が生存しています。深海も宇宙も過酷な環境ですが、内容が異なります。
圧力の観点では宇宙では体が破裂しますが、深海では逆にぺちゃんこになります。温度は深海はほぼ0℃とされていますが、宇宙は-270℃と言われています。
過酷な環境の深海は人の調査が進んでおらず未知の領域が多くあります。そして、多くの不思議で奇妙な生物が住んでおり、その中には未確認の生物も多いと言われています。
深海から見た海面を見上げた画像
深海には太陽光が届きません。この画像のように光がほとんど入って来ない深海は怖いイメージが湧きます。
深海と海底。不思議な生物と謎に包まれた未知の世界。
深海やそこにある海底には少ないながらも奇妙な生物が生存しています。画像と共に深海にすむ奇妙で少し怖い生物を紹介します。
画像「デメギウス」
水深400~800mに生息する不思議な深海魚です。頭部のみ透明と奇妙な姿をしています。ちなみに目は頭内部にあり、口の上目のようなものがありますが違います。
画像「クシクラゲ」
クシクラゲは7色に光る奇妙な生物です。光っているのは蛍のように生物発光しているわけでなく、脚の繊毛による光散乱で光っているように見えます。
画像「ミツクリザメ」
とても怖い外見をしたサメです。水深1,300mととても深い深海に生息しています。そのため、遭遇することもなく、人を襲うことはありません。
希少種ですが世界各地様々な環境に適応しています。
画像「ブロブフィッシュ」
奇妙で怖い外見をしたブロブフィッシュは、世界で最も醜い動物保存協会により、世界で最も醜い動物No.1に選ばれています。
深海と海底に生きる不思議な巨大化する生物
深海には巨大化した生物が生存しています。深海生物が巨大化する現象を「深海巨人症」と言いますが、なぜ巨大化するのか理由は未確認です。
考えられている説として、ベルクマンの法則とクライバーの法則があります。
ベルクマンの法則は気温と巨大化に関係があるという説です。巨大化した生物は体重に対し体の表面積が相対的に小さくなるため寒い環境でも体からの放射熱を少なくできます。それにより体を温かく保てると言うものです。
クライバーの法則は巨大化した生物は一般的に代謝が少なく、生存に必要な食物の摂取も少なくできると言う説です。
他にも巨大化により深海の高水圧に耐えられると言う説もあります。
ここでは深海やその海底に生きる不思議で怖い、巨大化した生物を画像と共に紹介します。
画像「ダイオウイカ」
記録上最大は全長18mもある巨大なイカです。「海の魔物」と言われ、怖いイメージを持っている方も多いと思います。近年はこの巨大なイカの生きている姿を撮影した画像が見られるようになってきました。
画像「ダイオウグソクムシ」
この怖い姿をした生物はダイオウグソクムシと言われ、最大は50cmを超える世界一巨大な等脚類(ダンゴムシの仲間)です。怖い姿とは裏腹に、最近では深海の人気者として知られています。
アメリカ南部からブラジルの大西洋岸水深310~2,140mに生息しており、腐肉食性で海底に沈んできた生物の死骸を食べることから海の掃除屋と言われています。
画像「オンデンザメ」
北太平洋の深海に生息する全長7mを超える巨大ザメです。
頭足類や魚類を食べるとされていますが、狩りをするのか死体を食べるのか未確認となっています。
謎の深海生物?海底から聞こえる不思議な生物の声
1997年にアメリカ海洋大気庁(NOAA)より、深海に設置された水中マイクが未知の音を録音したとあります。その音はBloopと名付けられました。
この音「Bloop」は人の聴覚では知覚できない超低周波も含まれており、16倍速で再生することによって始めて聞き取ることができる音です。また、5,000m離れた場所でも確認できる非常に強い音です。
この音は火山噴火などの自然活動や、爆弾や潜水艦などの人工音とも明らかに異なると言われています。
現在この程度の超低周波音を出すことができる生物は未確認で、もしこの音を出せる生物がいるとすれば、体長100mを超えるゴジラのような巨大生物だろうと言われています。
深海から聞こえる未知の音はBloopだけではありません。その一つとしてSlowDownがあります。
海底から聞こえる不思議な生物の声だけじゃない!他にもある深海の謎
深海の謎は海底から聞こえる未知の音だけじゃありません。まだまだ未知な謎が多くあります。
深海調査中、探査船が人のような未知の生物に遭遇しました。この未知の生物は不思議な音を発し、探査船になにか合図のようなものを送ったと言われています。
実際には深海の気圧に人の体は耐えられるか未確認のため、この画像の生物が本当に発見されたのかはっきりしていません。
このように深海にはまだまだ人間が未確認の多くの謎に満ちています。
深海に人のような謎の生物が
深海探査船により発見されたこの未知の生物の正体は未確認です。深海にはまだまだ多くの謎に満ちています。
謎の深海生物。その味は?
今まで深海にいる怖い奇妙な姿をした不思議な生物を紹介してきましたが、深海の生物は現在多くが食用とされています。
その一部を画像と共に紹介します。
画像「キンメダイ」
高級魚として知られるキンメダイは深海魚の一種です。深海生物と言うと怖い不思議な姿をイメージしますが、キンメダイは普通の魚に見えます。
画像「ホタルイカ」
ホタルイカもよく食用として見かけますが、200~700mの深海に生息する生物です。
触手の先には3個の発光器がそれぞれ付いていて、何かに触れると発光します。
画像「超グソクムシ煎餅の立体パッケージ」
先に紹介した怖い姿をしたグソクムシも食用とされていますが、あまり美味しくはないようです。
愛知県蒲郡市の竹島水族館では、怖い姿をしたグソクムシを香り付けに使ったせんべい「超グソクムシ煎餅」を販売しています。
怖い姿を立体にしたパッケージに人気があり、土産物として販売されています。
画像「超グソクムシ煎餅の中身」
これは超グソクムシ煎餅の中身です。
見た目は普通のせんべいです。
謎に満ちた深海や海底、不思議な生物を学べる場所
深海の謎や不思議を学ぶ場所として有名なのは水族館になります。水族館には多くの深海生物が飼育されており、解説も展示されています。
深海の謎や不思議を学びたい時にはまず水族館に行くことをお勧めします。
画像「美ら海水族館」
有名な水族館の一つとして沖縄の美ら海水族館があります。深海の謎や不思議がたくさん学べます。
画像「美ら海水族館の展示物」
深海の不思議な謎の生物も美ら海水族館には多く展示されています。
興味があれば是非一度行くことをお勧めします。
深海や海底の謎。不思議な深海や海底とそこにいる生物を調べる団体
深海や海底の不思議や謎を研究する団体として日本では海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)があります。ここで、日々未確認の深海の謎や不思議を調査研究しています。
海洋研究開発機構の施設
こちらの画像は海洋研究開発機構の施設を撮ったものです。この建物の中で未確認となっている深海の謎や不思議に関する研究が行われています。
海洋研究開発機構マーク
この画像はロゴマークです。
深海や海底の謎。不思議な深海や海底とそこにいる生物の調査方法
深海や海底を調査するための設備として潜水調査船があります。日本にもいくつかありますが、その中でも「しんかい6500」を紹介します。
画像「有人潜水調査船「しんかい6500」」
しんかい6500は深度6,500mまで潜水可能な有人潜水調査船です。運行している大深度まで潜水可能な有人潜水調査船は世界で7隻しかなく、しんかい6500はその中の一台になります。
しんかい6500のシステム
3名の乗員の安全を確保するため、また繰り返し深海を往復可能とするため、コックピットは内径2.0mの軽くて丈夫なチタン合金製の球の中にあります。
宇宙よりも謎が多い深海や海底、深海にいる不思議な生物を調べて
本記事では深海や海底、深海に住む生物についてまとめました。本記事からもわかる通り、深海にはまだまだ未知の謎があふれています。
これから更に科学技術が発達することにより、深海の謎は次第に解明されていくことでしょう。