『くべる』の意味や使い方を徹底解説!「火にくべる」の意味とは?
『火にくべる』と言われてもあまり聞いたことがないという方もいるかもしれません。電気やガスが各家庭に行き渡っていない時代は良く使われましたが、現代では直接火に関連した作業をしなくなりました。『くべる』の意味や使い方、由来などを詳しく説明します。
目次
『くべる』という言葉を知っていますか?
『くべる』という語句は、現在あまり用いられることがないと見られています。『くべる』は火に関係した言葉です。しかし、現代の日常生活に密接に結び付く言葉ではないため、意味を知らない方も増えているのでしょう。後の項目で例文を挙げて説明します。
『くべる』の意味や使い方は?
現在では、調理をするにもガスコンロやIHで行うため、キャンプ場に行く機会のある方でないと分かりにくいという場合があります。『くべる』の基礎知識として、詳しい意味や使い方を紹介します。
『くべる』の意味
『くべる』の意味は、「火を燃やすために薪や不要な紙などを、かまどやストーブに入れる」ということです。「薪などの燃やす物を補充する」という意味もあります。電気やガスが家庭に引かれていない時には、各家庭の台所にご飯を炊いたり、加熱調理するためのかまどがしつらえてあり、薪や紙をかまどに入れてマッチなどで火をつけて燃やして熱源を取っていました。
現代では野外でキャンプファイヤーや、炭を使って調理する時に見かけたことがある方も多いでしょう。テレビで芸能人がロケに行き、自給自足の生活をする番組で、火を起こして調理する場面を見たことがある方もいるかもしれません。
『くべる』の使い方
『くべる』の使い方を紹介します。火に使うことから、「燃料として使う」・「火に入れて燃料の追加をする」と考えると分かりやすいでしょう。手動でかまどやストーブなどの加熱する道具の中に入れることが多いです。ガスや液体燃料などでなく、固形の物、薪などの木や紙類、落ち葉、炭を使うときに用いられます。
『火にくべる』の意味とは?
『火にくべる』は、新聞紙などの紙や薪、炭や木片を火に入れて、火の勢いを盛んにする意味となります。炭などの燃料をくべるという使い方をするので、『火にくべる』という使い方はおかしいのではないかと思われる人も多いでしょう。『くべる』には、「火力を強くするためにすぐに燃える物を火に入れて足す」という意味もあります。その意味であれば『火にくべる』という使い方でも間違いではないでしょう。
『くべる』の類義語は?
『くべる』の類義語を4例、例文を含めて使い方を紹介します。どれも火に関連した言葉です。状況に応じて考えると、『くべる』という言葉がイメージしやすくなるでしょう。学校行事などのキャンプの活動や外での調理、野焼きやたき火で火に木や紙を入れる所を想像してみましょう。
類義語1:『焚く』
『くべる』や『火にくべる』の類義語として、『焚く』(読み:たく)があります。例を挙げると「焚き火」(読み:たきび)があります。意味は「(燃料として)燃やす」です。
【例文】
- 寒いので、落ち葉を焚いて火に当たった。
- 焚き火をするついでに、サツマイモを火に入れて焼き芋を作った。
類義語2:『燃やす』
『くべる』の類義語に『燃やす』(読み:もやす)があります。「火をつけて炎が上がったり、赤く熱せられたようにさせる」という意味です。
【例文】
- 紙を燃やして、線香に火をつけた。
- 紙くずを焼却炉で燃やす。
類義語3:『熾す』
『くべる』の類義語に『熾す』(読み:おこす)があります。現在では『起こす』と表記することもあります。漢字に「火」が含まれていることから、火に関連することだと連想できるでしょう。意味は、「炭などに火をつける」とか、「火力の勢いを盛んにする」です。
【例文】
- いろりの火を熾す。
- 勢いが衰えた火に炭を入れて、息を吹きかけて熾す。
類義語4:『燃料を追加する』
『火にくべる』の類義語に『燃料を追加する』もあります。『燃料』は燃やすための材料なので、木材、炭、紙、落ち葉などがあります。「勢いがなくなってきた火に燃料を追加で入れて火力を強める」意味合いになります。
【例文】
- キャンプファイヤーの火に、薪や紙などの燃料を追加した。
- キャンプ場で調理をするのに、火に勢いを出すために燃料を追加した。
類義語5:『焼』
『焼』という漢字自体も『くべる』と似た意味がある類義語になります。後の項目で詳しい意味と、『くべる』の由来や漢字に付いて説明します。
【用例】
- 「焼却」火に入れて燃やして焼き尽くすこと
- 「燃焼」強く発熱し、炎を上げて燃えること
『くべる』は方言?由来は?
『くべる』という言葉を知らないという方は、方言だと思う方もいるでしょう。方言か標準語かどうか詳しく説明します。また、『くべる』という言葉の由来についても紹介します。
『くべる』は標準語!
結論から言うと『くべる』は方言ではありません。『くべる』は今日ではあまり使われなくなり、方言と誤解する人が増えています。以前は、いろりやかまどやストーブなどで、火に不要な紙、炭や薪を入れて自分で着火させる生活習慣がありました。現在ではガスや電気の普及で『くべる』とか『火にくべる』習慣がなくなっています。自宅ではスイッチ1つで着火や火力の調節ができますし、そもそも調理自体をコンロではなく、電磁調理器で行う家庭が増えています。家にないので、方言ではないかと感じてしまうのでしょう。
方言でない証拠には、昔の暮らしを通じて使われてきた例があります。昔はお風呂を焚いたり、ご飯の煮炊きをしたりするのにかまどを使っていました。鍋物や焼き物を作ったり、暖を取ったりするのにいろりや火鉢、七輪などが各家庭にあったのです。『炭や薪をくべる』、『火にくべて火力を強くする』ということは身近にやって来たことで、『くべる』という言葉を使っていました。
現在『くべる』を使える場面はある?
現在では、寒冷地などで冬場に薪ストーブを使ったり、キャンプファイヤーをしたり、キャンプ場で調理をしたりする場合でないと、『くべる』、『火にくべる』機会は少ないです。以前は紙や雑草などの処理で焚き火をしている人も見かけました。しかし、焼却した時のダイオキシンの発生が心配されることから、勝手にやってはいけないことになっています。
利用する機会がなくなり、使用頻度が少なくなっただけで方言ではありません。このまま時代が下れば『くべる』とか、『火にくべる』という言い方はなくなってしまうかもしれません。
『くべる』の由来とは
『くべる』の由来は、『くぶ』という古語です。『くぶ』はバ行下二段活用の他動詞で、漢字で『焼ぶ』と表記します。由来となった意味は、「火に入れて燃やす」です。『くぶ』に由来して、連用形の「くべ」に完了の助動詞『り』が付いて、言いやすいように変化し『くべる』になっていったと考えられています。
日本で最も古い物語と言われる『竹取物語』の中でも使われています。かぐや姫が求婚者に対して、火に入れても燃えることのない「火鼠の皮衣」を探してくれば結婚してあげようと言います。求婚者は見つけられずに、間に合わせの偽物を持ってきます。かぐや姫が人に皮衣を火に入れて焼かせてしまう場面で『くぶ』が出てきます。
『竹取物語』使用例
「火の中にうちくべて焼かせたまふに」
(訳)求婚者の男性が持ってきた皮衣を、火に入れて焼かせなさったところで
有力ではないが面白い由来
もう一つの由来は、かまどの焚き口を人がお腹を空かせる様子に見立てたことからできたとも言われています。『腹減る(はらへる)』と『くぶ』を組み合わせて『くべる』という動詞ができたと言うことです。しかし、この由来は定かではなく、後から付いた物ではないかという説が専らです。
『くべる』の漢字は?
元々が『焼ぶ』(くぶ)ですので、『くべる』を漢字表記する時には『焼べる』を使います。類義語の項目で述べた通り、『焼』という字には「くべる」と同様の意味合いがあります。「火を付けて燃やす」、「火に入れて燃える」、「火にかけて加熱する」ということを表します。
『くべる』の意味を例文で確認しよう!
『くべる』について、例文を挙げるので意味を確認してみましょう。
「火を燃やすためにすぐ燃える物を入れる」
- 古紙を火にくべる。
- 備長炭で焼き鳥を焼く店で、炭を焼き網の下にくべていた。
「燃やす物を補充する」
- かまどの勢いが弱くなってきたので、薪を火にくべた。
- 各部屋にいろりがある民宿では、暖を取るためにいろりを使っていて、火にくべられるように炭を持ってきてくれた。
キャンプに行ったら『くべる』という言葉を使ってみよう!
『くべる』や『火にくべる』について、あまり聞き慣れずに方言だと思っていた方も多いでしょう。家で使う機会がない場合は、キャンプなどに行った時や、野外活動をしてたき火が必要になった時に『くべる』という言葉を使ってみると良いでしょう。人から聞かれた時に説明すると驚かれることもあります。おじいちゃんやおばあちゃんに話をした時に『くべる』について、話が弾むかもしれません。