『首無し鶏マイク』首を切断されてから18カ月も生存したニワトリ
脊椎動物は基本的に首を切られると死んでしまいます。しかし「首なし鶏マイク」は首を切断されても生き続けました。その期間なんと18カ月。「首無し鶏マイク」はなぜ首を切断されても生き続けられたのでしょうか?今回は「首無し鶏マイク」が起こした奇跡についてご紹介します。
目次
- 1脅威の実話「首無し鶏マイク」
- 2「首無し鶏マイク」は丸焼き用の鶏だった
- 3「首無し鶏マイク」がふらふらと歩き始める
- 4「首無し鶏マイク」は餌をつつこうとした
- 5一晩経っても生き続けた「首無し鶏マイク」
- 6ビールの賭けに使われた「首無し鶏マイク」
- 7科学的にも生存が認められた「首無し鶏マイク」
- 8脳幹の残存により生き残った「首無し鶏マイク」
- 9脳が80%近く残されていた「首無し鶏マイク」
- 10すくすくと成長した「首無し鶏マイク」
- 11アメリカ中で興行を行った「首無し鶏マイク」
- 12突然やってきた「首無し鶏マイク」の死
- 13記念日として復活した「首無し鶏マイク」
- 14農家を続けたロイド・オルセン
- 15近年見つかっている首無し鶏
- 16首無し鶏マイクまとめ
脅威の実話「首無し鶏マイク」
脊椎動物は基本的に首を切られると生き続けることはできません。それは医学でも証明されています。しかし、1945年にアメリカコロラド州で首を切られたはずの鶏がその後18カ月も生き続け「首無し鶏マイク」として有名になったという奇跡の実話が存在します。この「首無し鶏マイク」はなぜ18カ月もの間生き続けることができたのか?今回は「首無し鶏マイク」が生まれた経緯から奇跡が起こった理由や、マイク以外にも発見された首無し鶏の動画まで詳しくご紹介します。
「首無し鶏マイク」は丸焼き用の鶏だった
1945年9月、アメリカコロラド州のフルイタという地域にその農家はありました。妻であるクララ・オルセンさんはその日の夜に鶏の丸焼きを食べるために準備をしていました。夫のロイド・オルセンさんも丸焼き用のフライパンを街に買いに行った後に、丸焼きにするための鶏を一羽選んでいつものように首を切断しました。
「首無し鶏マイク」がふらふらと歩き始める
丸焼き用の鶏は特に生きのよかった生後5カ月程度の雄を選びました。勢いよく暴れる雄の鶏をロイドさんは押さえつけ、首がきちんと残るように頭を切断しました。鶏の首は、よく動かされるために肉が引き締まり美味しく、いい出汁が出るので取っておくようにとロイドさんは彼の母親に言われていました。しかし、しっかりと首を切断したはずの鶏はそのまま首無しのままふらふらと歩き始めました。
「首無し鶏マイク」は餌をつつこうとした
フラフラと歩き始めた首無し鶏はそのまま鶏小屋の方へと歩いていき、他の鶏に交じって餌をつつくような仕草をしたり、毛づくろいをしようとしました。勿論その間にも首無し鶏の体からは血が流れ続けていました。この奇妙な行動を見たロイドさんは取りあえず一晩様子を見てみようと考えその鶏をリンゴ箱の中に入れました。
一晩経っても生き続けた「首無し鶏マイク」
翌日になってロイドさんが首無し鶏の様子を見に行くと、鶏は切断された首を羽の下にしまい込んで変わらず生き続けていました。この奇跡を目の当たりにしたロイドさんは鶏の生命力に驚き、この鶏を生かすことを決めました。マイクと名付けられた首無し鶏は、餌の穀物や水をスポイトで首に空いた穴から流し込むことで生き続けることとなりました。
ビールの賭けに使われた「首無し鶏マイク」
ロイドさんは、鶏肉を卸すために精肉市場に行った際に一緒に首無し鶏マイクを連れて行ったと言います。そしてそこに集まった人々に「首の無い鶏は存在するか?首がなくても生きられる鶏はいるか?」という質問をしている・いないの答えそれぞれにビールなどを賭けたそうです。そしてマイクを周りの人に見せ、見事賭けに勝ったロイドさんはビールを奢ってもらったそうです。こうして世間の目に晒されたマイクの噂は瞬く間に広がっていきました。
科学的にも生存が認められた「首無し鶏マイク」
「首無し鶏マイク」が生まれた翌週、ロイドさんは家を出て約480km離れたソルトレイクシティにあるユタ大学にマイクを連れて行き、科学者にマイクを検査してもらいました。鶏が首を無くしたまま動き続けている奇跡の光景に科学者たちは一様に驚いたといいます。科学者たちはロイドさんにたくさんの質問を行いなぜマイクが生き続けているのか、その奇跡が起こった原因を探りました。
脳幹の残存により生き残った「首無し鶏マイク」
科学者たちによる議論が行われた結果、ロイドが屠殺のために斧で首を切断した際に、首の静脈を外してしまったためにあまり大量に血が流れず、血の凝固作用によって傷口が塞がったという結論が得られました。またもう一つの要因として切断された頭部の他に耳や脳幹がかなりしっかりと残されていたいたことが原因と考えられました。
脳が80%近く残されていた「首無し鶏マイク」
鶏の脳
ニューキャッスル大学のスマルダーズ教授によれば、脊椎動物は首と胴体を切り離したとしても、短い時間であれば脊髄の中に酸素が残っているので神経細胞が活発化することによって足が動くようなこともあるのだそうです。しかし、動いたとしてもせいぜい15分程度が限界で、18カ月も動き続けることは不可能だといいます。スマルダーズ博士は、マイクの体に脳が80%近く残されていたのではないかと推測しています。
おそらくマイクの体には脳幹が残されており、呼吸や心拍度数・空腹・消化などに携わる部分が無事であったためにマイクは生き残れたのだと言います。そこに静脈が外れて出血が少なくすぐに血が止まったことが重なってこのような奇跡が起こったそうです。
すくすくと成長した「首無し鶏マイク」
その後もすくすくと成長したマイクは当初0.9kgだった体重が3.6kgまで増加したそうです。こうして首無し鶏マイクはその奇跡的な18カ月の生涯を送ることになります。ロイドさんは「マイクは特別大きく立派な鶏だった、他の鶏と同じように生活していたから、本人はきっと首がなくなったことにも気づいていなかったんじゃないかな」と語ったと言います。
アメリカ中で興行を行った「首無し鶏マイク」
首無し鶏マイクはその後、だロイズさんとマネージャーと一緒に「奇跡のマイク」としてニューヨーク、ロサンゼルス、アトランティックシティを始めとするアメリカの各地で興行を行いました。見世物小屋でマイクを見るためにお客さんは25セント(約28円)を支払って列をなしたそうです。ロイドさんの元にはアメリカ中から手紙が40~50通ほど届きました。
中にはロイドさんたちをナチスのようだと非難する手紙や、アラスカから届いた手紙ではマイクの足を木製の足に変えないか、という相談が書かれていたりしました。しかし、宛先に「コロラドにいる首無し鶏の持ち主」とだけ書かれていればきちんとロイドさんの元に届けられるほど、マイクの存在は有名になっていました。首無し鶏マイクは更に評判を高めていき、100万円以上の価値があるという評価もされました。遂には噂を聞きつけた有名な雑誌の取材を受けて紙面を飾り、マイクはギネスの記録としてもその奇跡の生き様が残されています。
突然やってきた「首無し鶏マイク」の死
そんな人気絶頂だった首無し鶏マイクでしたが、巡業中マイクの死は突然訪れました。その日の夜、アリゾナの砂漠の中にあるモーテルで、いつものようにロイドさんはスポイトでマイクに餌をあげていましたが、マイクの喉に餌が詰まって窒息状態になってしまいました。
苦しそうに息を荒げるマイクに、ロイドさんは食道の掃除用スポイトを探しましたが、その日に限ってスポイトはどこにも見つかりませんでした。こうしてマイクは静かに息を引き取り、18カ月という奇跡の生涯を終えました。
記念日として復活した「首無し鶏マイク」
実はマイクが亡くなった後も、首無し鶏マイクがいたコロラド州フルイタでは、毎年5月の第三日曜日を「首無し鶏の日」という記念日にしてお祝いをしているのだそうです。マイクが亡くなってからインタビューに応えたロイドさんは「今でもマイクはフルイタでは語り草になっているが、それはマイクの首がなかったからではなく、生きることへの強さがあったからだ」と語ったそうです。
農家を続けたロイド・オルセン
首無し鶏マイクの生みの親であるロイドさんは、巡業によって大金持ちになったと言われていましたが、元々ロイドさんが営んでいた小さいな農場の経営状況がよくなかったために、仕方なく巡業を行っていたため、首無し鶏マイクと巡業を始めてからも農家を辞めたわけではありませんでした。
ロイドさんのひ孫にあたるトロイ・ウォータースさんによれば、大金持ちというのは誇張で実際は干し草を包む機械2台とトラクターを購入し、馬やロバを買い替えたほか、トラックも一台買うなどしたそうですが、そのような設備投資にお金を使ったため経営は回復しても、生活ぶりに変わりはなかったそうです。
近年見つかっている首無し鶏
実は首無し鶏はマイクだけではなく、近年他の場所でも見つかっています。上の動画は2013年の7月に公開されたもので、場所や詳細については不明なのですが、確かに首を切断された状態で生きていることが分かります。子供に触られて逃げるような動きをしているので、18カ月生きたマイクと似たような状況であることが考えられます。この鶏がどれくらい生きたのか、現在どうなっているかは分かっていませんがとても興味深い動画です。
首無し鶏マイクまとめ
写真はフルイタに建てられたマイクのモニュメント
出典: http://buzzap.jp
首が無いまま18カ月も生き続けた奇跡の鶏「首無し鶏マイク」について調べてみたところ、にわかには信じがたい事実が明らかになりました。科学的にも証明されており実在したことも間違いないのですが、それでも中々信じがたい話でした。近年でも首の無い鶏が動画で挙げられており、これからも話題を呼びそうですね。