実在した呪いの人形・アナベルとエド＆ロレイン・ウォーレン夫婦の怖い事件
実在した呪いの人形・アナベルの実態とは？ホラー映画『死霊館』に登場するアナベルには、実はモデルとなった実際の事件があった！本物の呪い人形が実際に起こした怪異の数々とは？そして、超常現象の専門家エド＆ロレイン・ウォーレン夫婦が見たアナベルの正体とは？
目次
呪いの人形は実在した？
映画『アナベル 死霊館の人形』のアナベル人形
人形の髪が伸びる、夜な夜な人形がこっちを見ている、勝手に動いている……
そんな怖い話は誰しも１度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、１９７０年のアメリカで実際にあった呪いの人形のお話しです。
元はラガディ・アンという、アメリカでは普通に市販されていた人形のうちの１体でした。
映画『死霊館』のモデルにもなった人形、アナベルの正体とは？
『死霊館』という映画をご存じでしょうか？
『ソウ』などの代表作で知られるジェームズ・ワン監督のホラー映画作品です。
死霊館には、前日譚として『アナベル 死霊人形の誕生』という作品があります。
この映画は興行収入が１０００億円を突破した人気作で、この映画のヒットによって死霊館の名前も一躍有名となりました。
しかも、この映画はとある人形にまつわる実話を元にしている事が怖い物見たさの人々の注目を集め、知名度の飛躍に拍車をかける事になりました。
『アナベル 死霊館の人形』より
この死霊館に出てくるアナベル人形は実際に存在し、その実物は現在はとある場所に保管されています。
元々は、アメリカの国民的キャラクター「ラガディ・アン」の布製の抱き人形でした。
ラデガディ・アンは『ラガディ・アン＆アンディ』というアメリカの絵本に出てくるキャラクターです。
可愛らしくとぼけた表情をしているのが魅力的な人形で、怖い人形ではありません。
呪われたアナベル人形、その事件の発端とは？
1970年。大学で看護学を学ぶドナという女性がいました。
彼女は誕生日に、母親からラガディ・アンの人形をプレゼントされたのです。
愛らしいこのキャラクターの人形を、彼女はとても気に入りました。
この人形こそが、今回の主役であるアナベル人形です。
こうして、この事件は静かに幕を開きます。
ドナが誕生日に送られたのは呪いの人形だった？
実際のアナベル人形
ドナは、大学で勉強する傍らルームメイトのアンジーと共に小さなアパートで生活していました。
アンジーも、可愛らしいアナベル人形をとても気に入りました。
しかしアナベル人形が家に来てから数日が経過すると、２人は異変に気づきました。
アナベル人形の位置が、動いていたのです。
最初のうちはわからない程度にしか動いておらず、２人も気のせいだと思っていました。
しかしある日、それが決定づけられる事件が起こりました。
ソファの上に置いて出かけたアナベル人形が、帰宅した後にベッドの上に移動していたのです。
友人の忠告、しかし２人は
２人にはルーという共通の友人がいました。
ルーはこの話を聞くと薄気味悪くて怖いと思い、２人にこの呪いの人形を燃やして捨てるよう提案しました。
ですが２人はこれを聞き入れません。
アナベル人形が動くのは確かに気味が悪くて怖いとは思いましたが、元々は母親のプレゼントですし、人形は元々ラガディ・アンという愛らしいキャラクターだからです。
まして、呪いの人形だなんて何かの冗談だと、逆に怖がるルーをからかったぐらいでした。
この時、２人は特に人形をどうにかすることはしませんでした。
しかし、これが後にルーという少年に悲劇が訪れる事になってしまいます。
呪いの人形が古い羊皮紙に込めたメッセージ
アナベル人形を中心とした怪奇現象は、ある日を境にエスカレートしていきます。
家のそこかしこで、謎のメッセージが見つかるようになったのです。
どれも子供が書いたようなたどたどたどしく、拙い文字で書かれていたといいます。
このメッセージは、なんと本物の羊皮紙に書かれていました。
２人は、羊皮紙になど覚えがありません。
その中には『ルーを助けて！』というようなメッセージもありました。
さすがに２人はいくらなんでもただ事ではないと思い、アナベル人形の事を霊媒師に相談する事にしたのです。
呪いの人形の正体は少女アナベルのかわいそうな霊だった？
霊媒師に相談した結果、２人は次のような説明を受けたといいます。
「２人が住むアパートが建つ前に、ここには家があった。そこにはヒギンズという一家が暮らしていた。ヒギンズ家にはアナベルという少女がいた。しかしこの少女はわずか７歳で亡くなってしまう。この人形に取り憑いているのは彼女の霊だ」
驚きを隠せない２人に、さらに霊媒師は説明を続けます。
「このアナベルは寂しさもあって、あなた達にとても親しみを感じている。可能であれば、２人のそばから離れたくないのだそうだ。大丈夫、人形に取り憑いているのは怖い霊ではない」
アナベルは怖い人形ではなく、寂しさから２人に寄り添おうとするかわいそうな少女だったのです。
２人は、アナベル人形をそのままアパートに置いておくことにしました。
しかしこの選択によって、友人であるルーに悲劇が訪れる事を、まだ２人は知りませんでした。
アナベル人形が少年ルーに見せた呪われた悪夢
その頃、ルーは毎晩悪夢に悩まされるようになっていました。
その夢の内容とは、アナベル人形がルーの足下から這い上がってきて、胸を伝い、首にまで到達する。
そして、彼の首を強く絞める、という夢でした。
それが何度か続くうち、やがてその苦しみが夢とは思えないほどのリアリティを伴うようになってきました。実際に首を絞められているような怖いほど鮮明な感覚、感触に襲われ、夜中に何度も目を覚ましたそうです。
後日、ドライブにでかけるためにルーがドナのアパートを訪れたとき、事件が起こりました。
ルーの胸に刻まれたアナベル人形の爪痕
ルーがアパートの中に入ると、誰もいないはずの別の部屋から、ガサガサという奇妙な物音が聞こえてきたと言います。
恐る恐る部屋を覗いてみると、そこにはアナベル人形がありました。
ルーは怖いという感情をぐっと抑えて、アナベル人形に近づきます。
しかし、その瞬間に彼の胸を激しい激痛が襲いました。
心配したドナとアンジーがルーに近づくと、彼の着ているシャツが真っ赤に血で染まっていました。
何事かとシャツを脱がせ、ケガの具合を見てみることに。
すると、ルーの胸には獣の爪痕のような傷が７本、はっきりと現れていたと言います。
超常現象研究家、エド＆ロレイン・ウォーレン夫婦
エド＆ロレイン・ウォーレン夫婦の実際の写真
このルーを襲った一連の事件から、アナベル人形に取り憑いているのがかわいそうな少女の霊であるという鑑定結果に疑問を抱くようになりました。そして、今度は有名な超常現象研究家であったエド＆ロレイン・ウォーレン夫婦に再調査を依頼することにしました。
この２人は、映画『悪魔の住む家』のモチーフになったとも言われている、とあるニューヨークの事件に関わった事でも知られていました。このエド＆ロレイン・ウォーレン夫婦は６０年以上も悪魔祓いを行い、多くの怪奇現象を解決に導く専門家でもありました。
このエド＆ロレイン・ウォーレン夫婦をもってしても、後にアナベル人形に対しては『あれは本物だ。これまで調査したものの中で最も恐ろしい呪われた事例だった』と語っていたそうです。
調査を依頼された夫婦は、いよいよ本物のアナベル人形と対面する事になります。
アナベル人形に取り憑いていたのは、本物の悪魔だった！
エド＆ロレイン・ウォーレン夫婦は、早速アナベル人形の調査に取りかかりました。
そしてその結果、アナベル人形に対する先の霊媒師の鑑定結果を完全に否定しました。
ラガディ・アンの人形に取り憑いている霊は少女ではなく、本物の悪魔だと断定したのです。
エド＆ロレイン・ウォーレン夫婦はクック神父というエクソシストにアナベル人形とドナの部屋の悪魔祓いを依頼しました。
本物の悪魔はこうして祓われ、事件は無事に終息したかのように思われました。
しかし、呪いのアナベル人形の恐怖はこれで終わりではなかった
悪魔祓いをしたとはいえ、ドナとアンジーのアナベル人形に対する怖いという思いは消えませんでした。
そこで、エド＆ロレイン・ウォーレン夫婦がこのアナベル人形を預かることになったのです。
しかし、アナベル人形の怪異現象は、夫婦の自宅でも度々発生しました。
悪魔祓いは、このアナベル人形に対して効果がなかったのです。
そこで夫妻は、悪魔祓いを諦めてガラスケースの中にアナベル人形を封印することにしました。
これにより、アナベル人形は動き回るのをようやくやめたそうです。
呪われたアナベル人形の現在
ウォーレン氏の運営しているオカルト博物館
この呪われたラガディ・アンの人形は、現在はロレイン・ウォーレン氏の運営しているオカルト博物館に保管されています。エド・ウォーレン氏が２００６年に亡くなってから、奥さんのロレイン氏が１人でこの博物館を管理しているそうです。
このオカルト博物館は誰でも入る事ができ、実際のアナベル人形を見る事もできます。
やはり見た目はラガディ・アンの可愛らしい人形ですが、しかし、このように厳重な管理下に置かれています。
オカルト博物館に保管されているアナベル人形
箱には「絶対に開けるな！」と注意書きされている
とある男性がこの注意書きを無視し、アナベル人形の入ったガラスケースを叩きつつ「やれるならやってみやがれ！」などと声をかけたそうですが、その男性は博物館からの帰り道に事故に遭ってそのままこの世を去ったそうです。
アナベル人形は現在も本物の呪われた悪魔が宿っているとして、多くの人から怖がられています。
まとめ
映画死霊館のモデルにもなったアナベル人形にまつわるエピソード、いかがだったでしょうか。
アメリカのホラー映画では、このように実際の事件をモチーフにした作品がいくつも存在します。
もちろん死霊館をはじめとしたホラー映画の内容はモデルより脚色されていたり、エンタメ向けに作り換えられたりしています。
その結果、映画だけを見ても嘘くさいと思う人もいるかもしれません。
だからといって全てが虚構であると否定することができるでしょうか。
現にこのアナベル人形はコネティカット州の郊外にあるオカルト博物館に、今なおガラスケースに入れられ厳重に管理・保管されているのですから。