なぜ「ホクレン」はバターを品薄にしたのか?ガイヤの夜明けで暴露し炎上

なぜ起こる!?日本が陥る「バター」品薄問題。値段が高い「バター」には様々な理由が絡んでいた。テレビ番組「ガイアの夜明け」に出演「ホクレン」の「近藤好弘」の発言が炎上にまで発展。「バター」不足問題はすベて「ホクレン」が裏で手を回していのか?資料を元に解説。

なぜ「ホクレン」はバターを品薄にしたのか?ガイヤの夜明けで暴露し炎上のイメージ

目次

  1. 1品薄状態の続く『バター』
  2. 2『ガイアの夜明け』バター特集
  3. 3「ホクレン」がなぜ炎上したか
  4. 4「ガイアの夜明け」に登場した株式会社『MMJ』とは
  5. 5『バター』不足原因① 『ホクレン』が握る生産割合
  6. 6『バター』原因② 生乳需給などの問題
  7. 7『バター』原因③ 用途別乳価と優先順位
  8. 8『バター』不足原因④ 輸入量のミス
  9. 9『バター』不足原因⑤『農林水産省』天下り利権
  10. 10『バター』不足の原因に陰謀の”カゲ”はないか?
  11. 11『フランス』でも『バター』不足に
  12. 12これからも日本は『バター』不足に陥るか
  13. 13まとめ:『バター』品薄『ホクレン』

品薄状態の続く『バター』

いつまで「バター」の品薄状態が続くのか

出典: https://www.amazon.co.jp


品薄・高い「バター」
バターといえば品薄と覚えて久しい今日この頃。
各地のスーパーでも時期によっては品切れ状態が続いていたり、高い値段に設定されていたり、購入できても1人一個までと制限が設けられていたりなど、「バター」は日本人にとって希少な物となってきています。

日本では「バター」不足が2007年末から発生してその後年々、散発的に「バター」供給の不足の自体に陥ってます。

普通の疑問として、牛乳から「バター」は出来ますから不足しない牛乳があるのになぜ「バター」は不足するのか?と考える人も多いかと思われます。
牛乳があるのだからそれで「バター」を作れと。しかし問題はそう簡単ではないのかもしれません。

「バター」品薄問題には様々な問題が入り組む

出典: http://alice.cocolog-nifty.com


なぜ「バター」不足になるのか。その原因として考えられていることは一般的には「酪農家」の減少や天候の変化、廃棄処分を減らそうとする「酪農家」「農協」の全体的な生産量減少傾向の流れなどがあります。
一般的にはそういった理由により「バター」の値段が高いものになったり品薄になったりしていると考えられています。

『ガイアの夜明け』バター特集

問題となった「ホクレン農業協同組合連合会」へのインタビュー

出典: https://www.amazon.co.jp


2011年11月22日放送の「ガイアの夜明け」
2011年11月22日放送の「ガイアの夜明け」では「巨大"規制"に挑む!~明かされる「バター不足」の闇~」と題して「バター」不足の原因について特集が組まれました。

スーパーでは数日おきに特売になる商品「牛乳」がある一方、他方では年末やバレンタインの時期には品切れも珍しくない「バター」。
そしてここ10年では「バター」の価格が上がり続けついには10%も上昇しています。
そうした自体はとある巨大な組織による”規制”によって引き起こされていた、というような論調と内容で「ガイアの夜明け」は放送されました。


「ガイアの夜明け」予告。

「ホクレン」がなぜ炎上したか


件の「ガイアの夜明け」炎上原因キャプチャ画像。

出典: http://www.jiti.co.jp


「近藤好弘」はなぜ炎上したか
「ホクレン酪農部」の部長「近藤好弘」氏がインタビューで答えた上記のシーンがTwitterをはじめとしたSNSで拡散されました。
「近藤好弘」氏曰く、
”消費者の心理としては物がたくさんあったら焦って買わない”
”ところが どんどん売れて言って「なくなるぞ」となったら”
”いるのか いらないのか よく分からないけど「とりあえず買っとけ」と買っちゃいますよね”
”分かります?”

と受け答えたシーンが殊更に取り上げられてしまったようで炎上してしまいました。
この「ガイアの夜明け」バター特集を見た視聴者は「ホクレン農業協同組合連合会」が市場を独占して「バター」の流通を減らし消費者の購買心理を煽るような狡いやり方に反感を持ったようです。

そもそも「ホクレン」とは何か

出典: http://sozaihiroba.net


経済農業協同組合連合会
「ホクレン農業協同組合連合会(略称ホクレン)」は酪農家の幅広い事業に対し効率的に流通、販売を行うための組合。
酪農家は雌牛が毎日生産し続ける生乳を各乳業メーカーに販売しなければなりませんが、腐敗しやすい生乳は生産から短時間のうちに乳業メーカーに引き取ってもらわなければなりません。
そういった特性から酪農家と乳業メーカーとの取引では不利な立場になることが多い酪農家。
こうした不利な取引を避けるために仲介する「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」に基づいた「指定生乳生産者団体(指定団体)」が全国で10団体設けられています。そのうち北海道全域をとりもつのが「ホクレン」なのです。

出典: https://www.amazon.co.jp


指定団体によって「一元集荷 多元販売」が可能に
「ホクレン」の仲介することにより酪農家は生乳を販売委託、乳業メーカーとの価格交渉を公平な立場で行うことができます。
さらにメリットはあって、生乳は液状輸送なのでコストがかさむのですが、指定団体によって広域的かつコスト大幅減で輸送ルートを持つことができるのです。
また天候や景気、生産過剰などにより生乳需給変動によるリスク分散、生乳廃棄をさせず乳業メーカーに販売することもできます。

「ガイアの夜明け」に登場した株式会社『MMJ』とは

「MMJ」とはどんな会社か

出典: http://www.milkmarket-japan.com

「株式会社MMJ」 酪農と乳業をむすぶ生乳売買プラットホーム
「ガイアの夜明け」では「株式会社MMJ」の人たちが奮闘する姿が描かれました。
「株式会社MMJ」とは生乳を酪農家より買い取る”民間”の卸売業者。
番組では指定団体に不満を募らせている酪農家「鈴木名翼」氏が「株式会社MMJ」を出荷先に変更し契約している姿が描かれました。
 


生乳を高い値段で買い取れる「株式会社MMJ」
「MMJ」での生乳買取単価は指定団体より10円ほど高く、そこが民間卸売「MMJ」の一番のセールスポイントだと言います。そこだけを見ると利益を酪農家に還元している「株式会社MMJ」は良い会社に思えますが……。
取材当時では「株式会社MMJ」と契約している酪農家は全国で約50件存在し指定団体以外で全国流通(1%)している唯一の民間卸売業者になります。
「ガイアの夜明け」では「株式会社MMJ」に密着取材。そこで起きた問題を報道し業界の既得権益を目の当たりにしたと放送しました。

『ホクレン』が悪いわけじゃない?いいとこ取り(?)の「MMJ」


「ガイアの夜明け」では「MMJ」に寄った放送内容でした。

要するに「ホクレン」は北海道全域の酪農の調整役といった感じです。
生乳の生産数などに応じて用途を振り分けるのですが、用途に応じて値段が変わるので軋轢が生じることもあります。
それを側からやってきて「うちは高い値段で買う」といってきたのがアウトサイダーの「MMJ」。
乳価の高い牛乳用の生乳を扱う比率を高くすることで酪農家への生乳買取単価を高くすることができました。
 


番組「ガイアの夜明け」では「MMJ」に「箱根ベーカリー」が「バター」不足に困っているということで相談を持ちかけられていました。「MMJ」の方は「バター」の生産も考えているということでした。
ところが北海道内の「バター」生産工場に話を持ちかけても指定団体以外とは取引しないと断られ続けます。
この事に対して同情的な眼差しを向けられる方もいますが、一方、「MMJ」は良い所取りだとする見方もあります。
「MMJ」の実態はどうなんでしょうか。


農協を通さない組織を業界では「アウトサイダー」と言います。アウトサイダーになれば補助金を受けられませんが、飲用乳の割合を高めれば、農家の買取乳価は高くできます。ってんで、飲用比率の高い買取業者が、「うちは農家から高く牛乳を買います」って商売ができますよね。番組で採り上げられていたMMJがそういう会社かどうかは、知りません。 例えばの話ですけど、こういう買取業者が牛乳が余ったからと言って、「うちの牛乳をバターにしてくれませんか?」って工場を回ったら、引き受けてくれると思いますか?「いい所取りをしている会社が、何を言う」って断るのが普通じゃないですかね?私なら断りますよ。「バター工場も自前で作れ」って言いたくなりません?

『バター』不足原因① 『ホクレン』が握る生産割合

「ホクレン」が全国に卸している「バター」用生乳は約9割

出典: https://news.cookpad.com


世界的に見ると「バター」不足というものはそうあることではなく、日本での散発的な「バター」不足は珍しいものです。
「ホクレン」が全国に流通させるバターの割合は約”9割”です。そのことから「ホクレン」が供給を絞るだけで全国に「バター」不足を引き起こすことができるとされ槍玉に挙げられています。
 

『バター』原因② 生乳需給などの問題

出典: https://www.amazon.co.jp


時期により生乳需給が変わる要因と牛の体調、天候
夏場は牛乳の需要が高まりますが、牛にとっては気温が高くなると生乳の生産が難しくなります。
しかしここで需給を補うために多くの牛を揃えると、冬場には生乳の需給が減りますから生乳の生産過剰が引き起こされます。
そうなると酪農家の方々は泣く泣く生乳を廃棄する自体にもなりかねません。
なので安易に、牛の頭数を増やしたりはできないのです。

『バター』原因③ 用途別乳価と優先順位


生乳は使用用途により乳価が変化します。
牛乳など飲用が一番高く、「バター」などの加工品用にすると乳価が下がります。
その上、生産には優先順位があり牛乳用の生乳は賞味期限が短いため最優先。
保存性のある「バター」や「脱脂粉乳」などは残りの生乳で生産されます。
乳価の決定は「日持ち」や「国の政策」などが関わってきますが、酪農家団体との乳価交渉を経て合意の上で設定されます。

『バター』不足原因④ 輸入量のミス

出典: https://corecars.jp


国内生産の「バター」が足りない場合は輸入に頼っている
「バター」不足問題はただ単に政府が「バター」の需給予測を見誤った影響だとする見方もあるようです。
乳製品に関して日本はカレントアクセス輸入によって毎年決めた量の輸入をしています。
その輸入量は政府がどれだけ需給予測を建てたかにより変わりますので直接的な「バター」不足の原因は輸入量のミスにあるとする人もいるようです。
余談ですが2017年の「バター」輸入量は前年の不足事態を鑑みて約2倍の輸入量を設定したようです。

『バター』不足原因⑤『農林水産省』天下り利権

利権団体の利益が消費者を苦しめる?

出典: http://www.irasutoya.com

「農林水産省」の天下り利権
原因か?

2008年に起きたバター不足ですが、これは農林水産省は2007年国産バターが余っているとしたことでバター減産を命じた影響であるといいます。
国内のバター需要を見誤っている農林水産省が一つの原因になっているのか?しかしこれは表向きの理由として、
バター輸入業務を独占している農林水産省の天下り団体「農畜産業振興機構」によって「バター」不足が起こっていると考察する人もいます。

利権団体も一つの要因か。
 


農林水産省の天下り団体である『農畜産業振興機構』は、バターの輸入業務を独占しています。 通常、バターを輸入しようとすると、一次関税に加え二次関税も発生し、商品に対して非常に高い関税を支払わなければなりません。 これだけでも大きな負担であるというのに、さらに輸入業者は、 マークアップと呼ばれる上納金を『農畜産業振興機構』に支払う必要があるのです。 こうして、『農畜産業振興機構』は年間10億円以上の上納金を得て、そのお金でまたもや天下り資金へ使う… そして、農林水産省に長年勤めていた年寄りOBの財布が潤う… このような国家ぐるみの利権政治のせいで、官僚の利権のツケを国民が支払わされているという、あってはならない事態が起きています。

『バター』不足の原因に陰謀の”カゲ”はないか?

「ガイアの夜明け」の「ホクレン」インタビューの内容は恣意的な抽出か

出典: http://www.irasutoya.com


当然、視聴者の中には「ガイアの夜明け」の放送内容に対して訝しむ人もいたようです。
炎上した「ホクレン」農耕部部長「近藤好弘」氏のインタビューはあくまで消費者の一般論を語っただけであり、そもそもインタビューがバター不足についてだと聞かされていなかった、とも言われています。
質問の最後には「バターは品薄くらいがちょうどいい?」と訊かれた「近藤好弘」氏は、「安定供給というのが大事だと私は思うので、そういうことではない」と答えました。このことから「近藤好弘」氏が意図して品薄商法を「ホクレン」で行なっているとは考えにくいかもしれません。
ネットニュースサイト「ねとらぼ」では一連の炎上についてホクレンに問い合わせたようです。


編集部が一連の映像と発言についてホクレンの広報に問い合わせると、担当者は「放送されたものは意図した内容ではなく、誤解を与える番組と認識している。そもそも “バター特集”用のインタビューとも聞いていなかった」「ホクレンでは酪農家から預かったものを乳業メーカーと話し合うだけなので、仕組み的に生産量の調整はできない」と回答。

『フランス』でも『バター』不足に

1人あたりのバター消費量1位のフランス

出典: http://www.irasutoya.com


2017年、フランスでも「バター」不足が発生し店頭から「バター」の姿が消える事態が深刻化しているようです。
フランスといえばクロワッサンやフランスパンなど一人当たりの「バター」消費量首位の「バター」を多く消費する国です。
フランスでは小売業者間の「バター」の価格競争が激化してます。
2015年に欧州連合によって生乳生産上限が撤廃されたために生乳の生産供給が過剰に。価格が急落。
そのせいか2017年春あたりまで生乳生産者が生産を抑えるように。
そうした自体によりフランスでは「バター」不足が巻き起こっているようです。

これからも日本は『バター』不足に陥るか

出典: http://www.irasutoya.com


日本では「バター」が2014年、2015年、2016年と毎年のように供給不足になる事態です。
「バター」が一番消費されるのはクリスマスやバレンタインなど、お菓子作りが盛んになる時期。
2017年も「バター」不足になる可能性は高そうですが、2016年は「バター」不足事態に際し緊急輸入をしました(それでも各地足りないところがあったようですが)。
2017年度は「バター輸入量」を前年比から約2倍ほどを見込んでいるようなので(およそ13000トンの設定)「バター」不足に毎年悩む自営業のベーカリーの方は少し安心かもしれませんね。

まとめ:『バター』品薄『ホクレン』


なぜ日本では「バター」の高い値段設定や品薄が続くのか。原因は色々な都合、理由が存在しその結果「バター」不足が長年続いているようです。
国内の「バター」の約9割が酪農家から「ホクレン」を通してメーカーに卸されます。
そういったことから「ホクレン」が「バター」流通の生殺与奪を握っているのだと考えられていますが、それだけの理由ではないにしても、それも確かな一要因ではあるようです。

情報を追う限りではなぜか炎上した「近藤好弘」氏をはじめとした「ホクレン」”だけ”が槍玉にあげられていたりしますが、「ホクレン」だけを恨むのは少し違うのかな、といった感じです。
皆さんはどう考えますでしょうか。

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