「レイシストをしばき隊」とは?メンバーや事件まとめ。その正体とは…
在特会のヘイトスピーチが社会問題化された時、野間易通氏率いる「レイシストをしばき隊」が在特会と対峙しました。その影響で在特会は弱体化しましたが、「レイシストをしばき隊」メンバー内に事件がありました。野間氏以外のメンバーや事件を検証していきたいと思います。
目次
「元しばき隊ジャーナリスト」と言われた菅野完氏
森友学園問題が国会で取り上げられ、安倍首相が「私や妻が関係していたということになればこれはまさに私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」と啖呵を切り、雲隠れしていた森友学園の籠池理事長(当時)が突如表に出て記者会見をした頃、籠池理事長はワイドショーの顔となっていました。
海外特派員協会での記者会見のために上京した彼でしたが、突如会見が中止、代わりに立ち寄った麻布のマンションの前で、眼鏡をかけた一人の男が記者に囲まれました。
弁が立つ彼は「彼がもっているものは政権が2つ吹っ飛ぶ」話だと見栄を切り、迫田国税庁長官(当時)と松井一郎大阪府知事の顔写真をカメラの前に出し「この人達が悪いから取材に行け」と取材陣を説教した挙句、「今から籠池氏をインタビューするから邪魔しないでくれ」と多くの取材陣を追い払いました。
「正体不明」の「怪しい」感じの「ジャーナリスト」と言われたその人は、Twitterで@Noiehoie(通称ノイホイ)として、知る人ぞ知る作家の菅野完氏でした。
『日本会議の研究』という本で、謎の「市民団体」の日本会議の存在を知らしめた菅野完氏は、その著作で森友学園の塚本幼稚園についても触れていました。
ネット上で、政権を擁護し彼を批判する人たちの間では、「元しばき隊」という言葉が頻繁に使われました。それらで使われる「しばき隊」という言葉は、忌避するべき存在のごとくネガティヴな響きを持っていました。
菅野完
日本会議関係者の買い占めや回収騒ぎが起こった『日本会議の研究』の著者。
森友学園問題では籠池夫妻に密着取材。資料などを洗い出し、貴重な書類、録音テープ、画像や動画などを分析し、マスコミに提供するなど、時の人となった。
Twitter凍結時にはネットニュースでも話題になる。
日本会議の研究
筆者が読んだ数ある日本会議本の中でも、ずば抜けてその正体に迫っており、菅野完氏の素行はともかく、調査力や洞察力に脱帽した本。
大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション読者賞。
「レイシストをしばき隊」メンバーだった菅野氏
「レイシストをしばき隊」は2013年1月に、フリー編集者の野間易通氏がTwitter上で「在特狩り行きたいな」とつぶやいたことがきっかけで、「レイシストをしばき隊(レイシストをしばきたい。略称しばき隊)」となったようです。
「在特」とは、「在日特権を許さない市民の会(通称在特会)のことで、彼らは新大久保や鶴橋の在日朝鮮人の多く住む地域で、在日朝鮮人を「ゴキブリ」呼ばわりするような排斥運動を行い、その勢力が拡大していました。
それに対し、カウンター活動も行われていましたが少数派でした。
その中で、野間氏の「しばき隊結成」の呼びかけに多種再々な人が集まり、菅野氏は当初から野間氏の右腕的な存在だったようです。
動画にも、菅野氏の姿が映っています。
菅野氏のしばき隊追放
しかし、菅野氏は「しばき隊」内で女性暴行や金銭問題などのトラブルを起こし「追放」されることになります。
同じ時期に「しばき隊」に所属した清義明氏は以下のように書いています。
とても社会運動の体裁を整えられるような集団ではない。「もともとネットのチンピラなんだから、チンピラなりの分をわきまえるべきだ」とかつてその界隈と行動をともにし、ご意見番のような存在であったひとりは、何か問題が表面化するたびに筆者に苦々しく言い放った。菅野完もいわばそうした「チンピラ」のひとりだった。もともとは女性関係に悪評があった菅野氏だったが、それがさらにエスカレートして運動内部で問題化。それを収拾しかけたかという矢先に運動の活動費用の金銭問題が明らかになった。ここでこの運動界隈の人たちは菅野氏から離れていった。今でもこの界隈から菅野氏は蛇蝎(だかつ)の扱いだ。
引用元: http://ironna.jp
それから数年が経った2017年初め、Twitterでは森友問題が、メディアより前に騒がれていました。
その時に菅野完氏が持っていた「安倍晋三記念小学院寄付金」などの、森友学園関連の資料が次々アップされ、拡散されていました。
筆者は「菅野完」という名前は『日本会議の研究』の著者としか知りませんでした。
しかしTwitter上では、彼のtweetが拡散されるたびに、「しばき隊」に関わった者たちを中心に、「菅野氏をリツイートしたらブロックする」など、かなり強烈な拒否反応が示されていたのを確認しています。
またノイホイのRTが回ってきた👀
— masayo (@birdofpassage05) March 15, 2017
それもほとんど関西のカウンター関連って。。
RTするなボケっ😤もう次に見たら全部ブロック。
アホ&へサい&ヘタレとは関わりたくないので。
あいつ、頭はいいけど人間としては
あかんやろ😡色々やらしたこと知らないわけ👀
レイシストを庇った菅野氏の本音
では何故菅野氏は、幼児や保護者に対し人種差別発言を繰り返したレイシストの籠池氏を庇ったのでしょうか。
菅野氏は「人権」という観点で考え、「幼児や保護者と籠池氏のトラブル」なら幼児と保護者。「籠池氏と政府」なら籠池氏側に立つということでした。
共に「人権問題」であるという発想です。
しばき隊も「少数者の在日を守るためではなく、社会の公正さを守るために闘う」と主張していますが、今では険悪な、しばき隊と菅野氏の考え方は今でも繋がっているのではないでしょうか。
籠池泰典
森友学園前理事長。
塚本幼稚園の運動会で「安倍首相頑張れー」と言わせたり、中国人韓国人へのレイシスト発言や国会での証人喚問や安倍昭恵総理夫人に寄付金を返金しようとアクションを起こすなど物議を醸した。現在は大阪拘置所に拘留中。
しばき隊界隈とは?
Twitterなどで、政治的な話題を検索すると、様々な意見が出てきますが、その中で頻繁に目にするのが「しばき隊界隈が騒いでいる」といった表現です。
すでにしばき隊は解散しており、「しばき隊界隈」という言葉は別の意味を持っているようですが、「しばき隊の正体とは何か」を知る手がかりとなりそうです。
しばき隊界隈の正体
それについてはしばき隊の創設者の野間易道氏が著書『3.11後の叛乱 反原連・しばき隊・SEALDs』の中で表現している言葉が、筆者が受けている印象と一致します。
野間易通氏の的確過ぎる「しばき隊界隈」分析
3.11後の叛乱 反原連・しばき隊・SEALDs
「大きな政治的イシューが持ち合わさると、さっとデモに集まるコアクラスタ」が数百人レベルで存在していて、普段はまったくバラバラにそれぞれの生活を送っている。年齢は30-40代が中心。リベラル左派的な考えを持つが、さほど反資本主義的でもなく、アナキスト的でもない。またロハスやオーガニックを好む層とも違う。共産党候補に投票する人が多いが、党員という訳でも共産党支持者でもない。
(中略)
第三者、とくに批判的な人々から「しばき隊」と呼ばれる人たちは、こういうクラスタの一部であり、離合集散を繰り返しながら人数を増やしているのだ。
このクラスタはネット、特にTwitter上で非常に喧噪なことで知られているが、よく言われるように、まったく無色透明の他人が「ネットを通じて集まった」としかいいきれない。
この「離合集散」については良く感じることで、クラスタ同士の激論、対立などは、頻繁に起こっているように感じます。いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる側は1枚岩で、仲間で批判や意見の対立が起こらないように見えますが、「しばき隊界隈」と呼ばれる集団は、100に1個のイシューでは完全に対立し、「ネトウヨ」相手と同じような罵詈雑言のようなきつい言葉の応酬を繰り返しています。
また#から始まるハッシュタグで、首相など権力者を皮肉ることが得意で、それを拡散させる傾向があります。
秋葉原「アベヤメロ」自民党街宣妨害事件
「しばき隊界隈」と呼ばれる人たちの行動の典型的な事件は、2017年7月。東京都議選の最終日、秋葉原での安倍首相の演説に対し、「安倍やめろ」という大きなフラッグを掲げながら「アベヤメロ」コールをする集団が現れ、安倍首相はその集団を指さし「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と応酬したために、都議選の大敗北に繋がったという事件がありました。
ネット上では「組織的動員」「政党関係者」「日当が出ている」などの声が出ましたが、野間氏の指摘する「離合集散を繰り返しながら人数を増やしているクラスタ」の一部であり、だれかの呼びかけに呼応して集まった、見ず知らずの集団では無いだろうかと思われます。
秋葉原という地は、安倍政権になってからは自民党の選挙戦最後の演説の「聖地」となっており、支持者が日の丸を振って安倍首相を応援する場になっています。政権に批判的な人が袋叩きにあう動画などが拡散されていることもあり、そこを邪魔してやろうという気持ちをもった人たちが、誰かの呼びかけに呼応する形で集まったと思われます。
これが「しばき隊界隈」という人たちの典型的行動であり、そのやり方には賛否両論があります。
なぜ「しばき隊界隈」は嫌われるのか
菅野完、しばき隊界隈の話をしてきましたが、この「しばき隊」という単語は、ネガティヴに使われることが大半です。
彼らとは政治的意見で対立する、いわゆる「ネトウヨ」という右翼的、親安倍政権的な発言をしている人たちだけではなく、リベラルや左翼的な言動をしている人たちからもしばしば批判的に使われます。
確かに彼らは頻繁に汚い言葉で罵り、tweetも品の良いものではなく、拡散するハッシュタグも暴力的な言葉が使われることもあり、中指や刺青というパブリックイメージもあり、秋葉原での演説妨害事件への賛否もあり、「上品」な人たちからは敬遠されるような感じを受けます。
しかし、それだけが理由なのでしょうか。
しばき隊の歴史を紐解き、謎を究明したいと思います。
レイシスト(在特会)によるヘイトスピーチ
2013年の流行語大賞のベスト10に選ばれたのが「ヘイトスピーチ」でした。
筆者はこのニュースを見た時、その数か月前に目にした光景と話が繋がりました。
筆者は当時新宿で働いていましたが、休日に出社したときに、昼食時に靖国通りの信号を横切ろうとした際、正面を日章旗や旭日旗を持ち、それらのデザインのバンダナとかをした中年男女の集団が歩く長い列の集団が何やらシュプレヒコールを叫び、その脇を並行するように「レイシストは帰れ」「恥を知れ」といったプラカードを持った集団が歩き、その脇からメガホンで「お前らが出ていけ!」などと騒ぐ人たちが列に向かって叫び、その前を遮るように警官が移動している「隊列」を目の当りにしました。
それは気持ち悪い異様な光景でした。
その列は軍歌を大音量で流しながら走る街宣右翼とは異なっていました。
その時は仕事に押されていて食事を早く取りたかったことと、警察やプラカードで遮られ、何を主張しているか見えず、聞き取れなかったこと、何より関わりたくない一心で無視していました。
ヘイトスピーチの実態を知ったのは、それから少し後のことでした。
ヘイトスピーチとは、特定の出身国、人種、民族、宗教、性別、LGBT、障害などの少数または弱者に対し、自分から主体的に変えることが困難な事柄などを差別し、「ゴキブリ」のような虫に例えたり、出ていけといった排外主義的な言動で罵倒または扇動する行為です。
在特会は「在日朝鮮人」には特権があるという言説を用い、「日本人が差別」されているという文脈でデモを行っていました。
ヘイトデモの現場
2010年頃から13年頃までは、全国各地で在日外国人が多く住む地域を中心に毎週のように開催されていました。
閲覧注意 在特会ヘイトデモと「お散歩」
筆者は嫌悪感しか持てませんが、一定以上の人から共感された事実は否めません。
日本型レイシストとは
日本型レイシズムの特徴は、失業者や中産階級から転落した層が中心の欧米のものとは大きく異なります。
左翼が好む「人権」「平和」「護憲」といった言葉を嫌い、「本音」で「真実」を語るものを好みます。
樋口直人『日本型排外主義』によれば、多くの人は定職を持っており、しかも社会的地位があり高収入の人も多いなど、層が幅広いことが特徴です。またその多くはインターネットで情報を収拾しており、実際には在日朝鮮人とトラブルどころか接したことも無いようです。
安田浩一『ネットと愛国』によれば、大半のきっかけは2002年の日韓ワールドカップにあるとされ、韓国に疑問を持っていたときにマスコミは「友好ムード」であり、一方のネットには「真実が書かれて」いたために共感し、反韓意識が高まったとのこと。
筆者の知り合いでレイシストと思える発言を繰り返すようになった人の共通点は、バブル世代の40後半から団塊世代で、どちらかというと上意下達を好み、この15年、特に3.11以降に政治に関心を持った層で、ネットのニュースを情報源にしています。
親米であり、ロシアには好意的で、中国韓国北朝鮮を攻撃の対象にしています。
彼らは、在日外国人が「特権」により社会保障などで優遇されていると信じており、「在日」がマスコミや政界を支配していると思っており、日本人が差別を受けていると考えています。
2012年の総選挙で自民党の安倍総裁が掲げた「日本を取り戻す」は、まさにその意向を汲んだキャッチだったと言えるでしょう。
実際に彼らの大半は安倍政権を支持し、野党系の一部女性議員の一挙手一投足を嫌い、菅官房長官にしつこく質問する女性記者を嫌います。
在特会の正体
初代会長桜井誠氏らによって2006年に設立された市民団体です。
当初は在日韓国・朝鮮人が特別永住資格や様々な社会的、経済的便宜などの「特権」、いわゆる「在日特権」を不当に得ているとし、それらの撤廃を主張し、街宣、デモ、集会を行う団体でしたが、その後は沖縄新基地建設反対運動へのカウンター、被差別部落団体への乗り込みなど、いわゆる「反左翼」的な活動も積極的に行いました。
そこで掲げられたり、発せされる言葉がヘイトスピーチであり、社会問題化しました。
全盛期には1万人を超える会員がいましたが、桜井誠氏の脱退やヘイトスピーチへの強い批判もあり、以前のように大掛かりのデモや集会は行われなくなりました。
ただ数十名による草の根的な活動は継続されています。
在特会主要メンバー
桜井誠
在特会元代表
現日本第一党党首
八木康洋
現在特会代表。東工大から東大大学院、日立化成へと進んだエリート。
出典: https://note.mu
瀬戸弘幸
ヘイトデモ、街宣の常連。右翼活動歴35年以上。
果樹園を経営。
西村斉
京都朝鮮学校公園占用抗議事件、徳島県教組業務妨害事件、ロート製薬強要事件などで逮捕され、実刑判決を受ける。
米田隆司
現在は脱退。千葉麗子『くたばれパヨク』などの青林堂の編集者。
増木重夫
現在は脱退。安倍首相や松井大阪府知事らが関わり、森友学園の籠池氏も入っていた日本教育再生機構と繋がりがあり、シンポジウムなどを主催したこともある。
社会問題化した14歳の「レイシスト」によるヘイトスピーチ
それまでは「特殊な人たち」による問題と片づけられていた「ヘイトスピーチ」でしたが、2013年2月に大阪・鶴橋のコリア街でのレイシストによる街宣は、多くの人に衝撃を与えました。
14歳の少女が在日外国人に向かって、「鶴橋大虐殺を実行しますよ」と叫んだことに、周りの大人が「そうだ」と合いの手を入れる動画が拡散され、外国人特派員協会での会合でも問題視されました。
この動画が一つのきっかけとなり、ヘイトスピーチに対するカウンターやメディアからの批判などが一気に湧き上がるようになり、民族派右翼の鈴木邦男氏など、多くの著名人がカウンターに参加するようになりました。
在特会メンバーによる事件
在特会は各地で「物議を醸す」街宣活動を起こし、それを動画にUPし、それに賛同する人たちを会員として募ってきました。
在特会を知らしめたカルデロン親子に対する嫌がらせ
在特会を世間に知らしめたのが、不法滞在のフィリピン人労働の両親が国外退去となり、日本生まれのその娘だけが日本に残ったというニュースに対し、その子が通う埼玉県蕨市の中学校まで押しかけてシュプレヒコールを行ったことでした。
カルデロン親子に関するニュースに「違和感」を覚えた多くの人が、「ネットで真実」を見つけ、直接行動を起こした正体不明の団体(在特会)を喝采します。
京都朝鮮学校公園占用抗議事件
2009年12月、右派系市民団体「在特会」「主権回復を目指す会」などに所属する活動家らが、京都朝鮮第一初級学校に対し、「勧進橋児童公園の不正占用」だと主張し、校門前で抗議街宣活動を行いました。
抗議者側が威力業務妨害罪、朝鮮学校側が都市公園法違反で相手側から告発され、威力業務妨害などの容疑で抗議側の団体より4名が逮捕され、執行猶予付き有罪確定。学校側の校長は都市公園法違反として罰金10万円が命じられました。
徳島県教組業務妨害事件
2010年4月、「在特会」らの活動家らが、徳島県教組が四国朝鮮初中級学校への寄付を募ったことに抗議し、組合事務所内で抗議活動を行い、威力業務妨害罪などに問われ、7名が逮捕、12名が書類送検されました。
7名は全員、執行猶予付き有罪判決が確定しています。
徳島県教組業務妨害事件
ロート製薬強要事件
在特会幹部らが、ロート製薬に対し「韓国人女優キム・テヒのCM起用に抗議する」として、2012年3月にロート製薬本社で従業員を脅迫し、同社の見解を回答するよう求めたことにより、強要罪に問われた事件です。4名が逮捕起訴され、うち西村斉氏、荒巻靖彦の実刑判決が確定し収監されました。他2名も執行猶予付き有罪判決を受けています。
大阪市役所 橋下VS桜井 「論戦」
在特会 老人暴行事件
在特会の「反沖縄基地反対運動」
2013年1月、翁長沖縄県知事らがオスプレイ配備反対の集会とデモを行った際、デモの隊列が銀座に差しかかったとき、沿道に陣取った「在特会」らが「非国民」「売国奴」「中国のスパイ」「日本から出ていけ」などの罵声を浴びせました。
また2017年1月には辺野古の基地建設反対活動家のテントを襲撃する事件もありました。
在特会メンバーの「森友学園頑張れー!」と阪南市議選
2017年3月、参議院の予算委員会のメンバーが森友学園の新小学校の建設現場を調査した際、報道陣や野次馬に取り囲まれました。その模様がテレビで生中継されましたが、ひたすら「森友学園頑張れー!」と叫ぶ正体不明の女性がいました。その女性は在特会のメンバーで、後に阪南市議選に立候補し、落選した池本なお氏でした。
在特会桜井誠氏の都知事選出馬
橋下市長との論戦で「選挙に出ろ」と言われたことに触発されたのか、桜井誠氏は都知事選に出馬し、114,171票を獲得します。
「泡沫候補」としては大健闘の数字であり、上記の通りやりたい放題やってきた行動に一定の指示を集めている証左でもありました。
レイシストをしばき隊
刺青と中指というイメージが付きまとうしばき隊。
しかしTwitterの呼びかけに賛同したありとあらゆる異なる層の人たちで結成されました。
どのような流れで結成され、どのようなことをしてきたのかを見ていきたいと思います。
野間氏のtweetより
在特狩り行きたいな。
— 野間易通 (@kdxn) January 12, 2013
2013年1月に野間易通氏が「在特狩り行きたいな」というツイートしたことがきっかけで、賛同者が集まり結成されたのが「レイシストしばき隊」でした。
さて、しばき隊の行動では、これらのデモ自体は放置します。 彼らの場合、デモの前後に近隣の店(特に外国人経営店舗)や通行人に暴言を吐いたりいやがらせをしたり、ときには暴行を働く場合があります。「しばき隊」の目的は、彼らが狭い商店街でそうした行動に出た場合にいちはやく止めに入ることです。 しばき隊という名前ですが、しばきたいだけです。実際にはあくまで非暴力でお願いします。したがって武器等の携行もご遠慮ください。 カウンター・デモでも抗議行動でもありません。プラカード等は持ち込まないでください。 もちろんプラカードその他を使って沿道から反対の意志表示をしたい人はご自由にどうぞ。しかし「しばき隊」としては、今回はそうした抗議アクションを目的としません。抗議終了後、しばき隊に合流してください。
引用元: http://kdxn.tumblr.com
野間氏のブログより。 当初はデモに関してはアクションを起こさず、デモ後に在特会の一部が「お散歩」として韓国人街を歩き、嫌がらせをする行動があり、それに対するカウンター目的だったとされています。
野間氏が「レイシストをしばき隊」結成した目的は「お散歩阻止」
レイシストをしばき隊 隊員募集 - 新大久保で一般市民や近隣店舗に嫌がらせしたり暴行を働くネット右翼の邪魔をします。
日時:2012年2月9日(土) 午後 当日、新社会運動主催、在特会協賛で以下のようなデモが行われます… http://t.co/egmJ6Vsq
— 野間易通 (@kdxn) January 30, 2013
「レイシストをしばき隊」創設者野間易道氏
野間易通
フリー編集者。しばき隊創設者。現C.R.A.C。
首都圏反原発連合立ち上げメンバー。
野間氏以外の「レイシストをしばき隊」主要メンバー
神原元
弁護士。しばき隊関連などの顧問弁護士も務める。
伊藤大介
しばき隊の武闘派的存在で、桜井誠氏に詰め寄る姿やカウンターでの姿が動画で拡散されている。
男組
刺青を誇示してデモ隊を威圧する集団。代表を指す「組長」は高橋直輝。
新大久保で仕事をしていた高橋が、在特会のデモを見て声をかけたことがきっかけで、最初はそのデモに参加したが、主義主張が「在日」への排外主義一辺倒だったことから、高橋とデモの主催者と口論になり、その後はカウンターに周ったと述べている。
メンバーの手越空が、在特会のデモ隊に自転車で突っ込み、暴行容疑で逮捕、不起訴。幹部の高橋、木本ら含めた構成員8名が、大阪で恫喝、暴行して逮捕される事件など起こし、結果的には刺青のイメージもあり「しばき隊=暴力」「しばき隊=刺青」のイメージを作るきっかけになる。「これじゃただのチンピラではないか」「反差別運動に悪いイメージが付く」「在日朝鮮人の気持ちを分かっていない」「自己満足にすぎない」などの批判もあったが、その柄の悪さと威圧感は、レイシスト側のデモ参加者を激減させる効果があったと言われる。
高橋直樹
高橋自身がTwitterでヘイトスピーチを行ったことがあるが、のちに思想が正反対に転向した。
その後の高橋は沖縄高江のヘリパッド工事現場で妨害行動に参加するが、逮捕され長期にわたり拘留される。
また保釈後、高橋は2014年に起こした痴漢行為を被害女性のブログで告発される。
出典: https://mera.red
清義明
初期メンバー。
横浜Fマリノスの元サポーター代表。
フリーライター・㈱オン・ザ・コーナー 代表取締役。著書『サッカーと愛国』
嶋田眞人
大和証券ダイレクト企画部長。
Twitterでの発言で大和証券の取引先であるフジ住宅に関するものなどが問題視され、大和証券より部長就任2週間で解任された。ネット上で大和証券の社員という正体が晒され、右派住民より大和証券に苦情の電話が殺到したことが大きく影響したと思われる。
木下ちがや
明治学院大学非常勤講師 社会学博士
Twitterでは「こたつぬこ」というハンドルネーム。
田中宏和『しばき隊の真実』によると、しばき隊のNo.3だったとのこと。
小熊英二
日本の社会学者、慶應義塾大学教授、ギタリスト
李信恵
在日朝鮮人2.5世、フリーライター。
反ヘイトスピーチの象徴的存在。
在特会や保守速報に名誉棄損訴訟を起こし勝訴。
リンチ事件とされる十三ベース事件の当事者。十三ベース事件の関連本などを出版した鹿砦社に対し、誹謗中傷を繰り広げたとして提訴されている。
千葉麗子
元アイドル。ヨーガインストラクター。
首都圏反原発連合に加わり、しばき隊のイベントにも参加したが、「左翼に失望し」て、現在は右翼活動を行う。青林堂から『くたばれパヨク』など出版。
カウンターに参加した著名なメンバー
香山リカ
精神科医、臨床心理士、評論家。
鈴木邦男
政治団体「一水会」元最高顧問。在特会の活動については「日の丸の旗が可哀想だ」と批判し、カウンターにも参加したことがある。
安田浩一
外国人労働者問題を取材中にヘイトデモと遭遇。そのヘイトデモに参加する人への取材に基づくノンフィクション『ネットと愛国』は日本ジャーナリスト会議賞と第34回講談社ノンフィクション賞を受賞。
在特会の動画では、頻繁に路上で取材する姿を確認できる。
野間氏とネット番組「No Hate TV」を月2回放送中。
ネットと愛国 安田浩一
差別的な言葉を使って街宣活動を行う、日本最大の「市民保守団体」、在特会(在日特権を許さない市民の会)。彼らは何に魅せられ、怨嗟と憎悪のレイシズムに走るのか。(AMAZONより)
池内さおり
元衆議院議員。日本共産党。
主に反差別やLGBTについて取り組んだ。
デモ隊に罵声を浴びせる姿が動画で拡散された。
有田芳生
参議院議員。民進党。
ジャーナリスト、テレビコメンテーター。
特にオウム事件ではコメンテーターとして活躍した。
国会質問で頻繁にヘイトスピーチ問題を取り上げています。
ソフトな「しばき隊」プラカード隊
直接レイシスト達と対峙する「しばき隊」とは一線を画し、デモ隊の脇でプラカードを掲げ、デモ中止を呼びかけるグループも現れました。
プラカード隊
木野寿紀
プラカード隊呼びかけ人。
しばき隊に参加も、デモ前に意見が合わず脱退。
現在はエストニアに留学中。
「レイシストをしばき隊」と有田芳生議員
ヘイトデモのカウンターと一緒に路上に寝転んでデモを阻止したり、メガホンで中止を呼びかける等、有田議員は「反ヘイト」の象徴的存在です。
在特会や右派からは最も目の敵にされる男性議員であり、「しばき隊界隈」からは支持を受け、実際に参議院選挙出馬の際は、安田浩一氏や野間易通氏などが応援に駆け付けています。
「暴力的である」と批判されていたしばき隊と男組に対して「ぎりぎりまでやってくれる」と賞賛し、既存の市民運動について「既存の運動や政党は合法主義のあまり、闘わなくなった。きれい事と口先だけの人権派ばかりだ」と批判するなど、左右から批判されています。
ただレイシズム以外の議論では時々「しばき隊界隈」から強く批判されるなど、全てのイシューで一致しているわけでは無いと思われます。
「対レイシスト行動集団」との関係を否定するわけがありません。ヘイトスピーチに反対する「路上の同志」なのですから。合言葉は「また路上で会いましょう」。「有楽町で逢いましょう」みたいですね。でも実際にそうでした。 https://t.co/xoeoPCRNr2
— 有田芳生 (@aritayoshifu) July 7, 2017
在特会VS「レイシストをしばき隊」
在特会と「レイシストをしばき隊」は、ネット上だけでなく、路上でも頻繁にトラブルを起こします。
逮捕者が出るなど、過激化することで、第三者から「どっちもどっち」論という言説が出てくるようになります。
暴行事件
2013年6月、新宿駅東口で行われた「嫌韓」デモ中に、在特会としばき隊による乱闘が発生しました。
双方から4名、計8名が現行犯逮捕拘留され罰金略式命令となりました。
2013年11月 天皇陛下に手紙を渡そうとした山本太郎議員への抗議デモに参加した学生と刺青が売りの男組と殴り合いの喧嘩が発生し、双方が逮捕されました。
2014年1月、六本木の路上で、東京大学生の「男組」メンバーがデモ隊に自転車で突っ込み、在特会会員の21歳の男性に体当たりするなどの暴行を加えたとして現行犯逮捕される事件がありました。
他にも在特会としばき隊がつかみ合いになり、警察が介入する事件がしばしば起こりました。
男組大阪暴行事件
2013年10月、男組の高橋、木本ら主要構成員8名が、大阪地下鉄の西大橋駅構内で、デモに参加しようとしていた47歳の男性を集団で取り囲んで壁に押し付け、大声で恫喝したとして、暴力行為等処罰法違反容疑で大阪府警警備部に逮捕され、うち高橋直輝氏ら4名が同罪で起訴され執行猶予付きで有罪となりました。
この時も高橋氏の腕に施された刺青のイメージが強調され、暴力集団という印象付けがなされました。
しばき隊に関するTwitter禍
「しばき隊」は主にTwitterで言論を発することが多く、その内容が攻撃的なことが多いため、しばしばトラブルに繋がりました。
ろくでなし子事件
ろくでなし子氏が「ぱよぱよちーん」とTwitterでつぶやいたところ、「しばき隊界隈」が「激怒」し、炎上させたという事件がありました。その後、人権派弁護士の伊藤和子氏と李信恵氏の衝突が起こります。
元々はしばき隊の人達はろくでなし子氏の裁判で応援してきており、伊藤和子氏も決して対立する考えの持ち主では無いのですが、感情的対立に発展します。
(´-`).。oO(ぱよちん音頭で ぱよぱよち〜ん♪ぱよちん音頭で ぱよぱよち〜ん=(^.^)=♪
— ろくでなし子(自分のまんこで前科一犯) (@6d745) November 5, 2015
論争のログは以下のリンクからご覧いただけます。
しばき隊メンバー新潟日報報道部長ツイッター事件
「しばき隊」として活動していた新潟日報の報道部長が、会社に届けず身分を隠してTwitterアカウントを取得し、暴言を吐いたことが問題になりました。
対レイシスト行動集団の構成員であるハンドルネーム「壇宿六」が、新潟水俣病弁護団長をつとめる高島章弁護士のTwitterに、「うるせーな、ハゲ!はよ、弁護士の仕事やめろ。プロのハゲとして生きろ。ネトウヨ弁護士。クソ馬鹿ハゲ野郎!」などと暴言を吐いた後に正体が明かされ、謝罪している。勤務先が新潟日報の報道部長であったことが報道され、2015年11月25日付で懲戒休職処分(無期限無給)とし経営管理本部付とする異動人事が行われた。
しばき隊メンバー大和証券部長ツイッター事件
しばき隊に参加していた大和証券の嶋田ダイレクト企画部長が、フジ住宅に勤める在日朝鮮人の女性が「新しい教科書をつくる会」の執筆した育鵬社の歴史教科書の採択推進運動を、会社から強要されたことに精神的苦痛を受けたとして訴訟を起こした記事に対し、フジ住宅の上場を潰さないといけないという主旨のtweetを行ったことが、大和証券社内で問題となり、降格処分となったという事件です。
身元がバレて、右派市民から大和証券に苦情の電話が殺到したからだと思われます。
大和証券社員が自社クライアントに放った発言だったためとされます。
嶋田氏はTwitterアカウントに鍵をかけ、公で発言することが無くなりました。
現在も大和証券在職中とのこと。
初期メンバーの千葉麗子との対立
元アイドル千葉麗子氏は当時の交際相手と共に反原発運動で後のしばき隊のメンバーと一緒に運動を行ってきました。千葉麗子氏は当初は「しばき隊もプラカ隊も、凄い動きだと思う。時代は、反差別/反レイシズム! 」と賞賛していました。
しかし千葉麗子氏自身が彼氏と別れたことや「左翼に幻滅」したことから、右翼に転向し、しばき隊とは対立することになります。
その後、千葉麗子氏は『さよならパヨク』という本を出版し、しばき隊を「劣化した左翼」などと書きます。
2017年1月、千葉麗子氏が東京堂書店ホールで著書『くたばれパヨク』の発売記念のサイン会を行おうとしたところ、「しばき隊からの圧力」があって中止に追い込まれたと主張する事件がありました。
産経新聞は「千葉麗子」サイン会中止は「言論弾圧」として糾弾する記事を書き、百田尚樹氏はDHCシアターの虎ノ門ニュースの中で「殺害予告のような脅迫電話が相次ぎ、書店が身の危険を感じ中止した」と述べました。
それに対し野間易通氏や有田芳生議員が東京堂書店に電話確認したところ、問い合わせが数件あり、店側がホールに確認したところ、その千葉麗子サイン会の趣旨が「ホール使用の規約に違反している」ことがわかったために、東京堂書店側からお断りしたという話でした。
その後、なぜかこの話とは関係の無い、百田氏と有田議員の論戦となりました。
ネット番組「Ho hate tv」で野間氏によると、イベントに圧力をかけても仕方が無い。むしろ行きたいくらい。でも千葉麗子氏の普段の発言などが規約に引っかかったのではと思うとのことでした。
千葉麗子氏の転向は、共産党などの反原発市民集会に参加した2013年6月から9月の間に起こっているようです。
それだけの短期間で180度考え方を変えるとは、千葉麗子さんの周辺に余程何かあったのでしょうか。
結成間もない「レイシストをしばき隊」について、千葉麗子さんは絶賛していました。
ここでも千葉麗子さんは後押ししています。
しばき隊、クソどもを一掃して来て下さいwww RT @MetalGodTokyo @CHIBAREI_DURGA 今日は17:00開始みたいね
— REIKO CHIBA (@CHIBAREI_DURGA) May 19, 2013
共産党の志位委員長がツイート。千葉麗子氏は反原発集会で熱いコールを行っています。
千葉麗子氏の本「さよならパヨク」では、反原発運動が共産党主導のものになったなどと書かれているので、この頃に千葉麗子氏は思うことがあったのかもしれません。
千葉麗子曰く「100-200人集まった国会前のデモでマイクを放り投げて罵声を背中に浴びながら退場した」そうです。
そしてその3か月後、まるでダークバージョンになったが如く、千葉麗子さんの言動に変化が出ます。
その後の千葉麗子
「転向後」の千葉麗子氏は積極的に「民族の意思同盟」などの右翼街宣に参加することになります。
千葉麗子さん(チバレイ)が所属する極右団体…
— みう ◡̈♥︎⭐︎令和🇯🇵 (@Miu2015Uyo) October 31, 2015
「民族の意志同盟」ってなに???
旗の四つ巴は三種の神器の一つの勾玉を表していて、4つあるのはハーケンクロイツを意識しているそうです! pic.twitter.com/GtSZcoaTql
『さよならパヨク』を出版
千葉麗子氏の服装からして「転向」を裏付けています。
ただ筆者がこの本を読んだ感じ、千葉麗子さんの性格上、今のめり込んでいる運動も長続きしないような気がしました。
野間氏Twitterアカウント凍結事件
2017年2月、反「沖縄基地反対運動」の活動家、我那覇真子氏に対し、野間易通氏が「汚物」「国賊」と返したことで、野間氏のTwitterアカウントが一時凍結となったとされます。凍結のニュースは産経新聞のネットニュースでは速報されました。
ただの嘘つきが雁首揃えていいわけする場をわざわざ時間を使って取材してあげたのですから生意気なこと言ってないで素直に感謝しなさい。あなたたちは単なる国賊でありこの国の汚物なのですから身の程をわきまえるよう。@ganaha_masako https://t.co/1euJemxkn7
— 野間易通 (@kdxn) February 26, 2017
「レイシストをしばき隊」メンバーの対立
千葉麗子氏のような「転向」は無いにしても、烏合の衆だったしばき隊は数々の対立を繰り返します。
「レイシストしばき隊」メンバーによる十三ベース事件
「十三ベース事件」は、2014年12月に大阪北新地で起こった、旧しばき隊(現C.R.A.C)のメンバー内で発生したリンチ事件です。「十三ベース事件」とは日本赤軍が「総括」という名のリンチ事件を起こした「山岳ベース」事件を文字って言われます。しかし事件は十三ではなく、北新地です。
2014年9月頃から被害者M氏と加害者の一人のB氏がTwitter上で揉めて険悪になっていました。
さらに、主犯格のL氏が右翼から金を受け取ったという噂が団体内で立っており、M氏が他の人にそれについて相談していたことを、B氏がL氏にバラし、L氏は激怒。
12月、L氏、B氏、李信恵氏など5名は、北新地の飲食店で行っていた宴会にM氏を呼び出しました。
そして李氏はM氏を罵倒、他の4名がM氏を店の外に連れ出し、1時間に渡り殴るなどの暴行を続け、鼻骨骨折など全治3か月にもなる重傷を負わせました。実際に暴行をしたのはL氏であり、他の人間は取り囲んで威圧こそすれど怪我に繋がるような暴行は働かなかったため、「リンチでは無く喧嘩」という加害者サイドの言い分もありますが、誰もL氏を止めに入らなかったという事実があります。そして彼らは血だらけのM氏を放置し、宴会を続けたそうです。
これがこの事件の真相のようです。
問題はその後、「リンチ」事件が明るみになると、加害者を諫めることも無く、野間氏を初めとして、被害者をバッシングする動きが出るなど、セカンドリンチの問題が発生します。
当初は事件発覚後は、加害者も周囲もリンチの存在を認めませんでしたが、音声テープや謝罪文などの証拠が出されることで、「喧嘩」の存在を認めざるを得なくなります。
特にこの問題は、加害者サイドに「反差別」で先頭に立って運動をしている李信恵氏がおり、ただでさえバッシングに晒されている彼女を守ろうとするがために、周囲が「十三ベース事件」を矮小化させる傾向にあり、被害者の視点が失われ、M氏を孤立させてきました。
また、反差別運動内の対立もあり、「運動から離れていった」側に被害者がついていたこともリンチ事件に繋がったのではないかという話もあります。
逆に被害者の周囲には野間氏を陥れようとしている動きもあるのではという見方をする人もあります。
だが、凛七星氏はアウトロー気質があり破天荒で大酒飲みだ。また、カウンターで目立つ余り警察や検察に弾圧されたりまでした。それがカウンターのネガティブキャンペーンにされてしまい、支援も大変だったのであろう。カウンターをする人たちの中でも凛七星氏を批判し嫌う人間も出てきた。私には詳細は分からないが、そんな中で加害者とされる人物は凛七星氏と決裂したようである。 加害者とされる人物は凛七星氏の支援を誰よりもしていたし、周囲へもフォローをしていた。それを私は知っている。が、おそらく許せないことがあったのだろう。そのようなことに対し、被害者とされる人物は加害者とされる人物に不満を抱いていたように私は感じた。そういう経緯があり、凛七星氏を支える2人の間には亀裂が生じたのだと私は思う。
事件には無関係の野間氏が名誉棄損で訴えられる
事件現場にいなかった野間氏ですが、プライバシーを晒したり、被害者を中傷するツイートを流したことで名誉棄損で訴えられました。しかし、ここにも複雑な人間関係があったようです。
そうした中で被害者とされる人物に、C.R.A.C.の野間易通氏が名誉毀損およびプライバシー侵害で損害賠償請求の訴えられた。そのことで、差別主義者たちが歓喜をしている。 実はこの野間易通氏は凛七星氏、金展克氏と対立をしている。もちろん、野間易通氏の行動や発言には問題はあるのだろう。しかし、それだけなのだろうかと私は考えてしまう。そうじゃなければ私の勘違いであるのだが、何か野間易通氏を陥れるのが目的のように私には感じられてしまうのだ。
この「十三ベース事件」発覚後に起きた、野間氏が被害者のプライバシーをTwitter上に晒した話やセカンドリンチに値する名誉棄損につき、被害者が民事訴訟を行っています。一審は原告勝訴でしたが、この記事が出る直後の11月15日に高裁の控訴審判決が言い渡されます。詳細は以下被害者のアカウントをご覧いただければ、「十三ベース事件の被害者側の言い分」がお分かりになると思います。
この「十三ベース事件」は、人間関係が深く絡んでおり、知り合いでもない筆者は何が良くて悪いかをコメントする立場にはありません。
しかし、表に出ている事象を検証すると、反差別「運動」を守るため、もしくは共通の「敵」を見失わないようにするために、一つの「暴力」事件を周囲がウヤムヤにしようとしている。それをいいことに当事者が反省せず、謝罪文の内容まで撤回してしまう。結果、多くの人間が「目的のためには暴力を肯定する」という忌々しき事態を引き起こした事例となったといえるでしょう。
ただ「十三ベース事件」は反差別運動の一部の人間関係上のトラブルであり、反差別運動全体の話では無く、それを「山岳ベース」事件に例えた内ゲバ事件のように捉え、批判を浴びせるのは間違っているとは思います。
あくまでも運動内で「結果として暴力が肯定された」ことを批判すべきです。
野間易通氏 @nomacrac による私に対する名誉毀損およびプライバシー侵害に係る損害賠償請求の控訴審判決期日は、11月16日(木)、大阪高裁第84号法廷にて13時15分開廷です。よろしくお願いいたします。
— 主水 (@VENOMIST666) September 26, 2017
「リンチ」被害者は「男性への逆差別」「日本人だから」という、反フェミニズムや右派の主張のような言葉を使っています。たしかに背景は「女性」が絡み、「在日コリアン」が主犯格だったこともありますが、恐らく反差別運動参加時には発していないし、逆の主張をしているのでしょう。
置かれた立場や関わっている人から考えるのではなく、辛淑玉氏や前田朗氏が指摘するように「暴力が悪い」と断罪しなかったことが、結果「転向」を生むきっかけになったということも考えられます。
前田朗氏が良いまとめかたをされています。
今日の鹿砦社通信【のりこえねっと共同代表、前田朗氏「M君リンチ事件」論に言論人の良心を見た】(鹿砦社特別取材班)https://t.co/6tNTO1DflL pic.twitter.com/2nQC0DjUnn
— デジタル鹿砦社通信 (@digital_rokusai) August 10, 2017
野間氏と他メンバーの対立
しばき隊創設者野間易通氏の強烈な個性と行動力は、多種多様の人を巻き込み、結果在特会の弱体化、ヘイトスピーチの縮小化に大きく貢献しました。
一方で、運動内に対立が起こり、幾人もの人が運動から去って行きました。
上で書いた「しばき隊」メンバーの多くは、すでに運動から離れている模様です。
元メンバー同士の衝突や批判もTwitter上で頻繁に目にしています。
これについては、元々バラバラの主張で、モヒカン頭や刺青など、強烈な個性を持った集団が集まっているのだから、野間氏の責任とは考えにくく、当然の帰結といえるでしょう。
野間氏と裁判
Twitterで攻撃的な文章を連発する野間氏は、名誉棄損などで訴えられることが多いです。
野間氏と「凪論」の筆者名誉棄損裁判
凪論という問題が指摘されていたブログがありましたが、野間氏が個人情報など相手の正体を晒したことがきっかけで、読者が押しかけ、結果ブログが閉鎖に追い込まれた事件がありました。
ブログ「凪論」の筆者に対して、野間は自身のtwitterで相手の名誉を毀損し、また相手の個人情報を書き込み、野間の支持者などにそれを拡散した。結果として野間の支持者が、ブログ「凪論」の筆者に職場に押しかけるなどの行為が行われ、「凪論」の筆者はブログ閉鎖に追い込まれた。それに対して「凪論」の筆者は静岡地裁に野間を訴え、静岡地裁はその訴えを認め、不法行為によって相手に損害を与えたとして野間に20万円の損害賠償を命じた。後に高裁も地裁の判断を支持し、控訴は棄却されて確定した。
野間氏と「リンチ被害者」プライバシー侵害
上記添付のtweetの通り、「十三ベース事件」の被害者が、そのプライバシー情報を、野間氏が晒したとして名誉棄損で訴えた裁判です。
「リンチ」事件発覚後、コリアNGOセンターがM氏に対し、示談を要求しました。「ヘイトスピーチ解消法」の審判が行われている時だったので、表に出るのは困るという状況でした。
当事者は反省文を書き提出していましたが、反差別グループと支持者らは事件をデマと主張。
そんな中、被害者弁護人の高島章弁護士が、辛淑玉氏が書いた「Mさんリンチ事件に関わった友人たちへ」という被害者のM氏への誹謗中傷と告訴妨害をやめるよう、配布された資料が公開されました。
それが公開されると、野間氏がTwitterに以下の通り投稿します。
2016年4月29日に野間は「リンチ事件? そんなのあったの? 野次馬がごちゃごちゃ言うのは「被害者」とされる◯◯(リンチ被害者)に問い合わせてからにしたほうがいいんじゃね」[34]や、しばき隊の日本人メンバーの「□□大学の◯◯さんです」と個人情報を晒し続けて、「在日のカウンターが右翼からカネをもらってるとかいうデマを鵜呑みにして当の本人にしばかれたあげく、それをネタに1年以上もあっちこっちでヘゲ盛ろうとしてなんの成果も出ていない◯◯ ◯◯(□□大学大学院)悲惨やな」と誹謗中傷した。さらに同年5月2日には「おい、@◯◯、みんなおまえがリンチされたって言ってるんだけど、ほんとなの?」とリンチ被害者のtwitterアカウントにツイートした。挙句の果てに「揉め事の原因をつくったのは日本人である◯◯ ◯◯なんだから、おまえは日本人として深く反省し今すぐ腹を切れ」と脅迫した。
「しばき隊の真実」はデマ本か
しばき隊の真実 (世に倦む日日)田中宏和
「3・11以降の社会運動」と自称する彼らの運動は、果たして日本の民主主義に貢献し成果を上げているのか。むしろ左翼リベラルを暴力化させ、劣化と弱体化に追い込んでいるのではないか。2012年に登場し、卑劣な暴力によって台頭して、左翼リベラルの世界を跳梁するしばき隊―その本質と実態に斬り込む!(AMAZONより)
この本の中で「十三ベース事件」が詳細に取り上げられています。
「しばき隊界隈」は、これに対しデマ本と言い、Twitter上で攻撃しています。
「十三ベース事件」については、訴訟の場面で事実が明らかになっており、解釈をどうするかはともかくとして暴力事件があったことは間違いありません。
ですが一方で、この本では「しばき隊」の正体は大きな組織であり、共産党などをバックに、オウム真理教の様な完璧な指揮命令系統が整備されいるような、文言があります。
これについては、今まで述べてきたことからわかるように、まずありえない話ではないかと思います。
Twitterを見ていても、最初「しばき隊界隈」で紹介した、野間氏のいうところの「クラスタ」の人たちが、好き勝手に発信している文言やハッシュタグや動画などで、拡散力のあるものに一気に飛びつく感じです。
中では頻繁に衝突しているし、企業の幹部から刺青を誇示する人まで幅広い層がいて、左翼も右翼もいる中、とてもではないですが、それらを統制が取れる人材がいるのなら、その人は総理大臣ができるでしょう。
レイシスト政治家とヘイトスピーチ団体の関係
何人かの国会議員や地方議員は在特会との関係が取りざたされています。
直接関係なくても、Twitterなどでヘイト発言を行う政治家も後を絶ちません。
山谷えり子参議院議員
高市早苗議員 稲田朋美議員
片山さつき議員は在特会デモに参加し、演説をしています。
ヘイトスピーチ解消法
そのようにヘイトスピーチ団体と親和性の高い議員が多くいる中、それに近い考えのはずの議員が、ヘイトスピーチ解消のために立ち上がります。
西田昌司
自由民主党所属の参議院議員。籠池氏の証人喚問でも質問に立った。
法案
正式名は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」といい、外国人や外国籍の人に対するヘイトスピーチの解消に向けた取組を推進するため、基本理念および国と地方公共団体の責務を定めるとともに、国や地方公共団体が相談体制の整備・教育の充実・啓発活動などを行うことについて定める法律とされています。
元々はゴリゴリの保守派の自民党・西田議員でしたが、呼びかけ人の有田議員ら参議院法務委員会の超党派の議員で川崎桜本を訪れ、在日コリアンを初めとして多民族が共生していることに感銘を受け、法案成立のため、自党議員を説得し、与党の自民党・公明党の議員立法として提出され、審議で野党の主張を取り入れて一部修正し全会一致で可決されました。
ただ野党側はヘイトスピーチの禁止まで定めるよう求めたが、「表現の自由」との兼ね合いで罰則規定などのない理念法としての性格があります。
ただ、保守系議員まで動かすくらい社会問題化させたことは、しばき隊を中心としたカウンターの運動の成果と見るべきでしょう。
肯定論
この法律には様々な論点や改善点があるにせよ、一定の評価を受けています。
東京造形大学教授(国際刑法)の前田朗は、国連の人権理事会や人種差別撤廃委員会が人種差別撤廃条約に基づきヘイトスピーチ禁止法の制定を勧告している、欧州ではほとんどの国が差別禁止法を持っている、とし、マイノリティーの尊厳と基本的人権を守るだけでなく、社会全体の自由や民主主義に関わるとして、法規制すべきだとした
否定論
いわゆる右派だけでなく、人権派として知られる山口貴士弁護士も同法案には否定的です。
「ヘイトツイートは表現の自由にあたらない」というアクロバティックな憲法解釈が可能なら、集団的自衛権なんか超余裕で合憲ですよ。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) September 9, 2017
https://t.co/yvH5FaWh98
在特会としばき隊に対する「どっちもどっち論」
在特会としばき隊の歴史を見てきましたが、どちらサイドにも様々な問題があり、その双方が汚い言葉で罵りあい、一色触発の状況が続いています。特に刺青をした強面の人たちが反差別を訴えても、逆に怖いと思う人も多いのではないでしょうか。
そういうことで、世間的、特にメディアの対応は「どっちもどっち論」に走る傾向にあります。
実際に上辺を見れば、そうなるのは当然です。
しかし、それを「どっちもどっち」で目を背けて良い問題でしょうか。
宮台真司氏は「○○はゴキブリ」というような感情の劣化を被った人が量産されている今日は、筋骨隆々で刺青入れているゴロツキが感染させていくべきとして、このように言っています。
「ニューズウィーク」の記事みたいに「どっちもどっち、喧嘩両成敗」などと言ってる場合じゃない。中間層分解を背景に〈感情の劣化〉を被った人々が量産される今日では〈感情の政治〉に〈感情の政治〉で対抗する他ありません。威勢のいい排除主義者に感染しがちな人々を前に、“排除主義者”と“排除主義者を排除する排除主義者”が戦う構図です。宗教者ならどちらも同じだと言わなければならないだろうが、どっちもどっちという者はどこの宗教者なんだ。むろん“排除主義者”と“排除主義者を排除する排除主義者”とでは国際的なウケが全く違う。ヘイトデモが国連人権委員会から日本政府への勧告を招く一方、11月2日の反ヘイト東京大行進は海外メディアが好意的に報じたでしょう。
安田浩一氏は現場の視点から以下のように述べています。
一方、罵声に罵声でやり返す一部のカウンターに対して「どっちもどっちだ」と 訳知り顔で批判する向きも少なくない。 ではそうした"良識派"は「死ね」「殺せ」と、その存在すら脅かされてきた在日コリアン当事者の恐怖を、どのような手段で払拭できるというのか。 デモ現場に偶然通りかかったサラリーマン風の男性が、デモ隊とすれ違いざまに「うるさい!」と 怒鳴り上げた光景を目にした時、私は社会の健全さを思った。 私はこうした現場で暴力を肯定することはないが、差別をあおり、人間を排除し、憎悪を拡散しようとする 者たちに向けて、きちんと「説教」できることこそ、人間として正しいあり方だと思っている。 レイシズムに対する包囲網は広がっている。
そもそもがヘイトデモがなければ、カウンターも存在しないので、どっちもどっち論は成り立たないと思います。
表層を見れば、双方は同類かもしれませんが、片やマイノリティから言論を奪い、片やマイノリティに対する「差別的言論」を奪おうとしている。そのどちらに理があるかということを考えれば「どっちもどっち」にはなりませんね。
しばき隊の功罪
しばき隊は大和証券や新潟日報などの企業から、学者やジャーナリスト、サッカーサポーターや学生、刺青した男組まで、右翼左翼、有象無象の幅広い層によって結成されました。中には逮捕者や降格になる人、右翼に転向する人、菅野氏や高橋氏のように女性トラブルや、「十三ベース事件」のような内部対立での暴力事件などトラブルも多く、「しばき隊」という単語がポジティヴに語られることが少なくなっています。
しかし一方で、ヘイトスピーチは年々小規模になり、カウンターの数も増えたことで、堂々としたヘイトデモは殆ど見られなくなりました。何よりも「在日」がターゲットだったものが、「しばき隊」やら「パヨク」がターゲットになったことで、ヘイトスピーチより罵倒の応酬が増えて、有名無実化させることに成功しました。
初期メンバーの清義明がこのように語っています。
しばき隊はドブさらいがその役目だった、と言える。近所でドブ川が雨になるとあふれて臭気を放つ。役所に頼んでもいっこうに腰を上げる気配もない。それならばみなで集まって、汚い仕事だけれどもドブ川をさらうしかないだろう。それがスタート地点だった。だから、そのメンバーには思想も過去も職業も問われなかった。そして「右翼」と対峙するために特に屈強な男たちが集まった。エリック・ホッファーは言う。「どんな政治運動でも最初の段階ではアタマのおかしい狂信者がいて、それが突破口になる」と。向こう見ずで後先を考えない人間が、ある局面では必要となる。
引用元: http://ironna.jp
「どんな政治運動でも最初の段階ではアタマのおかしい狂信者がいて、それが突破口になる」
まさにしばき隊の功績とは、言葉は悪いですが、ドブさらいに成功したということでしょう。
しばき隊の正体はドブさらいの志願兵であり、様々な属性の人が様々なやり方で悪臭から社会を守ろうとして、だけども守り方を巡って絶えず争いが起こっているという集団なのかもしれません。
何故「しばき隊界隈」が嫌われるのか。
ドブに手を染め、悪臭を放っているからに他ならないでしょう。
でもドブに手を染める人間がいなければ、ドブが氾濫し、社会は守られないのです。
野間氏と安田氏のNo Hate TV
YOUTUBEで配信されるネット放送「のりこえネットTV」で放送される「NO HATE TV」では様々な差別の問題が語られています。