助手席ジュニアシートをおすすめしない4つの理由[法律違反なのか]

顔が見えて子どもも親も安心するからという理由で、ジュニアシートを助手席にセットする人がいます。しかし、多くのジュニアシートは助手席にセットしないよう注意書きがされています。なぜ助手席にジュニアシートをおすすめできないのか、その理由について解説していきます。

助手席ジュニアシートをおすすめしない4つの理由[法律違反なのか]のイメージ

目次

  1. 1ジュニアシートを助手席にセットするのは法律違反なのか
  2. 2助手席ジュニアシートをおすすめしない4つの理由
  3. 3どうしてもジュニアシートを助手席で使う時は?
  4. 4ジュニアシートは正しく使おう

ジュニアシートを助手席にセットするのは法律違反なのか

子どもの命を守るチャイルドシートやジュニアシート

ジュニアシートの多くが、「助手席への設置はしないようにしましょう」と説明書に書いています。そのせいなのか、法律違反だからダメなんだと思っている人も少なくありません。

しかし、法律上ジュニアシートは車内のどの座席にセットしても問題はなく、助手席にジュニアシートをセットしても法律違反にはらないのです。

ではなぜこのような注意書きがされているのか、その理由を一つ一つ掘り下げて解説します。

前向きにセットするのは法律違反ではない?

助手席に前向きに設置されたチャイルドシート

ジュニアシートを助手席にセットすることは、道路交通法上違反ではありません。たとえ前向きにセットしたとしても、それで法律違反となることもありません。

しかし、ジュニアシートのメーカーが前向きにセットすることを禁止している場合、助手席に前向きでセットしている状態で事故が起こり子どもが怪我をしても、自動車保険の補償対象にはならないことがあります。

メーカー側は、安全に使用してもらうための告知義務という法律を守って取り扱い説明書に禁止事項を記載しています。その告知を無視するかどうかは、使用する側の責任となるのです。

つまり、道路交通法では違反ではないからという理由でメーカー側の警告を無視して前向きにセットした場合、道路交通法上は違反ではないけれども保険の関係上は問題があるということになります。

後ろ向きは?

後ろ向きに設置されたチャイルドシート

ジュニアシートやチャイルドシートを後ろ向きにセットすることも、前向きの時と同じで道路交通法では違反となりません。しかし、実は事故が起こった場合に一番危険とされているのは後ろ向きのセットです。

助手席で後ろ向きにセットしているチャイルドシートでは、赤ちゃんの頭がよりエアバックに近くなります。赤ちゃんの頭の骨はまだ柔らかく、たとえチャイルドシートに載せていても後ろ向きでは事故とエアバックの両方の衝撃には耐えきれません。

子どもの顔が直接見られるので安心できる後ろ向きのセットですが、万が一事故が起こった時には最悪子どもの命を奪うことにもなるのです。

後部座席のジュニアシートで寝る子ども

助手席にジュニアシートやチャイルドシートをセットすることは、法律違反ではありませんが事故にあった時のリスクが高くなる行為です。これは前向きでも後ろ向きでも変わりません。

国土交通省のホームページでも、以下のような内容の注意がされています。

メーカーの取り扱い説明書に従って正しくチャイルドシートを使用する。
助手席にセットすると事故にあった時に大変危険である。


つまり、メーカー側が助手席・前向きセット・後ろ向きセットをしないように説明しているのであれば、法律と同様に使用方法を守ることが大切ということになります。

助手席ジュニアシートをおすすめしない4つの理由

後部座席のジュニアシートでぐっすり寝る女の子

法律違反ではないし、気をつけて運転すればジュニアシートをセットしてもいいのでは?と思う人も多いと思います。

しかし、助手席にジュニアシートをおすすめしないのには明確な理由があるのです。

なぜ助手席にジュニアシートをおすすめできないのか、その内容を詳しく見てみましょう。

いざという時エアバッグの衝撃に耐えられない

運転席のエアバック

事故が起こった時に作動するエアバッグは、運転席と助手席の前面から飛び出すようになっています。シートベルトが乗っている人を固定し、さらにエアバッグで事故による衝撃を最小限にするためです。

しかし、このエアバッグ自体も飛び出してくる時に一瞬で膨らむほどの勢いがあり、これに当たるとひどいケガをすることになります。
 

事故の怪我で泣く子ども

エアバッグは、次のような条件の人が助手席に乗っていることを想定して車に搭載されています。

・チャイルドシートやジュニアシートを必要としない年齢の人
・シートベルトをきちんと締めている人


エアバッグは時速30㎞〜40㎞で作動するようになっており、事故の衝撃としてはビルの3〜4階から落ちた時と同じと言われています。

それだけの衝撃を赤ちゃんや小さい子どもが受けるとどうなるのか、想像するだけでも怖いですよね。

事故から命を守るためのエアバッグで子どもに怪我をさせないためにも、ジュニアシートを助手席にセットすることはおすすめできません。

助手席と後部座席ではシートベルトの構造が違う

ジュニアシートに座る子ども

助手席と後部座席のシートベルトに、少し違いがあることをご存知でしょうか?

座席に対して少し後方の柱の上部から、斜めに引き下ろして反対側の腰の部分で留めるシートベルトは3点式シートベルトと呼ばれ、多くのチャイルドシート・ジュニアシートはこのシートベルトでしっかり固定するようになっています。

一見すると全く同じシートベルトのように感じるのですが、実は助手席と後部座席では決定的な構造の違いがあります。

支えとなるフックが上下に動く助手席のシートベルト

後部座席のシートベルトは、柱のフックが完全固定されています。これに対して、助手席のシートベルトは柱のフックが上下に動くようになっているのです。

フックが上下に動いてしまうと、チャイルドシート・ジュニアシートをしっかりと固定することができません。強い衝撃や何かの拍子で知らないうちに動いていることもあるため、万が一の時に子どもがジュニアシートから飛び出してしまう可能性が高くなるのです。

シートベルトで固定するからこそのジュニアシートですので、もう一度しっかり固定されているか確認することが大切です。

気が散って運転に集中できない

ジュニアシートに座る不機嫌な子ども

運転中は周囲に気を配って集中しなければなりませんが、ジュニアシートを助手席につけて子どもを座らせていると、気が散ってなかなか運転に集中することができません。

特にジュニアシートを使用する幼少時の子どもは好奇心が旺盛で、前方にあるパネルのボタンや運転席にいるパパ・ママの腕などを掴んだり、手に持っていたおもちゃをフットブレーキやアクセルの下へ落とすといった危険性もあります。

顔が見える方が安心と思いがちですが、運転に集中するためにも助手席にジュニアシートを取り付けるのはおすすめできません。

事故による死亡例が多い

事故の様子

事故による死亡例が一番多いのも、チャイルドシート・ジュニアシートを助手席につけていたケースです。

車前方からの衝撃だけではなく、後方からの追突や横からの衝撃などでもエアバッグは作動します。また、そういった衝撃が起こると大きな力が体を押さえつけることになるのです。助手席にシートをセットしていたことで実際に起こった死亡例としては、以下のようなものがあります。

・エアバッグによる圧迫死
・シートベルトの緩みで車の外に投げ出されて死亡
・ベルトが子どもの首に食い込み窒息死


こうした死亡事故は、起こってしまってからでは取り返しがつきません。

助手席にジュニアシートをセットすることをおすすめしない最大の理由は、大切な子どもの命を守るためなのです。

どうしてもジュニアシートを助手席で使う時は?

後部座席のジュニアシート

ダメなのはわかっているけど、子どもが病気で様子を見ながら病院に連れていかないといけない…そんなケースもありますよね。

もしどうしてもジュニアシートを助手席で使う時にはどうしたら良いのか、その方法をご紹介します。

座席を一番後ろまで下げること

助手席から見た車内の様子

助手席でジュニアシートを使用する時には、次の手順に従って取り付けてみましょう。

・助手席を一番後ろまで下げる。
・ジュニアシートと助手席のリクライニングができるだけぴったり合うように調整。
・しっかり座席に押し付けながらシートベルトで固定し、緩みがないかを確認。


座席を一番後ろまで下げることでエアバッグの衝撃を最小限におさえ、ジュニアシートと助手席の密着度が固定する力を強くします。

ただし、助手席のシートベルトはどうしても緩みがちになりますので、使用する時には緩みがないかどうかをしっかりと確認するようにしましょう。

必ず前向きにセットすること

助手席のジュニアシートは必ず前向きにセット

助手席でジュニアシート・チャイルドシートを使用する時は、必ず前向きにセットするようにします。

使用するシートによっては後ろ向きにセットできるものもありますが、助手席では必ず前向きです。

助手席を一番後ろまで下げた状態で後ろ向きにセットすると、シートが安定せずしっかりとした固定ができません。

ジュニアシートやチャイルドシートが一番安定することを第一に考えて、必ず前向きにセットししっかりと固定しましょう。

ジュニアシートは正しく使おう

ジュニアシートの正しい設置が大切

ジュニアシートは、取り扱い説明書の使用方法を正しく守ることでその力を十分に発揮することができます。

下記の記事では、ジュニアシート・チャイルドシートの正しい取り付け方を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

Thumbチャイルドシートの正しい付け方を解説!前向き・後ろ向きならどうする?
子どもを連れて車で出掛ける時、必ず着用しなければいけないチャイルドシート。あなたは正しい付け...

2014年に警察庁が発表した統計を見てみると、ジュニアシートやチャイルドシートが正しく使用されていなかった場合の死亡重症率は、正しく使用されている場合と比べるとなんと6倍にもなっているのです。

大切な子どもの命を守るためにも、ジュニアシート・チャイルドシートは正しく使用するようにしましょう。

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この記事のライター
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行き倒れの猫を拾ってからずっと猫を飼い続けているシングルマザーです。一人息子と猫のために頑張ります。

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