2018年05月08日公開
2018年05月08日更新
赤ちゃんの体重が増えない?考えられる原因と対処法を解説!
赤ちゃんの体重がなかなか増えないという悩むを持つお母さんは多いのではないでしょうか。どうして赤ちゃんの体重が増えないのか、何が原因で増えないのか、その原因は月齢によって異なります。そこで、今回は月齢別の体重増加不良の原因と対処法を解説します。
体重が増えない原因は病気以外にもある!
赤ちゃんの体重は、どのくらい成長したかを数値として見ることができて日々成長していく赤ちゃんに実感を持つことができるものです。
その分、体重が思うように増えないでいると不安を感じてしまいがちです。
乳児健診で体重を計ってみたら平均よりも下回っていたり、他の赤ちゃんに比べると小柄だったりすると何か原因があるんじゃないかと思うものです。
特に、生まれた時の体重が少なかった赤ちゃんは他の子よりも成長が遅いのではないか、このまま小さいままなのではないか、と焦燥感を覚えてしまうことも。
中でも心配なのは新生児。
新生児の体重を計ってみると生まれている時よりも減っている事があります。
たっぷりミルクをあげているはずなのに、とショックを受けるお母さんも多いでしょう。
免疫力が発達していない新生児ですから、何かの病気かと心配してしまいます。
けれど、赤ちゃんの体重が増えない原因は病気以外にもあります。
むしろ、病気が原因のことよりもミルクや母乳や離乳食が原因で体重が増えないことの方が多いのです。
また、赤ちゃんの体重増加には個人差がありますし、大人と同じように増えていくわけではありません。
なかなか体重が増えないと心配していたけれど、実はそれが普通だったということも。
赤ちゃんの体重は目安として三か月で二倍、一年で三倍ほどになります。
これは毎日同じだけ増えていくのではなく、生後二週間ならば一日15グラム、生後一か月ならば一日25グラムと成長するにつれて変わっていきます。
細かな体重増加の目安は、厚生労働省が成長曲線を発表していますので、そちらと比べて見てください。
これは全国からランダムに選ばれた赤ちゃんの体重をグラフ化したものです。
また、平均体重も発表しています。
赤ちゃんの平均的な体重増加がどのようになっているかがわかりますので、自分の赤ちゃんの体重増加の参考としましょう。
ただし、必ずしもすべての赤ちゃんが当てはまるわけではありません。
成長曲線から多少外れてしまっていても、過度な心配をする必要はありません。
体重が増えない原因を月齢別に解説
あまりにも赤ちゃんの体重が増えないならば、何らかの原因を疑うべきです。
あまりにも赤ちゃんの体重が増えないならば何らかの原因を疑うべきです。
赤ちゃんの体重が増えない原因は月齢ごとに異なります。
以下に月齢別にまとめましたので、参考にしてみてください。
新生児の体重が減ってしまうのはなぜ?
新生児のときは体重が増えないどころか減ってしまうことがあります。
これは新生児の特徴であり、生理的体重減少という一般的なものです。
たっぷりと母乳やミルクを与えても新生児の体重が減ってしまいますが、1、2週間ほどすれば生まれたときくらいの体重に戻ります。
体重が増えていくのはそれ以降となります。
新生児の時期の体重減少は、減少率が出生体重の10%以内であれば問題ありません。。
先天性の病気などは新生児の段階で見つかることが多いですが、その場合は排便が全くない、ミルクを全く飲まないなどの明らかな異常があります。
新生児の体重減少で病気を疑う必要はありません。
免疫力や体力がない新生児ということもあり、病気だったらどうしようと不安を感じやすい時期ですが、これは新生児特有の成長の仕方。
直に体重は増えていきますので、心に余裕を持って待ちましょう。
どんどん成長していくと思った矢先に体重減少を目の当たりにすると知識があっても動揺してしまいがちです。
新生児とはそういう成長をする、ということをよく覚えておきましょう。
生後1・2・3・4ヶ月で体重が増えない原因は?
生後一か月くらいになると健康診断などで赤ちゃんの体重を測定する機会が増えると思います。
そんな時、平均よりも体重が増えていないと言われてしまうとこれからの成長に大きな不安を感じることでしょう。
赤ちゃんは生後三か月で出生時の二倍の体重になると言われていますが、その目安や成長曲線を大きく下回ってしまっている場合は体重が増えない何らかの原因があると思われます。
生後1か月~4か月の時期に体重が増えない主な原因は栄養不足・カロリー不足です。
体重が増えるだけのカロリーを十分に摂取できていないのですが、これは与えるミルクの量不足や母乳のカロリー不足、そして赤ちゃんがお乳を吸うことに慣れていないことが考えられます。
赤ちゃんは母乳や哺乳瓶を吸うことを誰かに教わるわけではありません。本能でそれを感じているのです。
しかし、本能は吸わなければいけないとは教えてくれますが、吸い方までは教えてくれません。
そのため、最初から上手に母乳を飲める子は少ないです。
何事にも練習が必要です。それは赤ちゃんも同じこと。
新生児の時から繰り返し練習し、何度も母乳を飲むうちに赤ちゃんも上手になっていくのです。
そして、お母さんもまた授乳に慣れていないもの。
上手に授乳することが出来ていないのかもしれません。
赤ちゃんもお母さんも不慣れなため、最初のころはたくさん飲んでいるように見えてもあまり飲めていないことが多いです。
間隔や回数を気にしすぎず、赤ちゃんがお腹が空いたと泣いたのならば満足するまであげましょう。
また、母乳は授乳すればするほど出が良くなるといわれています。
夜に授乳するのも母乳を長く多く作るために必要だとも言われています。
夕方にたっぷり母乳を飲んだ赤ちゃんは朝までお腹が空かないことがありますが、長く授乳したい場合は夕方は控えめにして夜に多くあげるようにしましょう。
ミルクを哺乳瓶で与える場合はどのくらい飲んでいるかの把握ができますが、母乳を与えている場合はどのくらい飲んでいるのか正確にはわかりません。
そこで、おしっこの回数でどのくらい飲んでいるかを確認しましょう。
5~6回以上おしっこをしているならば、母乳の量は問題ありません。
母乳の量に問題がないのに体重が増えないのは、与えている母乳そのものに栄養が不足していてカロリーが足りていないからです。
母乳の栄養不足はお母さんが十分に栄養を取れていないことが原因です。
母乳の質はお母さんの取っている栄養によって変わります。
サラサラとして少し青みがかっている母乳にはたくさん栄養がありますし、大人が飲んでも美味しいと言われています。
しかし、ドロッとしていたり濃い乳白色の母乳は栄養不足で赤ちゃんもあまり美味しくないと感じます。
赤ちゃんは母乳の味がわかりますし、美味しい母乳を飲みたがります。
母乳が美味しくなければお腹が空いてもなかなか飲んでくれませんし、母乳の栄養が足りていなければたくさん飲んでいても赤ちゃんまで栄養不足になってしまい、体重が増えないということに繋がります。
赤ちゃんの成長のためにはお母さんの健康第一です。
栄養たっぷりの母乳が出るよう食事を見直してみましょう。
母乳の栄養を高める食べ物ですが、ポイントとなるのは母乳は血液を元に作られているということです。
血液がサラサラになれば母乳もサラサラになりますし、身体が不健康ならば作られる母乳の栄養も低くなります。
血液をサラサラにする一番効果的な食べ物はやはり青魚です。
イワシやサバやサンマを良く食べるようにしましょう。
カロリー不足を補うためにお肉や白米をたくさん食べてください。
ただし、脂肪の多いお肉は血液をドロッとさせてしまいます。脂肪が多いものは避け、赤みのお肉を選んでください。
白米は一食に二膳食べるのが理想です。
しかし、元が小食の人は大変だと思います。
その場合はおかずの量を減らし、白米を優先しましょう。
一度にたくさん食べられない場合はご飯の回数を増やしてみてください。
子育ては体力も大切です。多少お腹が空いていなくても食べられる時にしっかりと食べましょう。
手っ取り早くカロリーを上げようとして油っぽいものを食べてしまうのはNGです。
油っぽい食品は母乳の味と質を悪くします。
カロリーがあっても美味しくない母乳は赤ちゃんも飲みたがりません。
土の中の食べ物、根菜類も母乳を出しやすくすると言われています。
じゃがいも、大根、ニンジンなどはいろいろな料理に使いやすく特にお勧めです。
ピーナッツも土の中の食べ物で、母乳を出しやすくします。
煎りピーナッツをおやつに食べるのも良いでしょう。
また、水分をたくさん摂るのも重要です。
目安は一日2000ml。
コップ一杯の水がだいたい180cc~200cc程ですので、一日にコップ10杯を飲むことになります。
とてもたくさんに思えますが、朝にコーヒーを一杯、毎食中にお茶を一杯、食後にもう一杯、一日に二、三回休憩を取って、その際に一杯ずつ。
あと一、二杯、好きな時に好きなものを飲みましょう。
コーヒーは赤ちゃんには良くないとされていますが、カフェインには多少の中毒性があり毎日飲んでいた人が突然飲まなくなると頭痛がしたり疲れやすかったりストレスがたまりやすくなります。
一日一杯くらいならば大きな悪影響はありませんので、毎朝一杯目覚めのコーヒーを飲むくらいならば必要水分量としても丁度良いでしょう。
控えた方が良い食品は脂っこいものの他に洋菓子があります。
ケーキやチョコレートは極力控えましょう。
どうしても甘いものを食べたいときは、三時のおやつをみたらし団子やわらび餅などの和菓子に変更しましょう。
きなこやあんこは身体にも良い食品です。
赤ちゃんのお世話をしながらお母さん自身の食べ物にも気を使い、さらに家事や兄弟がいるならばその子たちの世話もしなければなりません。
お母さんが一日にこなさなければならない仕事量は膨大なものとなってしまい、あまりのストレスに産後うつを引き起こしてしまう事があります。
産後うつ病の深刻な悩みとして、赤ちゃんが全く可愛くなくなってしまうということがあります。
これは、母親としてとても辛いことです。
周囲の人の助けをあまり借りられないならば、母乳の質を高めるよりも母乳の栄養不足を補うために母乳とミルクを混合する方法をとりましょう。
母親として、赤ちゃんは母乳で育てたいという本能があります。
しかし、子育てはこれから20年間続きます。
今から無理をしてしまい心と身体を壊してしまっては元も子もありません。
また、ミルクの方が母乳よりも体重増加が多いとミルクと母乳の混合を推奨する助産師もいます。
母乳の質を高め、ミルクも使用し、赤ちゃんにたくさん飲んでもらえるようにしましょう。
生後5・6ヶ月で体重が増えない原因は?
そろそろ離乳食が始まる生後5、6か月。
そんな時に体重が増えないのは心配であり何か間違っているのかと焦燥感もあるでしょう。
この時期の赤ちゃんの体重が増えない主な原因は離乳食です。
離乳食を食べ始めたばかりの赤ちゃんの胃は、それまで母乳やミルクしか消化したことがなく固形物をうまく消化できないことがあります。
離乳食を上手に消化できないと栄養を吸収することができず、体重があまり増えないようになってしまいます。
離乳食は赤ちゃんの成長にあわせて固さを変更していきますが、消化器の成長は見た目ではわかりません。
しっかり食べているのに体重が増えないときは、消化不良を考え離乳食の固さを一つ前のものにしてみましょう。
また、離乳食をあまり食べないことが原因かもしれません。
今まで喜んで食べていた離乳食なのに、ある日突然嫌がることもあります。
赤ちゃんは好みの変化が大きく、突然その離乳食に飽きたりします。
そんな時は別の離乳食をあげてみましょう。
赤ちゃんがちゃんと離乳食を食べているかどうかは毎日のおしっこやうんちで確認しましょう。
毎日出ているのならば離乳食の量に問題はありません。
量が足りているのに体重が増えないならば、離乳食だけでは栄養が足りていないということです。
そんな時は離乳食は一つ前の柔らかさに戻し、同時にフォローアップミルクで栄養を補いましょう。
離乳食とフォローアップミルクを上手に活用し、赤ちゃんの成長を後押ししましょう。
生後7・8・9ヶ月で体重が増えない原因は?
生後七か月以降の赤ちゃんはいろいろなものに興味を持ち、じっとしていることがないほど動き回ります。
活動量が増えるとその分必要なエネルギーが多くなり、母乳や離乳食をしっかり食べていても体重が増えないようになります。
赤ちゃんが元気に動き回り、母乳や離乳食をしっかり食べているのならば大きな心配は必要ありません。
この時期に体重が増えなかったからと後の成長に大きな影響を及ぼすことはありません。
赤ちゃんの体重を増やすことではなく、自由に遊ばせて感受性を育むことを優先しましょう。
その他の原因
体重が増えない原因は母乳や離乳食だけではありません。
その他にも原因があることがあります。
部屋の温度が低すぎる場合、身体を温めようと赤ちゃんの消費エネルギーが増えたために体重が増えないこともあります。
身体を温める方に使ったぶん、成長に使えるエネルギーが少なくなるからです。
赤ちゃんが成長にエネルギーを集中できるように、部屋の温度は暖かく保ちましょう。
夏場は25~28度、冬場は20~23度ほどが理想です。
外に出る時は毛布や上着などの防寒具を必要に応じて使用しましょう。
ただし、暑すぎるのもよくありません。
適温を保てるように気を配ってあげてください。
何も問題がなくても体重が増えない場合は身長が伸びている時期なのかもしれません。
体重と身長は同時に成長することはありません。
体重が増加し、身長が伸び、また体重が……といったようにどちらか片方ずつ交互に成長するのです。
1~2日ほどならば体重が増加していなくても心配ありません。
毎日の体重を比べて見ても赤ちゃんの成長はわかりにくいものです。
成長を見るための体重測定は一週間に一度くらいの間隔にし、体重増加が多い少ないに一喜一憂する必要はありません。
規則的に成長していく赤ちゃんはいません。
体重の変化も子育ての喜びの一つです。
病気が原因の可能性も
病気を原因とする体重増加不良もあります。
発見が遅れた場合、障害が残ったり命の危険があることも。
体重が増えない病気の中でも、緊急性を有するもの、命の危険があるものをまとめました。
症例に心当たりがある場合、小児科の診察を必ず受けてください。
肥厚性幽門狭窄症
ひこうせい ゆうもん きょうさくしょう と読みます。
生後2~3週間から生後3か月ほどの赤ちゃんに見られる病気です。
何らかの理由で胃の出口にある幽門筋(ゆうもんきん)が肥大化してしまい、ミルクが胃に溜まったままになってしまいます。
胃がいっぱいのまま母乳やミルクを飲むと、飲んだ直後に噴水上に吐き出します。
しかし、空腹感のためにさらにミルクを欲しがります。
そのままミルクが飲めないままだと体重がどんどん減ってしまいます。
幽門筋が肥大してしまう原因は不明ですが、初めての出産かつ男の子に多く見られる傾向があります。
しかし、第二子以降、女の子も発症することがあります。
ミルクを噴水上に吐き出すという大きな特徴がありますので、気付きやすい病と言えるでしょう。
確定診断も比較的容易とされ、手術も世界中で行われています。
手術後は早い時期からミルクを飲めるようになります。
クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)
せんてんせい こうじょうせん きのうていか しょう と読みます。
生まれつき甲状腺の働きが弱く、甲状腺ホルモンが不足する先天性の病気です。
甲状腺ホルモンは生後数か月の知能発達に重要で、治療が遅れてしまうと知的障害が残るとされていますので、早期発見がとても重要です。
以下の症状が見られたら、すぐに小児科の診察を受けてください。
元気がない・哺乳不良・体重増加がよくない・黄疸の蔓延(体中が黄色っぽくなる)・便秘・手足がつめたい・泣き声がかすれている。
出産後の早朝から症状が見られることもあります。
多くは生まれてから5~7日目に行われる新生児マススクリーニング検査出発見されますが、稀にこの検査でも発見できないケースがあります。
検査をすり抜けてしまい、長い間甲状腺ホルモンが不足してしまうと身体の成長や知的な発達に影響が出てしまいます。
新生児マススクリーニング検査で異常がなかったからと油断せず、症状が当てはまると思ったら小児科の診療を受けましょう。
ヒルシュスプルング病
先天性の病で、腸の蠕動運動をコントロールする神経節細胞を欠如しているために自力で排便ができなくなる病気です。
便がたまり結腸が巨大化してしまうことから、先天性巨大結腸症(せんてんせい きょだい けっちょう しょう)とも呼ばれています。
症状は便秘・異常な腹部のふくれ・体重増加不良・発育障害などですが、出生後24時間たっても胎便が出ず、浣腸をすると爆発的な排便が起こるのも大きな特徴です。
確定診断には病理検査が必要になります。
多くは手術によって排便できるようになりますが、重症の場合は小腸、または多臓器移植が必要となる場合もあります。
また、死亡例も多いです。
その他の病気
これらの他にも原因となり得る病気は存在します。
染色体、内蔵、内分泌系と、体重が増えない病気はあらゆる分野に存在します。
赤ちゃんに大きな異常を感じたらまずは小児科の診察を受けましょう。
心配なときは専門家に相談して
初めての赤ちゃんだったり、周囲の助けをあまり借りられない時は不安や心配を抱え込んでしまいがちです。
そんな時は育児相談サイトや育児相談電話サービスなどで相談してみましょう。
専門家からアドバイスをもらうことができます。
赤ちゃん&子育てインフォ
URL:https://www.mcfh.or.jp/
投稿した質問に専門の先生が答えてくれます。
月に一度の更新ですので、緊急性の高い場合は適しません。
全国の子育て・女性健康支援センター
URL:http://www.midwife.or.jp/general/supportcenter.html
子育てや出産の悩みを含む女性の悩み全般を受け付けているお悩み相談センターです。
電話で相談もできますし、全国にある施設に直接訪問して相談することもできます。
子育てホットライン 「ママさん110番」
電話番号:03-3222-2120(無料)
相談時間:月曜日~金曜日の10時~16時
日本保育協会が運営している無料電話相談窓口です。
子育て全般の悩みを相談することができ、専門的なアドバイスももらえます。
サイトや電話相談では情報が限られてしまい、具体的な診断をすることはできません。
不安があるならば、小児科でしっかりと診断を受けることも大切です。
赤ちゃんの体重が増えなくても慌てずに様子を見よう
赤ちゃんの体重が増えないで心配に思っているお母さんはたくさんいます。
けれど、大きな病気は生まれてすぐに異常がわかるもの。
元気に遊んでいたり、笑っていたり、ミルクをたくさん飲んでくれるならば慌てる必要はありません。
赤ちゃんの成長には個人差があります。
心に余裕を持って、赤ちゃんの様子を見守りましょう。