2021年03月30日公開
2021年03月30日更新
映画『凶悪』の元ネタ→上申書殺人事件の実話が凶悪過ぎる【アンビリバボー】
あなたは映画「凶悪」を観賞したでしょうか。あの映画「凶悪」は実話が元ネタとなっています。事実は小説よりも奇なりと言ったもので、まさかの実話の元ネタを実写化しています。「上申書殺人事件」と名付けられた事件をお伝えしていきます。
目次
実話を元ネタにした映画は数あれど。映画「凶悪」もまさかの実話!
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2013年9月21日に公開された衝撃の映画作品。テレビ「アンビリバボー」でも紹介され話題となりました。映画を観終わった後、この事件に対して、良い意味で決して気持ち良くならないであろう内容が「そこ」にあります。事件の恐ろしさは勿論のこと、それが実話の元ネタがあると知れば、尚更この「凶悪」の映画タイトルに納得出来ます。それでは、ご案内します。映画をこれから観ようという方にはネタバレ注意です。
こちらは宮本氏が取材したものが文庫化されたものでベストセラーとなりました。
映画「凶悪」の元ネタとなる実話の時系列※ネタバレ注意
ここからは、死刑囚後藤良次が告発手記を書かなければ、闇に葬られていた事件をお知らせします。
映画「凶悪」の元ネタとなった実話。「上申書殺人事件」※ネタバレ注意
すでに死刑判決を受け、上訴中であった後藤良次からの上申書から始まりました。
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2005年3月、凶悪殺人犯である死刑囚後藤良次が、雑誌「新潮45」の記者である宮本太一氏に記事にして欲しい事件があるので、会って欲しいという要望がありました。死刑囚後藤良次の手記が真実なのか宮本氏は取材を重ね、2005年10月17日に死刑囚後藤良次の弁護士が茨木県警本部に上申書を提出されたタイミングに合わせて、翌日「新潮45」10月18日に11月号発売。凶悪殺人犯の告発が主な内容となりました。
ただし、発売に至るまでにこの事件の信憑性を確かめなければいけない。
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凶悪殺人犯である死刑囚後藤良次の発言は、間違っていないのか。後藤良次本人の死刑が確定されていることから、新たな事件の供述を始めて死刑の延長を望んだ嘘ではないのかと、記者である宮本氏は考えますが、取材を進めていくうちに、凶悪殺人犯の言うことのつじつまが合致していきます。
映画「凶悪」でのキャスト
モデルとなった宮本氏は映画では主演山田孝之が演じています。
また映画の編集長のモデルは当時の編集長、中瀬ゆかり。
映画「凶悪」の元ネタとなった実話の凶悪死刑囚後藤良次の生い立ち
後藤良次の誕生 生い立ち
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栃木県宇都宮市簗瀬(やなぜ)町に1958年7月24日誕生。
この時は、これから起こすであろう事件など知る由もないはずですが‥‥。
彼の生い立ちを見るだけでも凶悪のエリートと言っても過言ではないでしょう。映画では生い立ちは描かれていませんので、ご紹介します。
14歳にて窃盗事件、暴力行為の事件を起こし、初等少年院1年を経験し、16歳にて暴力団の組に入ります。17歳ではまたも窃盗事件、器物破損事件を起こし中等少年院へ。
19歳で器物破損事件を起こし、特別少年院へ。
20歳では公務執行妨害事件と傷害事件を起こし逮捕。懲役1年4カ月。
22歳で、またも窃盗事件、器物破壊事件・住所侵入事件を起こし逮捕。懲役10カ月。
23歳で恐喝事件を起こし逮捕‥‥。アンビリバボーですよね。
その後暴力団としての地位を確立していきますが、ついに1990年殺人事件を犯します。
※画像はイメージです。
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筋がね入りの暴力団組員のモデルともいえる存在。
凶悪死刑囚後藤良次の誕生。※ネタバレ注意
・1990年11月、対立していた住吉会系の組長を射殺する事件を起こします。翌年、逮捕されますが、十分な証拠がなくこの事件は不起訴処分に。
・1994年11月、後藤良次は暴力行為事件、銃刀法違反事件、覚醒剤取締法違反で逮捕され懲役4年の実刑判決が下されます。
・1999年5月「自殺偽装殺人事件」
宇都宮市内で知人の自営業者を絞殺。この自殺偽装事件は2007年に上申書とは別に自供を始めました。被害者には1000万円の保険金がかけられていました。
・1999年後半、後藤良次はただでさえ「凶悪」でありましたが、この出会いで更なる「凶悪」を生み出します。その出会いこそが「先生」と呼ぶ「死の錬金術師」三上静男との出会いでした。
・2000年7月、「水戸殺人事件」
刑務所仲間にメンツを潰されたと激怒し、仲間の暴力団員・小野寺宜之と共謀し暴行し、両手両足を縛り那珂川へ投げ込み殺害する事件が発生。
・2000年8月、「宇都宮マンション死傷事件」
計4名への死傷事件。女性1名が司法解剖の結果、急性薬物中毒が死因とみられる。他女性1名男性1名は胸等を刺され重傷。残る男性は胸を刺されたが比較的軽症でありました。全員が縄に縛られ身動きが取れない中、後藤良次は、小野寺、浦田、沢村容疑者と灯油をマンションの部屋にまき散らし着火。比較的軽症であった男性が自ら縄をほどき消火したといいますが、死亡者が4名出ていたかもしれない事件でありました。生き残った彼らから情報を聞き出し、暴力団幹部後藤良次らを殺人未遂、放火容疑で指名手配。
・2000年同8月。後藤良次容疑者ら4名を逮捕。
・2003年2月。凶悪犯罪事件を繰り返した後藤良次は死刑判決が下される。
・2005年3月に宮本氏に接見依頼。
1つ1つの事件が、まさに「アンビリバボー」な事件ばかりですが、この事件だけでも十分被害者は出ていますが、映画の凶悪にはたどり着いていません。ここからが、映画の「凶悪」な事件の全貌が明らかになっていきます。※ネタバレ注意
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映画凶悪での死体遺棄事件でのワンシーン。ピエール瀧演じる後藤の簡単に一仕事終えた後の一服と、死体が燃えている炎を笑顔を浮かべて眺めているリリーフランキー演じる三上静男。
上記の事件一覧は、死刑に至った事件。では、凶悪な上申書事件の供述とは!?
更なるアンビリバボーが待ち受けます。ネタバレ注意です。
1999年11月「上申書の事件 その1」の内容 ※ネタバレ注意
「大塚氏遺体遺棄事件」
三上静男と出会った後藤良次は、三上静男が殺害した遺体遺棄を手伝い、栃木県石岡市の焼却場で遺体を焼きました。この二人が出会わなくても事件は起きていましたが、二人が出会ったことにより事件はエスカレートし過激さを増すこととなりました。二人が出会ったことが事件であったかもしれません。
こちらの事件は確実な証拠が出ずに立件できずに終わっています。
1999年11月「上申書の事件 その2」の内容 ※ネタバレ注意
「倉浪氏生埋め事件」
埼玉県大宮市(現さいたま市)の男性を茨木市内に生埋めにして殺害した事件。土地持ちの老人を拉致し、その全ての権利を三上静男名義にしてから、殺害し、その手に入れた土地を売却することでお金を生むという錬金術。この事件は、死体が発見出来ずに立件されはいません。
先生こと三上静男が危険を察知し、死体を掘り起こして別の場所に移したと言われています。
2000年4月~8月「上申書の事件 その3」の内容 ネタバレ注意
2000年4月~7月
茨城県阿見町廻戸のカーテン屋経営(映画では電器屋経営)の栗山氏が糖尿病や肝硬変の治療の為に入院。退院後に仲介者を通して三上静男に栗山氏の家族が病死を装って殺して欲しいと依頼。
2000年7月~8月
水戸市内の三上静男の事務所にて栗山氏に死亡のその日まで焼酎、ウォッカ等アルコール度数の高い酒を無理やり口に押し込む等して飲酒させ、呼吸不全にて殺害した事件。
2000年8月
栗山氏の遺体は発見されるも、警察は事件として扱わず自殺として処理。
なぜ上申書を提出したのか。
映画には描かれていない先生の裏切り、反故と後藤の筋、信条。
ピエール瀧がモデルとして演じた後藤は、凶悪な犯罪者ですが、子分の面倒を見、また周囲への配慮もありました。後藤が犯罪を犯すタイミングは、嘘をつかれたりと自分へ対する裏切り行為が発覚した時に暴力行為が発生します。勿論、それは行き過ぎた行為で、許されるものではありません。
約束は守る。という仁義も通していました。
ですが、この極道の筋を通してきた男がなぜ、「先生」を売ったのでしょうか。
それには訳があります。
1、仲間と思っている自分にも嘘をつかれる。
2、保険金殺人の報酬2500万円を受け取れば自首しようとしていたが、約束を反故された。
3、先生の殺人を黙っていれば3000万用意すると言ったが、約束を反故。
4、面会時に、良い弁護士をつけると言ったが、これも嘘であった。
5、後藤が逮捕される時に、舎弟の藤田幸夫の面倒をみてやってくださいと頼み、先生は「任せておけ」と約束はしたが、逆に自殺に追い込み、またも約束を反故した。
6、これは「先生」と最も異なる点ですが、何の罪もない人を虐待殺害をしてしまったことへの贖罪の念から、上申書を提出することを決めました。
映画「凶悪」でのキャスト
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モデルとなった後藤良次を映画ではピエール瀧が演じています。
放火事件後、逮捕されるピエール瀧演じる後藤良次。
ピエール瀧の存在感がありすぎて、本人の後藤良次よりも狂気が孕んでいるようにもみえます。勿論、後藤良次本人と対面した訳ではありませんが。
映画「凶悪」の元ネタとなった実話の「先生」こと三上静男の生い立ち
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生まれ持った残虐性
幼少期の生い立ちはあまり明確になっていませんが、映画では描かれていないかなりの残虐性を持っていました。
まさにアンビリバボーな映画にはない事実を列挙します。
・良心の呵責を感じない
・動物虐待を楽しみ、鳥を蹴り上げたり、首を絞めて殺したりしていました。
・監禁して苦しんでいる姿をみている。
・カーテン屋の頭を坊主にし、体中に油性マジックで落書きをする。
つまり、自分より立場の弱いものが苦しんでいる姿を見て楽しむ頭の持ち主でした。生い立ちという思考をもって彼を考えるよりも、もともと常軌を逸していた人格なのかもしれません。
また後藤が捕まった後も様々なお金儲けの(勿論違法な)計画を練りますが、実行犯の後藤がいない為にうまく立ち回ることなく事件にもなっていません。
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舎弟を自殺に追い込む
リリーフランキーのモデルとなった三上静男はアンビリバボーな人格でありました。後藤の舎弟を自殺に追い込んだことから、獄中の後藤から怒りの手紙が送られてきます。もしかしたら、「先生」のことを告げ口するかもしれないと、警察がまだ動いていない間に、証拠隠滅に奔走します。
実質、証拠不十分で上申書の3件の殺人事件のうち立件された事件は保険金目当ての殺人事件のみ。そのことで、「先生」は後藤と違い死刑を免れています。
映画「凶悪」でのキャスト
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モデルとなった三上静男を映画ではリリーフランキーが演じています。原作でも二人の凶悪ぶりは当然で、映画でもピエール瀧との相性は抜群です。
またピエール瀧の演じる後藤良次は「先生」のことを非常に慕っていました。
映画「凶悪」の元ネタとなった事件の主犯格以外の関係者はどうなったか。
2003年
水戸事件、宇都宮事件に関与した小野寺宜之に無期懲役、浦田大に懲役12年、沢村勝利に懲役10年の実刑判決。
2005年11月
栗山氏殺害事件の被害者親族5人を詐欺容疑で逮捕。
2007年1月
栗山氏殺害事件の殺害容疑で、依頼した家族を逮捕。
2007年3月
栗山氏殺害事件の死亡保険金が振り込まれ口座を不正解説したとして詐欺罪に問われた工務店経営者夫婦、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)の有罪判決を言い渡しました。
2007年7月
栗谷氏殺害事件で殺人依頼をした家族
妻と娘に懲役13年(求刑18年)娘の夫に懲役15年(求刑18年)を言い渡しました。
映画「凶悪」の予告動画
まとめ
いかがだったでしょうか。殺人事件という垣根があまりにも低い劣悪な凶悪事件。後味が悪いことこの上なしです。アンビリバボーというレベルを超えていますよね。映画のオリジナル脚本であって欲しいと願うも全てが事実。ただ、ネタバレとして事実を知っていても十分に楽しめます。
動画はほんの一部なので、動画だけではなく、映画を是非観賞してみてください。
最後にもう一度。何よりも恐ろしいことはこの映画は全て事実に基づいているということをお忘れなく。