ファミコン言葉の意味や例とは?間違った接客言葉は直そう!
あなたはファミコン言葉という言葉を見聞きしたことがありますか? ファミコン言葉とは、接客の際に使われることの多い誤った敬語のことを指します。今回はよくあるファミコン言葉一覧や正しい言い換え方、接客の印象をより良くする方法などをご紹介します。
目次
ちょっと気になるおかしな敬語
あなたはコンビニなどを利用したとき、店員さんの話す敬語に違和感を覚えたことはありませんか。コンビニやファミレスでは、一見丁寧な接客をしているようで、誤った使い方をされている敬語が広く普及しています。このようなちょっとおかしな敬語は、「ファミコン言葉」と呼ばれています。
ファミコン言葉とは?
それでは、ファミコン言葉とは何で、どのような意味があるのでしょうか。別名なども併せてご紹介します。
ファミコン言葉の意味
ファミコン言葉の意味は、Weblio辞書ではこのように紹介されています。
ファミコン言葉
読み方:ファミコンことば
別名:コンビニ敬語、ファミレス敬語、バイト敬語
ファミリーレストランやコンビニエンスストアの店員が、客に対して用いる特徴的な言葉のこと。コンビニ敬語、ファミレス敬語ともいう。また、アルバイト店員がよく用いるということから、バイト敬語ともいう。
ファミコン言葉の別名は、コンビニ敬語・ファミレス敬語・バイト敬語となっています。特にコンビニやファミレスのアルバイト店員が使うイメージが強いのですが、接客業界で世代を問わず幅広い年代で使われるようになってきています。
ゲームではない
ファミコンといえば、往年の家庭用ゲーム機の通称でもありますが、ファミコン言葉とはこのゲーム機のことを指した言葉ではありません。ゲームの方が耳慣れていると、違った意味で受け取ってしまいそうですね。
正しい敬語ではない
ファミコン言葉を用いた接客が、すぐに悪印象に繋がってしまうかというと、そうではありません。しかし、ファミコン言葉は正しい使い方の敬語ではありませんので、正しい敬語への言い換え方を覚えて直していくと良いでしょう。正しい敬語での接客は、ファミコン言葉での接客以上の好印象を得ることができるでしょう。
ファミコン言葉が使われやすい場所3選!
例えば、老舗の旅館や大手の銀行などでファミコン言葉を聞く機会というものは少ないですね。それでは、ファミコン言葉が使われやすい場所は、どのような場所なのでしょうか。
①ファミリーレストラン
「ファミコン言葉」の由来でもあり、ファミコン言葉が使われやすい場所として代表的なのがファミリーレストランです。よく使われるファミコン言葉には、以下のようなものがあります。
- ご注文は以上でよろしかったでしょうか
- こちらコーヒーになります
- メニューのほうお下げします
②コンビニエンスストア
コンビニエンスストアも「ファミコン言葉」の由来となるほど、ファミコン言葉が使われる機会が多い場所です。学生のアルバイト店員がいることが多く、正しい敬語を知らないがためにファミコン言葉が使われやすくなってしまいます。コンビニでよく使われるファミコン言葉には、以下のようなものが挙げられます。
- ○○円からお預かりします
- お箸のほうおつけしますか
- お弁当温めてよろしかったでしょうか
③ファーストフード店
ファーストフード店も、コンビニやファミレス同様にアルバイト店員が多く、ファミコン言葉が使われがちな場所のひとつです。以下のようなファミコン言葉がよく使われています。
- ドリンクのほうはいかがでしょうか
- ○○円からお預かりします
- お持ち帰りでよろしかったでしょうか
よくあるファミコン言葉一覧!正しい言い換え方の例もチェック!
それではここで、よくあるファミコン言葉の例を一覧にしてご紹介します。あなたが耳にしたことのあるファミコン言葉があるはずですよ。
<ファミコン言葉一覧>
- ~になります
- よろしかったでしょうか?
- ~のほう
- ~からお預かりします
- お名前をちょうだいします
- ~かたちになります
- ら抜き言葉
- は抜き言葉
また、一覧にあるこれらのファミコン言葉を何と言い換えれば正しい表現になるのか、正しい言い換え方の例もみていきましょう。
①~になります
例えばコンビニなどで、「お会計980円になります」といった使われ方をするファミコン言葉です。「なる」とは本来、「春になる」のように「(季節が)冬から春に変化する」といった状態などの変化を表す動詞です。この「980円になります」というファミコン言葉は、金額が割引などの結果980円に変化した場合でなければ、意味を伴わない誤った使い方と言えますね。合計金額が980円であることを伝えたいときには、「980円でございます」と言い換えましょう。
②よろしかったでしょうか?
こちらもコンビニでよく聞かれるファミコン言葉ですが、当たり前に使われているため誤った表現とは気付かない言葉でもあります。何が間違っているのかというと、例えばこれから預かるのに「お預かりしてよろしかったでしょうか?」と過去形の表現で確認している点です。この表現は、相手の言ったことを疑っているような印象を与えてしまうとも言われています。「よろしかったでしょうか?」のファミコン言葉を言い換えるには、「お預かりしてもよろしいでしょうか?」と現在形に言い換えればOKです。
③~のほう
よくあるファミコン言葉一覧の中で、この「~のほう」というファミコン言葉が最も代表的なものと言えるでしょう。幼い頃から聞く機会が多く、耳慣れてしまっているという世代があるのも特徴です。本来なら、方向について言ったり、複数の選択肢があったりする場合に用いる言葉です。
例えば「エレベーターを降りられて左手のほうにお進みください」「和食と洋食がございますので、お好きなほうをお選びください」といったような使い方をします。よく耳にする「お箸のほうはおつけしますか」「ご注文のほう繰り返します」などは、方向でも選択肢でもなく、誤った使い方であることがわかりますね。いずれも「のほう」は使う意味がなく不要なので、「お箸はおつけしますか」「ご注文を繰り返します」と言い換えるようにしましょう。
④~からお預かりします
こちらも、一覧の中でもよく聞かれるファミコン言葉です。「1,000円からお預かりします」というような表現を、コンビニなどのレジで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。「~から」も「~になります」のファミコン言葉同様に、変化があった際に使う言葉です。ファミコン言葉における「~から」とは、特に状態などが変化しているわけではないため、意味がなく不要な言葉で誤った使い方です。
どうしても「~から」を使いたいときには、「お客様から1,000円をお預かりします」が正しい表現となりますが、いずれにしてもわざわざ言わなくても良い不要な表現ですね。したがって、「1,000円をお預かりします」と言い換えると正しい表現になります。
⑤お名前をちょうだいします
お店を予約する場合などに使われる「お名前をちょうだいします」のファミコン言葉ですが、名前とは誰かにあげたりもらったりする性質のものではないので、誤った言葉の使い方です。これは本来「お名前をお教えいただく」と言っていたものが、「お教え」が省略されてしまい「お名前をちょうだいする(いただく)」というファミコン言葉に変化したという説があります。他にも、電話番号や住所を「ちょうだいする」「いただく」というファミコン言葉もあり、こちらもやはり誤った使い方です。お客様の名前や連絡先などを控えておきたいときには、「お名前(お電話番号)をお教えいただいてもよろしいでしょうか」というように正しく敬語表現を用いて言い換えると良いでしょう。
⑥~かたちになります
「伝票をご記入後にお持ちいただくかたちになります」といったファミコン言葉を耳にしたことはありませんか。こちらもよく耳にするので、正しい言い方だと認識してしまいがちですが、「かたち」は文の脈絡の上で意味を伴わない不要な言葉です。丁寧な言い方を心がけようと、くっつけてしまうケースが多いようです。柔らかい表現にするために付け足すのであれば、「お手数をおかけいたしますが、伝票をご記入の上お持ちください」のように相手を気遣う表現を足すようにしましょう。
⑦ら抜き言葉
ら抜き言葉とは、「食べられる(食べることができる)」「来られる(来ることができる)」といったような可能表現の動詞を「食べれる」「来れる」というように「ら」を省略したものを指します。「釣れる」「登れる」などのもともと「ら」を必要としない動詞の可能表現に影響されていると言われています。若い世代のバイト店員がよく使う印象ですが、大正末から昭和初期にかけて使われ始めているため、幅広い世代に浸透しています。ですが、いくら浸透しているとはいえ、誤った使い方です。何に「ら」が必要か知っておき、「食べれる」は「食べられる」・「来れる」は「来られる」のように言い換えるように心がけましょう。
⑧は抜き言葉
「は抜き言葉」と聞いても何なのかピンとこないかもしれませんが、例えば「こちら本日のメニューになります」というファミコン言葉を聞いたことはありませんか。「こちら」の後の「は」が抜けた言い方であり、正しく言い換えるには「こちらは本日のメニューでございます」などが良いでしょう。
ファミコン言葉を正しい言葉に直す3つの方法
ファミコン言葉は、丁寧に言っているようで誤った言葉であることがわかりました。より丁寧な接客をという気持ちからファミコン言葉が生まれたと言えますが、正しい敬語を使えないと個人だけでなく店全体の常識を疑われてしまうことにもなりかねません。それでは、どのようにすればファミコン言葉を正しく直すことができるのでしょうか。3つの方法がありますので、みていきましょう。
①自分が使っている言葉を再確認する
まずは、自分が普段使っている接客時の言葉が、ファミコン言葉になってしまっていないかを再度確認してみましょう。ファミコン言葉など誤った言葉を使っているという自覚がなければ、改善する機会も訪れません。よくあるファミコン言葉一覧の中に、よく使っている言葉があれば要チェックです。
ファミコン言葉を意識して接客していても、ついファミコン言葉が出てしまうときがあります。そんなときは、「自分は今ファミコン言葉を使ってしまった」と気付き、より使わないよう意識する流れを繰り返しましょう。そうすれば自ずとファミコン言葉が出る回数が減っていきます。
②正しい敬語を一から見直す
自分がファミコン言葉を使っていることに気付いても、何と言い換えれば良いかを知らなければ直すことは難しくなります。そのためにも、正しい敬語とはどのようなものかを一から見直しておくことが必要です。接客に限らず、敬語の表現には「これが唯一の正解」というものはありません。相手や場面に応じて適切な表現を使い分けるためにも、正しい敬語表現を幅広く知っておくというのは大切なことです。
③スタッフ皆で意識し合う
自分が使っている敬語がファミコン言葉になっていないかどうか、なかなか自分一人では気付きにくいということもありますね。そんなときには、一緒に接客に携わるスタッフ同士で意識し合うと良いでしょう。お互いに協力して、ファミコン言葉を使っているのに気付いたら教えてもらうのです。そうすることで、自分だけでなく他のスタッフのファミコン言葉も直していくことができるので、全体的に接客の質を向上させることにも繋がります。「自分はバイト店員だから」と軽く考えず、協力して直していくようにしましょう。
ファミコン言葉を使ってしまう3つの理由
アルバイト店員などが接客時の敬語にファミコン言葉を使ってしまうのは、何故なのでしょうか。そこには、以下のような3つの理由があります。
①より丁寧な言葉遣いを意識するため
より丁寧な言葉遣いで接客しようと意識し、柔らかい表現を心がけた結果意味のない言葉がくっついたファミコン言葉を使ってしまうという理由が挙げられます。
②周りのスタッフも使っているから
アルバイトの立場であったりすると特に、先輩スタッフや正社員スタッフが使っているから、自分もファミコン言葉を使ってしまうというケースもあります。
③基本的な敬語の知識が不足しているから
単純に敬語の知識が不足しているため、正しい敬語であると勘違いしてファミコン言葉を使っているということもあります。何が正しい敬語なのか知らないのが悪いということではなく、知らないのであればこれから知っていけば良いということです。
接客言葉をよりソフトにするクッション言葉6選!
ファミコン言葉を、言葉の印象を柔らかくする目的で使っている場合がある、とご紹介しました。しかしいくらソフトに聞こえても、誤った敬語である以上はファミコン言葉の使用は望ましくありません。こちらでは接客言葉を柔らかくするクッション言葉6選をご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
①お手数をおかけいたしますが
お客様に何らかの作業をお願いする場合に使えるクッション言葉です。「こちらの内容でお間違いないか、ご確認をお願いします」を「お手数をおかけいたしますが、こちらの内容でお間違いないか、ご確認をお願いします」と言い換えることができます。
②恐れ入りますが
お客様に対し、何らかの手間や面倒をかけてしまう場合に使います。例えば、「恐れ入りますが、お荷物はこちらの棚にお入れください」といった使い方をします。
③申し訳ございませんが
お客様の要望や行動をお断りする言葉の前に、「申し訳ございませんが」と謝罪する気持ちを示すことによって、お断りする言葉をソフトにすることができます。例えば「大変申し訳ございませんが、只今の時間は全席で喫煙をご遠慮いただいております」のように使います。
④失礼ですが
お客様に対して、例えば「大変失礼ですが、ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか」のように聞きにくいことをお尋ねする場合に使うことができます。
⑤あいにく
お客様の希望される内容に添うことができない場合、例えば「あいにくご希望のカラーの商品が売り切れておりまして、ただいま入荷待ちの状態となっております」のような使い方をします。
⑥よろしければ
お客様に対して、例えば「よろしければ、こちらのパンフレットもお持ちください」のように、断られてしまっても差し支えのない軽いお願いをする場合に使うことができます。
ファミコン言葉を見直して正しい言葉で接客しよう!
ファミコン言葉は、より丁寧な接客を心がけようとする気持ちから使われるようになった敬語です。そのため広く浸透していて、正しい敬語に直すことはすぐには難しいかもしれません。しかし、正しい接客の言葉を身につけることで、お客様により質の高い接客を提供することに繋がります。まずはファミコン言葉を使っていないか見直すことから始めて、正しい接客敬語を身につけましょう。