保険証の種類や色の違いとは?記号や番号でランク付けされてるの?
会社、または個人で健康保険に加入している人は全員がもれなく「保険証」を持っています。しかし、その保険証は全員が同じではなく、実は加入している保険の種類によって色が違います。それでは一体、保険証の色はどのような基準でわかれているのでしょうか。
目次
保険証の色の違いが持つ意味は?
日本国内に住んでいる人の多くが自分の「保険証」を持っていると思います。今手元に保険証が無いという人もぜひこのタイミングで見ていただきたいのですが、保険証にはそれぞれ「色」が付いています。この「色」が人によって違うのをご存知でしたか?
今回はその、意外と知らない「保険証の色」について取り上げていきます。保険証の色が人によって違うのはなぜか、色が決まるのにはどのような基準があるのか、という点などについて解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
保険証の色・種類【協会けんぽ】
これから、人によってそれぞれ違う保険証の「色」と「種類」について保険証の発行先ごとに紹介していきます。最初は、「協会けんぽ」の保険証についてです。協会けんぽとは「全国健康保険協会」の事であり、厚生労働省直属の法人団体です。都道府県ごとの保険料率もこの協会けんぽが決定しています。
企業で働いており健康保険に加入している人であれば誰もが持っているこの保険証ですが、実は保険証によって色がオレンジ・ピンク・緑色と異なります。では、協会けんぽの保険証はどのような基準で色と種類が決まっているのでしょうか。
今日送られてきた任意継続の保険証。国保とどっちにするか迷ったけど協会けんぽを継続することにした。直ちに保険料を払込に。早速全額負担だった薬代を取り返してきたw 別に得しちゃいないんだけど嬉しいw あと3件あるから明日回収いてくる。 pic.twitter.com/fdGUpAP3Lb
— ぶーたん (@petitbootang) May 26, 2016
政府が運営していた頃はオレンジ
今の健康保険の体系となる前、日本国民が加入する平成20年(2008年)までの健康保険は、社会保険庁が運営する「政府掌握健康保険」でした。この制度は1927年に労働者を対象とする保険に関する法律が制定されてから設立されたものです。この時点では、保険証の色は薄いオレンジ色でした。デザイン的には現在の保険証にかなり類似していますが、もちろん記載されている内容は変わっています。では、新しいデザインになってどのように変わったのでしょうか。
民間が運営を開始して青や水色になった
協会けんぽの保険証が変わったのは法律が改正されてからの事です。平成20年を迎えて保険に関する法律が改定されたのと同時に、健康保険の運営先が社会保険庁から、新たに設立された全国健康保険協会に変わりました。ここで、保険証の色が従来のオレンジ色から現在の見慣れた水色(青)に変わったのです。
ちなみにこのデザインは以後2度に渡って変更されており、「事業所所在地」の記載がなくなったり、右側に浮いていた性別の表示場所も変わっています。また、二次元コードも新たに追加されました。
保険証の色・種類【国民健康保険】
次は、国民健康保険の保険証に関する点です。協会けんぽの健康保険と混同されやすいですが、国民健康保険は協会けんぽが運営する健康保険とは異なり、市町村が運営している公的な保険制度です。国民健康保険は特定の企業に所属していない人や、個人事業主などが自主的に加入する事になります。
自営業者や個人事業主であれば誰もが国民健康保険に加入して保持しているこの保険証ですが、市町村が運営する国民健康保険の保険証は、どのような基準で色と種類が決まっているのでしょうか。
自営業者は赤やピンクが多い
自営業者や個人事業主など、国民健康保険に加入している人の場合、国民健康保険証の色は「赤」または「ピンク」になっている事が多いです。人によってはピンク色ではなく薄い紫色に見えるという人もいるでしょう。ピンク色に統一されていないのは、そもそも国民健康保険の運営を行っているのが各市町村だからです。ですから、住んでいる地域によって保険証の色が異なる場合があります。
国民健康保険証の色は協会けんぽが発行している保険証とは異なる場合が多いですが、たとえピンク色に統一されていなくても、その保険証が果たす役割そのものは同じです。国民健康保険証に記載されている内容も同じで、名前や生年月日などの個人情報、特有の番号や有効期限等が記載されています。
地域によってはグレーの場合も
基本的に国民健康保険保険証の色はピンク色ですが、中には国民健康保険に加入しているのにピンク色ではない、という人もいます。それが、保険証が「グレー」である場合です。各市町村で発行している介護保険の保険証がピンク色ではなくグレーの人は、カード型ではありません。
その色が特例というわけではなく、市町村によっては国民健康保険の保険証だけれどピンク色ではなくグレーの人もいるのです。あくまで一般的に「ピンク」が多いというだけで、市町村によって異なる国民健康保険の場合は一概に色だけで保険の種類を判断する事は難しいでしょう。
保険証の色・種類【後期高齢者医療制度】
皆さんは「後期高齢者医療制度」についてどのくらいご存知でしょうか。実はこの後期高齢者医療制度の対象になっている人も、特有の保険証を持っています。後期高齢者医療制度の対象であり保険証を保有しているのは、主に以下の条件に当てはまる方です。
- 75歳以上である
- 障害があり65歳以上である
- 生活保護を受けていない
実際に高齢者を対象とした公的な保険である事がわかります。では、この後期高齢者医療制度の対象者の保険証は、どのような基準で色と種類が決まっているのでしょうか。
自治体によって保険証の色が異なる
後期高齢者医療制度の保険証も国民健康保険と同様、運営を行っているそれぞれの自治体によって保険証の色が異なっており、緑色・水色・薄いオレンジ色・ピンク色の自治体もあります。後期高齢者医療制度の保険証はカード型ではないため健康保険証などと混同する事はあまり考えられませんが、市町村や自治体によって後期高齢者医療制度の保険証の色は緑に統一されているわけではなくそれぞれ異なる、という点を覚えておきましょう。
黄色・紫・緑などが多い
後期高齢者医療制度の保険証で特に多いと感じられる色は緑色ですが、黄色や紫色の場合もあります。単に自治体が違っても黄色・紫・緑で色が被っている事もありますが、結局はそれぞれ色の濃さが異なる場合が多いです。どちらにしても「保険証の色が緑なので〇〇市」というように、色だけでどの自治体の保険証なのかを判断する事は難しいでしょう。
保険証の色・種類【共済組合】
次は、「共済組合」に加入している人の保険証です。共済組合とは基本的に公職に就いている人が加入できる保険制度であり、公務員共済や私立学校教職員共済などの種類があります。この地方共済の加入者も他の保険と同様に保険証が与えられますが、どのような基準で色・種類が決まっているのでしょうか。
国家・地方公務員は黄色が多い
国家公務員や地方公務員を対象とした共済組合加入者が持っている保険証の色はほとんどの場合で「黄色」となっています。共済組合の場合、正確には「保険証」よりも「組合員証」と言う方が正しいですが、機能はほぼ保険証と同様です。表面には他の種類の保険証と同様、氏名や性別、生年月日や保険者番号が記載されています。
保険証の色・種類【船員保険】
その類の職に就いていない人にとっては聞き慣れない保険名かもしれません。「船員保険」とは、その名の通り船舶法という法律に基づいて海域で船を使う人のための保険であり、被保険者である本人やその親族等も保険の対象となります。その点を考えれば他の公的な保険とは分離されていますが、仕組みとしては健康保険とほぼ同じ仕組みとなっています。それでは、船員保険における保険証の色・種類の基準はどのようになっているのでしょうか。
緑の保険証が多い
船員保険の加入者には他の保険制度と同様に「被保険者証」が交付されますが、この被保険者証の色は一般的に薄い「緑色」となっています。色が緑色であっても、様式は他の保険証と同様で、氏名・生年月日・保険者番号等の情報が記載されており、その機能は保険制度における保険証とほとんど変わりません。
保険証の色は変わる事も多い
基本的に保険証そのものは加入していれば変わる事はありませんが、実は保険証の「色」は以下のような要因によって変わる事があります。
- 保険の切り替え(脱退)を行った場合
- 健康保険から後期高齢者医療制度へと切り替わった場合
- 引っ越し等により市町村(自治体)が変わった場合
上記のように、加入している保険の種類自体が変わった場合には、保険証の色も変わる事があります。健康保険に加入していた方が後期高齢者医療制度の対象となった場合は、保険証自体が緑色のものに変わります。すでに紹介したように保険証には様々な色がありますが、実は保険証の色は変わる事が多いため、何かを判断する材料にはならないのです。
そこで重要な判断基準になるのは、保険証に記載されている「記号」「番号」「保険者番号」です。それら3つの数字が何を表しているかという点について、次から説明していきます。
保険証の基礎知識【記号】
保険証には様々な情報が記載されています。そのほとんどが私達の個人情報をすぐに特定できるものですが、中には一見どのような主旨で記載されているのかわからないものがあります。それが、以下の4つです。
- 記号
- 番号
- 保険者番号
- 保険者名称
一見すると「記号」や「番号」の欄にはランダムな数字が記載されているようにも見え、無作為に付けられたようにも思えるこれらの数字にはそれぞれに意味があります。では、これらの「記号」や「番号」の数字にはどのような意味があるのでしょうか。
この保険証の記号の横の番号は何番?私は21のつもりだったのだが、旦那は21700023と勘違いしてしまってた pic.twitter.com/R3CwJ8Mhtk
— しゅん (@Rcpk3xRgqdKuhCB) December 20, 2018
保険証の記号は管轄を示す
まずは、健康保険の保険証であれば真ん中から少し上部あたりに記載されている「記号」についてです。「記号」と記載されていながらなぜか「数字」が記載されていますが、これは「事業所整理番号」と呼ばれるもので、加入先の事業所(管轄)を数字で表したものです。
この「記号」は、その保険証が協会けんぽの保険か、国民健康保険かどうかによっても変わってきます。この「記号」によって、加入している保険の運営先を判別する事が可能です。
保険証の基礎知識【番号】
次は、「記号」の右、保険証では右上に記載されている「番号」という項目です。この番号には、どのような意味があるのでしょうか。
保険証の番号は整理番号を示す
この番号は「被保険者整理番号」と言って、世帯ごとに割り当てられている番号です。家庭ごとに割り振られているIDのようなものと言えばわかりやすいかもしれません。この番号は、同一世帯内であれば重複しています。扶養内である配偶者や子どもも、同じ番号になるわけです。
1番は社長の場合が多い
この「被保険者整理番号」は基本的に「1」からはじまりますが、会社全体で社員にそれぞれ整理番号が割り振られる場合は、高い役職の人ほど若い番号になりやすいです。この番号を見ただけで会社内で高い役職(ランク)に位置する人であろうと推測する事が可能です。
保険証の基礎知識【保険者番号】
保険者番号は保険証の区別を示す
次は、「記号」や「番号」とは異なり左下部に記載されている「保険者番号」に関する点です。保険証の種類によって6桁または8桁で記載されているこの番号ですが、この番号にはどのような意味があるのでしょうか。
保険者番号は保険証の区別を示すもので、保険証に記載されているこの番号は桁数ごとに異なる数字を表しています。
最初の2桁:法別番号
次の2桁:都道府県番号
次の3桁:保険者別番号
次の1桁:検証番号
保険者番号はこれら計8桁となる数字を組み合わせたものですが、「国民健康保険」の場合は8桁ではなく、最初の2桁「法別番号」を除いた6桁の番号となっています。
保険者番号の法別番号でランクがわかる
実は、保険者番号を見れば職種のランクもわかります。なぜランクがわかるのかと言うと、社会保険の保険証に記載されている最初の2桁の「法別番号」は、保険の種類(管轄)を表しています。ですから、番号の意味を理解している人が見れば、この番号から所属している組織やそのランクがわかります。
そのランクを見分ける基準となるのが、次に挙げる法別番号において番号ごとに表されている保険の種類です。これを知っていれば保険者番号を見てどのランクの職種に就いている人かを判断する事が可能です。
- 01:全国健康保険協会管掌健康保険
- 02:船員保険
- 03:日雇特例被保険者の保険(一般療養)
- 04:日雇特例被保険者の保険(特別療養費)
- 06:組合管掌健康保険
- 07:防衛省職員給与法による自衛官等の療養の給付
- 31:国家公務員共済組合
- 32:地方公務員共済組合
- 33:警察共済組合
- 34:公立学校共済組合(日本私立学校振興・共済事業団)
- 39:高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付
- 63:特定健康保険組合
ランクの見分け方としては、例えば保険者番号の最初の2桁が「31」である人は国家公務員であると推測できますし、「32」である人は地方公務員であると推測できます。このように、保険者番号は保険加入者の勤務先のランクを表したものであると言っても過言ではありません。
医療関係の人なら知ってるかもしれないけど
— トマト (@tomatombo) November 4, 2016
保険証で大体その人がどんな人なのかがわかるんだけど
番号が1だったら社長
一桁だったら社長家族か重役
保険者番号の最初の二桁が01だったら中小企業
06だったら大手企業
(ちなみに33は警察31、32は国家、地方公務員、34は学校関係者) pic.twitter.com/j9xYn9JulC
保険者番号の都道府県番号とは
ランクの見分け方の他にもう一つ注目したい点が、「都道府県番号」です。北海道「01」からはじまり、沖縄「47」までの数字があります。保険者番号と同様、都道府県番号によって加入者が住んでいる地域を推測する事ができます。
都道府県番号一覧 (厚生労働省ページから) pic.twitter.com/3QnxdkITVF
— な~ (@09na_26) March 18, 2019
保険証は色よりも番号や保険者番号に注目して
今回は、保険証の色がどのような種類や基準で決まっているか、という点について解説しました。普通に生活しているとあまり他人の保険証を見る機会はありませんが、水色と緑色などの色ごとに保険の種類が異なる事や、一見ランダムに思える数字の中にも保険の種類や職種・ランクなど、様々な情報が盛り込まれています。
どちらかというと普段は財布等にしまっておく事の多い保険証ですが、注目してみると色によって様々な違いがある事がわかります。みなさんも、今一度ご自分の保険証を確認してみてはいかがでしょうか。