授乳中に風邪薬を飲んでも大丈夫?安全な薬の選び方を徹底解説!
授乳中に風邪をひいてしまって風邪薬を飲んで早く治したいけど、薬って飲めるのか心配ですよね。授乳中だと自分だけでなく赤ちゃんにも風邪薬の影響が出てしまうのではないかと思ってしまいがちです。授乳中でも安全に飲める薬はありますので安心してくださいね。
目次
授乳中に風邪をひいたらどうする?
授乳中に風邪をひいてしまった。子供がいるとママは風邪だからといって、なかなかゆっくり休む時間がありません。風邪薬を飲めばすぐに治る?でも授乳中となると、母乳から子供に風邪薬の成分が出てしまうのでは?と心配になります。
授乳中は風邪をひきやすい?
授乳中は睡眠不足や育児のストレス等で疲れがちなママ。出産前と比べて風邪をひきやすくなったなぁと感じるのは、こういった疲れから免疫力が落ちているせいだと考えられます。風邪をひいてる場合じゃないのに…。ママは誰にも代わりがいません。一刻も早く治したいですね。
まずは病院へ
病院に行こうと思ってもどの科を受診すればいいのでしょう。内科にいけばいいのでは?と思いがちですが、授乳中のママは出産等でお世話になった産婦人科で診てもらうことをお勧めします。自分で風邪だと思い込んでいても、実は違う病気が潜んでいるケースも考えられるからです。
授乳中に熱が出た場合、乳腺炎の可能性があります。こういった場合の発熱は内科だとわからないことがあります。
母乳からうつる?風邪のときの授乳
母乳から風邪がうつることはありません。むしろ、ウイルスに対する免疫物質が母乳には含まれているので、授乳することで免疫があがるといわれています。授乳できないほどの辛さの場合、無理は禁物ですが沿い乳をしてあげる等の工夫してみましょう。また、搾乳をしてパパや家族にお願いしてもいいでしょう。授乳を続けないと風邪以外におっぱいトラブルで悩まされることになる可能性があります。また授乳を中断してしまうと、母乳の出が悪くなってしまうので気をつけましょう。
母乳から赤ちゃんに風邪がうつることはありませんが、ママの咳や鼻水の風邪の症状で飛沫感染することは十分に考えられます。授乳するときだけでなくマスクを着用しましょう。また授乳の際は手洗いを忘れないようにしてくださいね。赤ちゃんがマスクを気にしてとってしまっても、咳をするときは水で湿らせたハンカチやタオルを口に当ててウイルスが飛散しないように気を付けましょう。
授乳中に薬は飲んでも大丈夫?
つらい鼻水や咳は風邪薬を飲んで早く治してしまいたい!でも赤ちゃんにも風邪薬の成分が母乳を通じて体内に入ってしまわないか心配ですよね。
日本では赤ちゃんへの影響を心配して、薬を服用すると簡単に授乳をやめてしまう傾向があります。一度授乳をやめてしまうとホルモン変化などで再開することが難しいので、風邪薬を飲むからと言って母乳を諦めなくても大丈夫です。
赤ちゃんへの影響は?
母乳から赤ちゃんへ移行する風邪薬はごく微量だといわれています。具体的にはママが飲んだ風邪薬が母乳に分泌される量は飲んだ薬の量の1%未満です。風邪薬のみならず、一般的なお薬のほとんどが授乳中でも服用できます。
つらくて育児が大変であれば風邪薬を飲んで早く治した方がいいでしょう。鼻水や咳、熱などの症状によって効く薬は異なるので、病院で処方してもらうことをお勧めします。前述したように産婦人科で診察し風邪薬を処方してもらう他に、かかりつけの小児科で赤ちゃんと一緒に診てもらう治し方もあります。
授乳中に風邪薬を飲んでも母乳にはほとんど影響がないとはいえ、月齢の低い赤ちゃんは出来れば服用を避けた方がいいでしょう。なぜなら、生後3ヵ月頃までの赤ちゃんは肝臓や腎臓の機能がまだ不十分なので風邪薬の副作用が出る危険性があります。
赤ちゃんの月齢が上がると、授乳中にママが風邪薬を処方することに大きな心配はありません。生後5~6ヵ月になると離乳食もはじまり、赤ちゃんが飲む母乳の量が少なくなってくるためです。
病院などで風邪薬を処方してもらう場合は赤ちゃんの月齢を伝えることも大切です。
病院に行けない!市販薬は飲んでも良い?
病院までの距離が遠かったり、病院にこどもを連れて行くのはちょっと…というママは市販薬を頼ってみる治し方もあります。市販薬の説明書には「授乳中の服用は避けること」という記載をよく目にします。しかし実際には市販薬は病院で処方される薬より成分が弱いので、心配しなくても大丈夫です。
ただし、眠気を催す薬は赤ちゃんにも眠気が出てしまうかもしれませんので注意が必要です。
風邪はウイルス性の病気なので、市販薬には抗生物質が含まれていないため市販薬では風邪の症状を一時的に緩和するだけで、風邪そのものを治す薬ではありません。それでも市販薬を購入する際は薬剤師に相談してみましょう。赤ちゃんの月齢を伝えることも忘れずに。
市販薬を選ぶポイント
市販薬にはカフェインが含まれていることがあります。ママがカフェインを含んだ風邪薬を飲んだことによって、赤ちゃんが母乳を通じてカフェインを摂取してしまう可能性があります。
赤ちゃんはカフェインへの感受性が高いので、摂取した量によっては興奮して眠らなくなったりすることがあるので注意しましょう。
そのほか、カフェイン以外にも母乳を通して赤ちゃんに移行する成分はいくつかあります。これらの成分を含む市販薬はできれば避けた方がいいかと思います。
ここからはそれらのできれば避けたい成分を含まない市販の風邪薬を症状別に紹介していきます。
咳がつらい風邪
〈市販薬〉
・パブロン50(大正製薬)のどの痛み・咳などの風邪の諸症状
・コンタックせき止めSD(グラクソスミスクライン)咳、痰の症状
〈漢方薬〉
・麦門冬湯(ばくもんどうとう)ゴホゴホするような、乾燥でおこる咳や喉の痛み
・五虎湯(ごことう)咳に効果がありますが、熱、鼻水には効きません。痰を出しやすくしてくれます。
鼻水がつらい風邪
鼻水は菌やウイルスを外に出そうとする症状なので、少しの鼻水ならば薬を飲まずに出してしまいましょう。それでもつらい鼻水やそれ以外の風邪症状が出てきたときにはお薬を。
〈市販薬〉
・パイロンS(シオノギ製薬)鼻炎によるくしゃみ、鼻水、鼻づまりの緩和
・ストナリニS(サトウ製薬)くしゃみ、鼻水、鼻づまりの緩和
〈漢方薬〉
・白青竜湯(しょうせいりゅうとう)白い鼻水や白い痰がでるとき
熱がつらい風邪
〈市販薬〉
・新エスタックW(エスエス製薬)発熱、頭痛、悪寒などの風邪の諸症状
〈漢方薬〉
・葛根湯(かっこんとう)風邪の初期の発熱、頭痛、悪寒
・麻黄湯(まおとう)風邪の初期の発熱、頭痛、悪寒、からだが重い
西洋のお薬に対して漢方薬は安全だというイメージがあります。しかし漢方薬によっては食欲不振等の体調不良を引き起こすこともあるので注意が必要です。
風邪のひき始めには葛根湯が有効です。身体を温めて発汗作用を促し、乳腺炎にも効果があります。葛根湯は授乳中でも飲める薬として有名ですが、風邪のひき始めにしか効果を発揮しません。漢方薬の中でも比較的おだやかに効果が出てくるので服用しやすいお薬です。
服用は授乳直後に
授乳中に風邪薬を飲んでもいいとはいっても、風邪薬が母乳に影響を与える時間はどのくらいなのでしょう。
一般的に薬は服用すると約30分で血中濃度が上昇し、約3時間で低下します。ということは、薬の血中濃度が高くなるのは服用して約30分後なので、このタイミングでの授乳は控えるようにします。授乳をしてすぐに風邪薬を服用して、次の授乳までの時間をできるだけ空けましょう。また次の授乳をする前には搾乳をすることをおすすめします。
心配な時はミルクを活用しよう
ママが風邪薬を服用して授乳するのがやはり心配だというママは、一旦ミルクに切り替えてもよいでしょう。母乳を一旦ミルクにして、夫や祖父母に協力してもらいましょう。育児もちょっと一休みしないと、ママの回復も遅れてしまいますし、何より長期化すると家族にうつってしまう危険があります。協力してくれる人がいるのなら、休ませてもらうと早期回復につながります。家族に協力してもらえるのなら、病院にも行きやすいかもしれませんね。
また、薬を飲んで一旦授乳をやめるとしても、搾乳はするようにしましょう。授乳をやめてしまうと、ホルモンバランスの変化で母乳が出なくなってしまうことがあります。風邪が直ったら授乳を再開しようと思っていても、今まで通りには出なくなってしまったり、急に母乳を飲ませなくなることで乳腺炎になってしまう危険性もあります。
専門家に相談を
授乳中は薬を服用することで赤ちゃんへの影響が心配な特別な時期です。病院でお薬を処方してもらうにしても、市販薬を飲むにしても薬剤師に相談することをお勧めします。相談する際は自分の風邪の症状はもちろん、赤ちゃんの月齢も伝えてくださいね。
これまでにご紹介したお薬は授乳中でも比較的安全に飲める風邪薬です。ご自分でも市販薬の説明書をよんで確認してください。また、一週間以上の長期で薬を服用するのは、副作用が出やすくなるので薬の使用は短期にとどめましょう。長引くようであれば、病院で診てもらうことをお勧めします。
薬に頼らず治したい!早く治すためのポイント4つ
授乳中のママが薬を飲んでもほとんど母乳には影響しないとはいえ、やっぱり薬を飲まずに治せるものなら直したいというのが本音だと思います。どのような治し方が有効なのでしょう。
まずは水分補給
授乳中はママの水分が奪われます。いつも以上に意識して水分補給をするようにしましょう。飲むものとしては、スポーツドリンクや経口補水液等がお勧めです。常温で飲むと身体に負担がかかりません。熱があるときは脱水症状に気を付けましょう。
しっかりと栄養をとろう
食欲がなくてもしっかりと栄養をとるよう努めましょう。母乳の出が悪くなったり、ママの風邪も治りにくくなってしまいます。冷たい食べ物よりはできるだけ常温か温かいものを食べて、身体を冷やさないようにしましょう。熱があって何も食べたくないときは、消化のいいおかゆがおすすめです。温かいおかゆに生姜やねぎをいれて食べると身体を温め、風邪の症状を和らげてくれます。また、滋養効果の高いにんにくや根菜類のスープもいいでしょう。消化の悪いものや刺激の強いものは胃腸に負担がかかるので控えましょう。早食いはせず、ゆっくり食べるようにしてください。
つらい咳にははちみつが効果的です。はちみつには抗菌作用のある酵素や咳止めに効くポリフェノールがいっぱい含まれています。そのまま舐めてもいいですが、はちみつと生姜をお湯でわって飲んだり、大根をはちみつに漬け込んだはちみつ大根もおすすめです。生姜には身体を温める作用があり、大根には喉の炎症を抑える効能があります。また、パイナップルにも大根と同様に喉の炎症を抑える酵素やビタミンも豊富なので、咳の症状があるときは効果的です。
熱があるときは、皮ごとりんごの擦りおろしがおすすめです。熱で水分が奪われるため、水分補給としても効果があります。りんごはポリフェノールが豊富で免疫力を高める効果もあります。栄養面ではりんごは生姜、はちみつとも相性がいいとされています。
身体を温めよう
風邪のときはとにかく身体を冷やさないことが大切です。汗をかいたらすぐに着替えるようにしましょう。
また熱がなければ、お風呂に入って身体を温めることも効果的です。ただ、入浴は思ったより体力を消耗するので長湯は避けましょう。足湯も風邪の治し方として有効です。ゆったりリラックスした気持ちが早く風邪を治す秘訣です。
ゆっくりと休養を
赤ちゃんがいるとゆっくり休養をとることが難しいかもしれません。それでもゆっくりしていないと風邪も治りません。
やらなくてはいけない家事は最小限に留めて、赤ちゃんのお世話に専念しましょう。搾乳をして温めた母乳をパパやおばあちゃん等にお願いできたら助かりますね。家族の協力を得て、少しでもゆっくり過ごして早く風邪を治しましょう。
予防も大切!風邪をひかないためにできること
授乳中は赤ちゃんにお世話が大変です。ママは睡眠不足や育児のストレスや疲れから身体が弱って風邪をひきやすくなっています。風邪をひく前に予防することが大切です。
外出するときはマスクを着用し、帰宅したら手洗いうがいをしっかりと。部屋の空気が乾燥しないように湿度は50~60%を保ちましょう。換気もして部屋の中の空気をいつもきれいな状態を心がけましょう。
毎日バランスのとれた栄養のある食事をとること、規則正しい生活を送ることも風邪の予防につながります。
疲れたときは無理をせず、ゆっくり過ごすといいでしょう。お昼寝ができなくても、赤ちゃんと一緒に横になるだけでもだいぶ疲れはとれます。
授乳中も元気なママでいよう
ママが体調が悪いと子育ても大変です。また風邪が長期化すると赤ちゃんや家族にもうつってしまうリスクが上がります。風邪をひく前に予防することが一番大切ですが、ひいてしまったら病院へ行って早く風邪を治しましょう。ママが元気でいると家族も安心していられますよ。
授乳中は赤ちゃんのお世話で忙しいまま。疲れたときは無理をせずゆっくり身体を休めてくださいね。
出典元はこちら
1. 妊娠と薬情報センター
2. 富士薬品 おくすりのよくあるご質問
3. 「最強母乳外来 あらゆる悩みにお答えします!」SOLANIN(ソラニン)
4. 「桶谷式 母乳で育てる本」桶谷式乳房管理法研鑽会編 主婦の友社