宇宙の始まりは?誕生前には何があった?ビッグバン宇宙論の謎と宇宙の歴史

宇宙誕生。その始まりはビッグバンだったという説が有名ですが今でも多くの謎に包まれています。最近の研究ではビッグバンよりも前に何かがあったといわれています。誕生や始まりはいつだったのでしょうか。謎の多い宇宙の誕生とビッグバンの前にあったものについて見ていきます。

宇宙の始まりは?誕生前には何があった?ビッグバン宇宙論の謎と宇宙の歴史のイメージ

目次

  1. 1宇宙誕生の謎、始まりの前には何があった?
  2. 2ビッグバン宇宙論の歴史と宇宙の誕生の謎
  3. 3宇宙の誕生!始まりはビッグバンではなかった?
  4. 4ビッグバンの始まりより「前」があった?
  5. 5ビッグバンの前にあったものの謎
  6. 6宇宙の終わりの謎
  7. 7宇宙誕生とその前にあったものは今も謎に包まれている

宇宙誕生の謎、始まりの前には何があった?

出典: http://www.gcoe-earths.org


宇宙はいつ、どのようにして誕生したのでしょうか。
宇宙の始まりはビッグバンだと習った方が多いのではないかと思います。
しかし、最新の研究や重力波の観測によりビッグバンよりも以前に始まりのきっかけがあったことが分かっています。
今回は宇宙誕生以前に何があったのか、それぞれの説を比較しながら謎を見ていきたいと思います。

ビッグバン宇宙論の歴史と宇宙の誕生の謎

出典: http://www.gcoe-earths.org


ビッグバン宇宙論とは、ビッグバンを宇宙の始まりと位置付け、そこから宇宙の起源や歴史、今後の予測を研究していくための理論のことです。
私たちの住む銀河以外にも銀河が存在することや赤方偏移を発見したアメリカのエドウィン・ハッブルも、かの有名な相対性理論を生み出したアルベルト・アインシュタインも宇宙は常に存在していると考えていたため、宇宙に始まりがあったという説に否定的でした。
しかし、1927年にベルギーの天文学者ジョルジュ・ルメートルが彼らの築き上げた理論を用いて計算した結果、宇宙の始まりには原始的原子の爆発のようなものがあったと結論付けられました。

出典: https://ja.wikipedia.org


ジョルジュ・ルメートル
その後、ロシアの研究者であったジョージ・ガモフによってルメートルの説が強化され、宇宙の始まりには核反応による火の玉の爆発があったとするビッグバン宇宙論の基礎を築きました。しかし、まだこの段階ではビッグバンの存在にたしかな根拠はなく、他の研究者たちには否定的な考えが根強くありました。
ビッグバンによる宇宙誕生説を否定し常に宇宙は存在していると考えていたイギリスの天文学者フレッド・ホイルも、研究の末に現存する原子の起源を説明するには宇宙には始まりがあったと考えるようになりました。
1964年になって宇宙マイクロ波背景放射の観測、研究が進むとビッグバンが宇宙の始まりにあったという説が裏付けられ、定常宇宙論は否定されるようになりました。

ビッグバン宇宙論における宇宙の始まり

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ビッグバンが起こる以前の宇宙空間には高密度のエネルギーが温度、圧力とともに一定の状態で存在していたとされています。ある時、何らかの理由で宇宙は膨張し温度が下がり始めます。その後、水が気体になったり固体になったりするように、宇宙空間にあったエネルギーも姿を変えます。この現象を相転移と呼びます。
相転移が起こった結果、宇宙は急速に膨張します。株価の急な高騰をインフレーションといいますが、もともとインフレーションはビッグバン宇宙論の中の宇宙の急速な膨張のことを指す言葉です。

出典: http://www.nikkei-science.com


宇宙のインフレーション

宇宙はいつ誕生したのか


それでは、宇宙の歴史はいつ始まったのでしょうか。


私たちのいる宇宙は約138億年前にできたとされています。
諸説ありますが、宇宙の膨張速度の測定や、宇宙マイクロ波背景放射の観測、などから導き出された数字です。
宇宙は複数存在しているという説もあり、私たちのいる宇宙が若いのかどうかは分かりませんが、宇宙から見た人間の寿命は一瞬であると私たちは否定できません。

誕生から現在までの歴史


ここまではビッグバン以前のお話でした。ビッグバンが起きてから、宇宙はどのようにして現在の姿になったのでしょうか。

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ビッグバンの後、プランク時代と呼ばれる約10-43秒という人間に感知できないくらいの一瞬の時代があり、その時の重力は宇宙全体で等しかったといわれています。
プランク時間はこれまで研究者が定義してきた時間の中では最小であるため、プランク時代、人間の考える時間の始まりの瞬間ともいえます。
その後、宇宙は冷却され続け、今日私たちが知っている原子や重力などの力の基礎となる物質が構成されていきました。宇宙誕生から30万年後には水素原子などの原子が形成されていたと考えられています。

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この時に放出された物質の名残を検知するのがマイクロ波背景放射の測定です。
宇宙の歴史は、研究や観測によって毎年のように修正され続けています。詳細な歴史についてはまだ未解明なことが多いため、今日でも正確な数字や実際にどのような順序で膨張が進んだのか研究者の間で論争があります。

宇宙の誕生!始まりはビッグバンではなかった?

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これまではビッグバンが宇宙の起源とする説が有力でした。
しかし、量子の観測、研究の発展によってビッグバン宇宙論では未解決だった疑問点が解消されていきました。その過程でビッグバン以前の宇宙がどのような状態だったのか明らかになってきました。
また、アインシュタインが100年前にその存在を予言し、2014年に初めて観測に成功、2016年には直接検知された重力波によって、宇宙論は大きく発展していきました。

ビッグバン宇宙論と量子宇宙論


ビッグバン以前の宇宙のお話の前に、量子宇宙論について触れたいと思います。
量子宇宙論では、古典物理学における宇宙論のアプローチ方法とは異なり、現実的に起きている事象をもとに理論を構築し、それから根拠を探していきます。

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量子とは学問分野によって定義が違いますが、量子物理学では一般的に「波のように揺らぐ性質を持った素粒子」のことを指します。量子は粒でありながら波でもあるという特殊な性質です。古典物理学がアインシュタイン1人でほとんど完成させているのに対して、量子物理学は長年、世界各国の研究者が観測したデータをもとに積み重ねられてきた理論であるため、量子そのものの振舞いや現実的な観測はここ数年で徐々に解明されてきました。存在は認められているものの、物理学的な根拠は少なく、今後も新たな発見が続くと予想されます。

重力波と再び謎に包まれた宇宙の誕生

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2016年2月に世界で初めて直接観測された重力波は世界中の科学者に衝撃を与えました。重力波は以前から存在しているはずだといわれていましたが、理論的な根拠はあるものの、観測できずにいたからです。重力波の観測はアインシュタインの時代から今日までの物理学の根拠を裏付けると同時に、宇宙の起源、歴史、終わりまでの予測をより詳しいものにすると考えられています。

ビッグバンの始まりより「前」があった?

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量子宇宙論の発展と重力波の観測によって、ビッグバン以前の宇宙の状態が徐々に解明されてきました。

ビッグバンの前にあったものの謎

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今でもビッグバンが起こったことそのものを否定する説はあまりありません。古典物理学から続く現代の物理学もビッグバンの科学的根拠はあるとしています。
しかし、ビッグバンが宇宙の始まりだったとするビッグバン宇宙論にはいくつか疑問点や矛盾がありました。その中にあったのがビッグバン以前に何かがあったのではないか、という説でした。

ビッグバンよりも前に宇宙の始まりがあった


ビッグバンが宇宙の始まりだったとすると、その熱量から形作られる現在の宇宙はこれほど大きくならなかったのではないか、という説が以前からありました。ビッグバンはたしかに宇宙を誕生させるような力を持っていると考えられていますが、その力だけでは説明がつかないほど、現在の宇宙にあるエネルギーは多すぎるのです。
そこで考え出されたのが、ビッグバン以前の宇宙です。

出典: http://awarness2016.blogspot.jp


現在では、ビッグバンの以前に量子の揺らぎが広がる空間があったとする説が有力的です。始まりの前には「無」があったのではないか、と疑問に思われる方も多いと思いますが、全くのゼロから宇宙が始まったとは考えにくいですし、量子の揺らぎは「無」という状態を持ちません。量子力学は思考実験の段階の理論が多いため、根拠の乏しい様々な説があり、否定的な見方もできますが、量子の揺らぎがあり、量子が偶然的にエネルギーの高い方向へ揺らいだ結果、ビッグバンが起こったとされています。

宇宙の終わりの謎


ここまで宇宙の起源について見てきましたが、それでは宇宙に終わりというものはあるのでしょうか。もしも終わるとしたらそれはいつになるのでしょうか。

始まりがあれば終わりもある?


始まりがあるなら終わりもあるのが私たち世界の原則です。
しかし宇宙の終わりに関しては無限と有限で説が分かれていて、宇宙の起源と同様に現在も研究者の間で議論が続いています。
ビッグバン宇宙論では宇宙の今後の動きと収束、終わりについていくつかの予測がされています。

終わりの前には何が起きる?


ビッグバン宇宙論における宇宙の終わりには2つの説があります。 
宇宙は現在も膨張を続けています。そして、いずれ最大の大きさに達し収束して膨張する前の熱い状態に戻るか、膨張を続けて密度が下がり、星が形成されなくなるそうです。これらを宇宙の熱死、低音死と呼びます。

終わりはいつ来る?


もし、ビッグバン宇宙論でいわれるような終わりがあるのだとしたら、それはいつ頃になるのでしょうか。
現在観測されている膨張からは宇宙はまだ膨張を続け、今私たちの見えている宇宙はどんどん遠ざかっていき最終的には見えなくなるとされています。
膨張がいつ終わるのか、そもそも終わりがあるのかは、現在の技術では解明できないことのひとつのようです。

出典: http://blog.goo.ne.jp

終わるときの謎


現在生きている私たちはもちろん、地球でさえ、宇宙が終わりを迎えるまでには消滅することが想像できます。実際に宇宙がどのように終わりを迎えるのかは、将来理論的な根拠が得られる可能性はあるとしても、他の宇宙の観測に成功するまで完全に解明することはできません。

宇宙誕生とその前にあったものは今も謎に包まれている

出典: http://gigazine.net


重力波の観測もそうですが宇宙に関してはここ数年の間に歴史的な発見が相次いでいます。その度に新しい説が生まれ、研究者はこれまでの理論を修正したり定説だった意見を否定したりしてきました。
中学高校で教わる宇宙は毎年のように進化しています。私たちが学んだ宇宙の起源や歴史、謎などは今ではどう学ばれているのでしょうか。起源も終わりも曖昧な中、今後も新しい発見や謎の研究があると思うとわくわくする分野です。

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