2021年07月21日公開
2021年07月21日更新
TPP問題とはなに?メリット・デメリットや日本への影響をわかりやすく!
TPPはニュースでも頻繁に取り上げられる問題ですが、そのメリットやデメリットが一体どのようなものがあるか、いまいちピンときませんよね。TPPは生活に影響を与えます。TPPのメリットやデメリットをわかりやすく解説しますので、TPP問題にしっかり備えましょう。
目次
TPPのメリットとデメリットを知ろう
出典: http://www.kantei.go.jp
TPPという言葉がニュースで取り上げられ、各国の首脳レベルが集まって会合を開いています。なにやら貿易と関係があるらしいということはくらいはわかるけど、実際のところほとんどわからないという方も多いのではないでしょうか。
各国の合意が得られず、また国内でも反対派が数多く存在するため、国内でも合意を得られていない状況のTPP。これだけ難航しているのに推し進めるのにはメリットがそれだけあるからです。また、反対を唱える人の多さだけデメリットも存在します。
様々な業種に影響をもたらすTPP。あなたの生活にも関係があることですので、メリット・デメリットを含め、TPPが抱える問題点をわかりやすく解説していきます。
TPPとは
出典: http://www.iransecularsociety.com
TPPは、「環太平洋経済連携協定」を英語にして略したものになります。TPPと聞いただけでは、イメージがわきませんが、漢字にすると少しTPPのイメージがわきやすいですね。「環」という字は、わかりやすくいうと、「輪」という意味だと思ってください。「環太平洋」というのは、太平洋をぐるっと囲んでいるという国々のことを示しています。
その後の漢字については、大体意味はわかると思いますので詳しい説明をはぶきますが、TPPはt「環太平洋経済連携協定」というのは、太平洋を取り囲んでいる国々で経済活動の面で強力していくために手を結びましょうということなんです。
わかりやすい具体的な例では、EUを連想するとわかりやすいと思います。ヨーロッパの国々はEUという大きな団体を作っていて、EUに所属している国々の間では、ユーロという共通のお金を使うなど、国々が協力しあって大きな経済圏を作っています。
いわば、TPPは国境を越えた大きな一つの国ができあがるようなイメージになります。この点だけ見ると、特に大きな問題はなさそうです。ですが、TPPには各国のメリット・デメリットがありますので、自国のメリットを主張すれば、他国からの反対を受けるため、なかなか協議に進展がみられず大きな問題を抱えた状態です。その問題点を詳しくみていきましょう。
TPP問題
TPPに参加する目的の目玉とも言える内容の1つに「関税の撤廃」というものがあります。関税というのは、貿易をする際に掛かる税金のことです。他の国に対して、何かを売ろうとすると税金がかかってしまうのです。関税の目的は自国の産業に大きなダメージを与えないように設定されているものです。税金がなくなることは、メリットであり問題がないように思えますが、各国同士がお互いに反対しあっています。この関税が抱える問題点をわかりやすく解説していきます。
TPPのメリットである関税撤廃が抱える問題
出典: https://sockseed.com
例えば、コメを日本に輸出すると、関税が777%もかかってしまいます。実質、外国のコメがどれだけ安かろうと日本で作られているコメよりも高くなってしまいますので、日本には外国さんのコメが輸出されません。このように、関税は自国の産業を守るという目的があります。
この例からわかるように、関税を撤廃してしまうと自国の商品よりも、安い外国の商品がどんどん輸入されるようになり、国内の産業がなりたたなくなってしまいます。これが、TPPが抱える問題点となっています。
メリット・デメリットを主張しあうことが問題点
出典: http://diaoyutai.tw
TPPで完全に関税が撤廃されると、自国の産業はダメになってしまいますので、自国の産業を守るという目的のために関税は撤廃したくないという意見と、自国の商品をどんどん輸出する目的のために、相手国の関税を撤廃させたいという反対意見が真っ向からぶつかって合意が得られないという問題が生じているわけです。
わかりやすく日本を例にあげると、コメの関税を撤廃してしまうと、日本のコメ農家は大きな打撃を受けてしまうという理由でコメの関税は撤廃したくないと主張しながら、車は輸出したいという理由から車の関税は撤廃して欲しいと主張します。
それに対して、TPPに当初参加する予定だったアメリカは、コメを日本に輸出したいという理由でコメの関税を撤廃して欲しいと主張し、日本車が大量に輸入されるのは困るから車の関税は撤廃したくないと主張します。
こうして、アメリカは車の関税撤廃に反対し、日本はコメの関税撤廃に反対するため問題がなかなか解決しません。
TPP問題の解決の糸口は見えていない
このように、お互いが自国の利益を目的としているので合意が得られないため、協議がなかなか進行せずルールが決まらないことが理由となっています。問題点を解決する糸口は見えておらず、問題が完全に解決されて、関税が完全に撤廃されるのはまだまだ先のことになります。
アメリカ離脱問題がTPPにもたらすデメリット
出典: http://edition.cnn.com
トランプ大統領が就任したことをきっかけに、TPPのアメリカ離脱が確定しました。トランプ大統領は就任の選挙の時点で、TPPには反対派でしたので当然の結果です。アメリカ離脱がTPPにもたらす影響は大きく、TPPはアメリカ離脱により実現不可能となりました。TPPの協議で決まったことが効果を発動するのには、ルール上はアメリカが合意してくれなければならないという問題点があるからです。
アメリカ離脱といっても、TPPからのアメリカ離脱ではなく、TPPのルール作り協議からのアメリカ離脱ですのでアメリカがTPPの協議に参加し合意してくれないと、いくら話し合いを続けて各国が問題解決にいたっても無意味になってしまいます。
アメリカ離脱問題が日本に与えるデメリット
就任前からTPP参加に反対していたことので、TPPからのアメリカ離脱が決定する以前から、その動きを予見していたTPP参加国は、アメリカ抜きでのTPP協定を結ぶ相談をしていました。そのため、アメリカ抜きでのTPPは実際には行えることになります。アメリカのTPP不参加は、日本にとってはどのうような影響が出るかというと、アメリカが参加しないことによって、主導権を握ることができるのか?で変わってきます。
アメリカが離脱を決めた理由は、「強いアメリカ」を作るという目的のためですので、アメリカ相手に有利な貿易を日本がするのは難しくなりました。そうなってくると、TPPで新たに作られる経済圏で、主導権を握っておかなければ、日本の輸出産業に打撃となると考えられています。
ですが、日本が主導権を握ることに反対してくる中国の妨害が問題となり、なかなか難しいのが現状となっています。アメリカ離脱問題は日本にはデメリットであると言えます。
労働力の移動
出典: http://www.gov-online.go.jp
TPPの目的は、関税の撤廃だけではありません。TPPがその効力を発動すると、他国への入国がいまよりもはるかに簡単になります。EUでは、加盟国間では自由に国家間を移動できますし仕事も行えます。EUのように国家間をビザなしで移動できるようにすることも、TPPの目的のひとつです。
これが実現すれば、労働力が他国から入ってきますので、人手不足の解消が期待できる産業もありますが、逆にライバルの多い産業では、競争が激しくなるともいえます。この点においても、メリットもデメリットも存在していますので、TPP合意の障害となる問題点と言えます。
知的財産権の問題
出典: http://www.ippjp.com
TPPに加盟することによって、知的財産権に関する内容が大幅に変わってしまいます。日本では、著作権をは、著者・作者の死後50年となっていますが、TPPに参加することでこれが70年に引き伸ばされます。
さらに、著作権侵害に関するないようですが、現在の日本では著作権を持っている人が訴えなけらば問題はないのですが、TPP参加後は著作権者が訴えるかどうかは無関係に訴訟になってしまうことになります。
どちらも、メリット・デメリットが混在する状態になりますので知的財産権の大幅な変更で起こる問題にも着目しておくべきでしょう。
TPPの日本のメリット
出典: http://www.jftc.or.jp
これほど解決が難しい問題点を抱えるTPPに、日本が参加することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか?さまざまな面から見ていきましょう。
安い商品が購入できるようになるというメリット
出典: http://musyoku-seikatsu.com
関税撤廃が主な目的となるため、当然のことではあるが、輸入製品がこれまでよりも安く手に入るため、国民にとっては、商品選択の幅も広がり、出費を抑えることができるという理由で、大きなメリットになります。
また、関税が撤廃されるため、手続きに対して発生していたコストがなくなるという点でも、商品が安く提供できるようになる理由につながります。
輸出がしやすくなるというメリット
出典: http://sword.egaou.com
日本は輸出国ですので、関税が撤廃されることによって得られるメリットは大きいです。今までより安く商品を海外に提供できることによって、売り上げの向上が期待できるため、日本全体での得られる利益は大きくなります。
ライバル国との競争力におけるメリット
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関税が撤廃されることによって、商品の流通が今以上に過激になりますので、それに対応するために各国企業の競争が激しくなり、それにともなって競争力が上がり、よりよい商品が流通すると考えられています。価格競争も激しくなるので、消費者がいまよりも安く購入することもできるようになるでしょう。
労働力を国外に輸出できるというメリット
出典: http://www.athome.co.jp
国家間の労働力が自由に移動できるようになるため、就職難が解決される可能性があります。日本においては英語教育があまり進んでいませんので、言葉の壁があることは予想されますが、日本国内で働くという以外の選択肢が生まれ今よりも、グローバルに活躍するようになります。
国外に工場を建設できるというメリット
出典: http://k-kankou.jp
日本は製品の製造を海外で行っていることが多くあります。海外で作ることで人権費の削減ができるからです。ですが、現状のルールでは日本の工場を建設できない国が存在しています。TPPに参加することで、今は工場建設ができない国にも、工場建設が可能になり、安い労働力で製品を作ることができるようになるので、生産コストを削減できるようになるメリットがあります。
日本のデメリット
メリットも多数ありますが、もちろんデメリットも存在します。これだけ各国の合意が得られず協議がなんこうしていることからもわかることですが、デメリットが出ないように必死で協議しているのです。
食料自給率が下がるというデメリット
日本は、現在においても食料自給率は高い国ではありません。食料品に関しては、輸入に頼っている国です。関税撤廃によって、安い食料品が輸入されるようになると、農業や漁業などの産業の利益が落ち込み、失業する農業・漁業従事者が増えることが予想されています。
そうなることで、日本で作られる食料はさらに少なくなり結果、食料自給率のさらなる低下を招くことになりかねません。食料自給率が低下し、日本の農業などがなくなってしまった後に、食料品の値段を吊り上げられる可能性も考えられており、深刻な問題の1つとなっています。
食量の安全性におけるデメリット
日本の食糧の安全基準は世界トップレベルといえます。日本で販売の許可を取るためには厳しい基準を乗り越える必要があるため、普段購入している食料品は安全なものばかりです。TPPに参加することで、日本に輸出される食料品には、日本の安全基準をみたしていないものも含まれるため、その危険性が問題視されており、購入する側が危機感をもって食料を選ぶ必要があります。
ISD条項におけるデメリット
ISD条項とは、著作権に関する内容をまとめたものです。先ほど、ご紹介していますが、著作権者が訴える意思がなかったとしても、著作権法に違反していれば訴訟を起こされてしまうことになります。日本では、著作権者が訴えなければ訴訟には発展しませんので、著作権侵害に対する認識が甘いといえます。そのため、著作権に関する訴訟が急増する可能性が予想されています。
日本の農業に与える影響
出典: http://www.nippon.com
TPPが日本の農業に与える影響は深刻であると考えられます。デメリットの部分でも多少、取り上げましたが、日本の農業が壊滅的な打撃を受けた場合には、国民にもその影響が及ぶ可能性は大いにあります。職の安全基準の面からいっても、日本の農業従事者は農薬などに関しても安全なものを使いますし、健康に対する配慮から必要以上の農薬を使いません。
ですが、他国の農業に関しては決してそういうわけではなく、効率重視の農業を行っている国も多くあります。農薬に関しても日本では使用が禁止されているものも使っていますので、安いからと安易に購入するのをおススメできません。
日本の農業に与える影響は、そのまま食の安全に影響を与えると言えますが、日本は国土が限られているため大量生産で対応することも難しく、TPPの関税撤廃の直撃を受けると考えてよいでしょう。
メリットもデメリットもあるTPP問題
出典: http://tunewakishimetaroh.hatenablog.com
複雑に各国のメリット・デメリットが入り乱れているため、交渉が難航しているTPPのことをご理解いただけたでしょうか?基本的には、様々な点を国家間で自由化するという理由とメリットがあるのですが、簡単に自由化しましょうとはいかないのが現状です。
TPPによって自由化されることで、国民一人一人が自覚を持って対処しなければならない面を増えていきます。食の安全面や、著作権など今の日本では日ごろ意識していない内容にも、大きな変化が考えられますので、他人事と考えるのではなく、しっかりとメリットもデメリットも知っておきたいのがTPP問題です。