2021年07月21日公開
2021年07月21日更新
「アオミノウミウシ」の不思議な生態とは?猛毒カツオノエボシの天敵【水族館】
猛毒で知られるカツオノエボシを捕食する天敵がいるって知っていますか?その名も「アオミノウミウシ」、「アオミノウミウシ」はどうやってカツオノエボシを食べるのか?今回は「アオミノウミウシ」の美しいフォルムと生態について詳しくご紹介します!
目次
- 1猛毒を持つ危険なクラゲ「カツオノエボシ」とは
- 2海岸で「カツオノエボシ」を見つけても絶対に触らないで!
- 3「カツオノエボシ」に刺された時はどうするの?
- 4「カツオノエボシ」は水族館で見られる?販売は?値段は?
- 5「カツオノエボシ」の天敵「アオミノウミウシ」
- 6そもそも「ウミウシ」って何?
- 7「カツオノエボシ」の天敵「アオミノウミウシ」の生態
- 8「アオミノウミウシ」はいつも仰向けで泳いでいる
- 9「アオミノウミウシ」の主食は「カツオノエボシ」?
- 10「アオミノウミウシ」の食べ物は猛毒生物ばかり
- 11「アオミノウミウシ」自身にも毒が!
- 12「アオミノウミウシ」は繁殖期がない
- 13「アオミノウミウシ」は共食いもする
- 14「アオミノウミウシ」の見られる水族館は?販売や値段は?
- 15「アオミノウミウシ」のまとめ
猛毒を持つ危険なクラゲ「カツオノエボシ」とは
出典: https://ja.wikipedia.org
「カツオノエボシ」
クダクラゲ目カツオノエボシ科に属する刺胞動物。人の死亡例などもあるほどの猛毒の持ち主です。
正確にはクラゲではないようで、約10cm程度の浮き袋を持っており、中に二酸化炭素をためてその浮き袋で海面を漂っています。
確かに浮き袋だけ見ていると、クラゲの遺伝子が入っているようには見えませんね。
浮き袋から海面下に伸びる触手は10cm~50cmと体に比べて長いです。
生息地は広く分布しているようで、日本でも時期によって差があるようですが、日本中が生息地のようです。
海岸で「カツオノエボシ」を見つけても絶対に触らないで!
出典: http://blog.goo.ne.jp
カツオノエボシは夏の時期に海岸に打ち上げられることもあり、見た目が青いビニール袋のようで美しいので触ってしまう人などもいるようですが、猛毒を持っていますので絶対に近寄らないでください!!
「カツオノエボシ」の毒でアナフィラキシーショックも
出典: http://www.aussie-beaches.com
「電気クラゲ」の別名を持っているように、刺されると電気が流れるような衝撃があり、患部は炎症を起こして赤く腫れ上がり、痛みは長時間続きます。
また、二度刺されるとアナフィラキシーショックを起こし、ショック死する可能性もあります。
「カツオノエボシ」に刺された時はどうするの?
出典: http://blog.goo.ne.jp
カツオノエボシはクラゲに似ていますが、クラゲではありません。
クラゲに刺された場合、お酢で洗うといいとされていますが、カツオノエボシの場合は逆効果です。
お酢や真水で洗うと、その刺激を受けて更に毒が多く出てしまうそうです。
また、真水の場合浸透圧の影響でより毒が回りやすくなることが考えられますので注意が必要です。
「カツオノエボシ」に刺された場合の正しい治療法は?
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まず応急処置としては、患部を45℃のお湯に浸すか氷で冷やすかのどちらかを行ってください。
ただし、刺されたクラゲの種類によっては逆効果になる可能性もあるため、クラゲの種類を確認してから医師の指示に従ってください。
触手などの除去を行う際には、海水で洗い流し、素手を使わずタオルやプラスチックボードなどを利用して触手を抜くようにして下さい。
抜いた後は水や氷水で冷やしてから病院で処置を受けて下さい。
「カツオノエボシ」は水族館で見られる?販売は?値段は?
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不思議な生態を持っている「カツオノエボシ」ですが、見た目はブルーグラスのようで非常に綺麗な「カツオノエボシ」は、水族館で見ることはできるのでしょうか?また、飼育することは可能なのでしょうか?
結論から言えば、展示を行っている水族館は存在します。
ただ、どこでも見られるという訳ではなく、全国でも少数しか存在しません。
水族館での飼育でも難しいので、もちろん家庭用の飼育販売もなく値段もつけられていません。
新江ノ島水族館での「カツオノエボシ」の飼育
出典: https://haveagood.holiday
「カツオノエボシ」を飼育している水族館は大洗水族館、羽鳥水族館や新江ノ島水族館などが挙げられます。
新江ノ島水族館では、2016年に一度飼育を行ったのですが、その時は一か月程度で死んでしまったそうです。
やはり、生態などが判明していないのか、水族館でも飼育などは難しいようです。
しかし、2017年には再び飼育を開始したようで、元気な姿を見ることができます。
是非長生きをしてほしいですね。
「カツオノエボシ」の天敵「アオミノウミウシ」
出典: https://togetter.com
猛毒を持つ「カツオノエボシ」は魚を捕食する側の立場ですが、実はそんな「カツオノエボシ」を捕食する天敵生物が「アオミノウミウシ」です。
「カツオノエボシ」の天敵「アオミノウミウシ」とはどのような生き物なのでしょうか?
その生息地や生態についてご紹介します。
そもそも「ウミウシ」って何?
出典: https://seaslug.world
不思議な形をしたウミウシ、実は貝の仲間なんです。
ウミウシは貝殻が縮小、体内に埋没、消失などした種を総称して呼びます。
同じく貝殻の消失した腹足類のナメクジとは違い、一般的には非常に鮮やかな色をしており、鑑賞用として人気があります。
生息地は主に浅い海の海底で、世界中に生息しています。体長は数mmから20-30cmまで様々です。
今回紹介する「アオミノウミウシ」は、一般的なウミウシと異なり、海面付近を浮きながら泳いでいます。
「カツオノエボシ」の天敵「アオミノウミウシ」の生態
出典: http://world-fusigi.net
ウミウシには見えないほど美しい「アオミノウミウシ」もやはりウミウシには違いないので、大きさは2~6cmと小さめです。
原産はハワイで、生息地は温帯・熱帯の海域で、日本近海でも見ることが可能です。
また、生息地から黒潮に乗って日本列島に漂着することもあるようですが、日本が生息地というわけではないようです。
アオミノウミウシは、ウミウシとしては珍しいのですが、体内に空気をためて翼のようなヒレで海面付近を泳ぎます。ヒレが脚に似ており、外見がトカゲ似ていることから、「sea lizard」と呼ばれることもあります。また、その美しい容姿から「Blue dragon」(青いドラゴン)や「blue Angel」(青い天使)などと呼ばれることもあるそうです。
「アオミノウミウシ」はいつも仰向けで泳いでいる
出典: http://world-fusigi.net
実は「アオミノウミウシ」の背中は真っ白で、写真のような青い模様はお腹側にあります。つまり、「アオミノウミウシ」はいつも仰向けで泳いで(浮かんで)いるんです。
海中から見れば白く、海上から見れば青く見えるため、両方からの保護色となるようになっています。
波などで流されて体が返ってしまっても自力で戻るのだそうです。
そのように遺伝子に組み込まれているのでしょうか?
「アオミノウミウシ」の主食は「カツオノエボシ」?
出典: http://anniversary-event.com
そんな不思議な生態を持つ「アオミノウミウシ」ですが、その美しい姿に似合わず猛毒を持つ「カツオノエボシ」を捕食する天敵でもあります。
「アオミノウミウシ」は、特に解毒などを行わずにそのまま「カツオノエボシ」の触手に食らいつき、口いっぱいに触手を頬張ってぱくぱくと食べてしまいます。
姿に似合わずに非常にワイルドな食べ方ですね。
「アオミノウミウシ」の食べ物は猛毒生物ばかり
出典: http://simantyunori.ti-da.net
猛毒をもつ「カツオノエボシ」を簡単に捕食してしまう「アオミノウミウシ」ですが、そのほかに餌としている生物も実は不思議と猛毒を持つものばかりです。
「アオミノウミウシ」は青く毒を持つクラゲ全体にとっての天敵なんですね。青いクラゲに反応する遺伝子でもあるのでしょうか。
上の写真は「カツオノカンムリ」というクラゲで、「カツオノエボシ」と同じハナクラゲ目の生物で、やはり猛毒を持っており、触手の刺胞に刺されると激痛が走ります。
出典: http://chikaka.exblog.jp
また、そのほかにも「ギンカクラゲ」というクラゲも餌としていますが、こちらも見て分かる通り青く有毒のクラゲです。
日本では2011年10月に、和歌山県の白浜町臨海でギンカクラゲ大量漂着していたことで有名にもなりました。
「アオミノウミウシ」が青く美しい姿をしているのは、食べている生物が同様に青く美しいからなのかもしれませんね。
「アオミノウミウシ」自身にも毒が!
出典: http://www.mutumi-w.co.jp
「アオミノウミウシ」は食したクラゲの刺胞を体に取り込むことができ、ヒレの先端に貯蓄することが可能です。そのため、不用意に触ることは危険だそうです。
綺麗なものには毒があるというのは「アオミノウミウシ」にも当てはまる様です。
「アオミノウミウシ」は繁殖期がない
出典: http://saisyu-vipper.doorblog.jp
「アオミノウミウシ」は猛毒を進んで食らっていくような凄みを持っていますが、一方で体は小さく生存率も高くないため、繁殖には苦労するようです。
「アオミノウミウシ」には繁殖期がなく、毎日数千個にも及ぶ卵を産み続けるのだそうです。
しかし、大量の卵を産み続けたとしても、その中で「アオミノウミウシ」と呼べるまで成長するのはほんの数%、他の小さな海洋生物のように数で繁殖を補っています。
出典: http://webhitode.com
ウミウシはナメクジと似た遺伝子を持っており、雌雄同体のため、仲間が近くにいるだけで交尾・産卵して繁殖することが可能なんだそうです。
「アオミノウミウシ」は共食いもする
出典: https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
「アオミノウミウシ」は複数を一緒の場所に入れていると共食いをすることがあるようです。
共食いをしなくとも、よくつつき合いをすることもあります。やはり獰猛さは遺伝子に組み込まれているのでしょうか。
卵からの生存競争を生き抜いてきているのに、お互いに攻撃し合ってしまうのは遺伝子の不思議ですね。
「アオミノウミウシ」の見られる水族館は?販売や値段は?
出典: http://animalbattles.wealthyblogs.com
「アオミノウミウシ」を現在展示している水族館を探してみましたが、見つけることができませんでした。
「カツオノエボシ」以上に飼育が難しいようです。
「アオミノウミウシ」の餌となるのは主に猛毒を持つクラゲのため、餌のストックがほぼ不可能であり、飼育方法も確立していません。
水族館でも飼育の難しい生物ですので、もちろん販売はされておらず、値段もつけられていません。
もし付けるとしたらかなり高価になることが予想されますね。
安価な値段をつけられ販売されるクリオネ
出典: http://tanrom.net
「氷の妖精」の名で有名な北極と南極を囲む寒流域が生息地のクリオネも一時期非常に人気があり、販売する業者が増えました。
現在でも1000円程度の値段で安易に販売されています。
しかし、クリオネも生態があまり正確には分かっておらず、餌として食べる物も曖昧です。
そのため、きちんと世話をすることが難しいのですが、餌を食べない状態でもかなり長い間生きられるため、餌を与えない状態で飼育されることもあるようですが、そのままにしていてはいずれ死んでしまいます。
生態のあまり分かっていない生物に値段をつけ安易に販売、飼育することはおすすめできません。
「アオミノウミウシ」のまとめ
出典: http://world-fusigi.net
美しい姿をしながらも獰猛で不思議な遺伝子を持つ「アオミノウミウシ」、値段のつけられない希少な存在であまり見ることはできませんが、こんなに美しく不思議な遺伝子を持つ生物が海中に生息していると思うとワクワクしますよね。
シーズンによっては日本に漂着することもあるので、興味があれば探しに行ってみたらいかがでしょうか?