仏極右政党「国民戦線」とは?フランスで絶大の支持率

フランスの政党である「国民戦線」は、女性党首マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党でフランス国内で一定の存在感を見せています。 またフランスのゲイの5人に1人が「国民戦線」を支持しているとも言われ、いろんな意味で目が話せない存在です。

仏極右政党「国民戦線」とは?フランスで絶大の支持率のイメージ

目次

  1. 1国民戦線とは
  2. 2国民戦線の女性党首マリーヌ・ルペンとは
  3. 3マリオン・マレシャル=ルペンとは
  4. 4ブルーノ・ゴルニッシュとは
  5. 5仏極右政党「国民戦線」台頭の背景とは
  6. 6仏国民戦線(FN)だけじゃない!欧州の超極右政党
  7. 7「国民戦線」の支持者って、どんな人々?
  8. 8「国民戦線」の党名が消える?
  9. 9気になる国民戦線内での脱ユーロ思想の行方
  10. 10フランスのゲイの世界で「国民戦線」が人気のワケ
  11. 11仏極右政党「国民戦線」とは?のまとめ

国民戦線とは

出典: http://dic.nicovideo.jp

出典: https://furansunews.com

国民戦線(Front National、FN)とは、地理的にヨーロッパの中心に位置し、2017年現在、
ドイツと共にEU(欧州連合、European Union)を支えるツートップ的存在である、
フランスの政党名で、党首には女性のマリーヌ・ル・ペンが、
ナンバー2の全国代表にはブルーノ・ゴルニッシュが就任しています。

国民戦線(FN)は、
・反EU
・移民排斥
を標榜していることでも有名で、

マリーヌ・ルペン国民戦線党首は、「普通選挙で選ばれていない欧州委員会に従う必要はない。」と主張し、
(イギリスと同様に)EUからの離脱を問う国民投票を実施する必要性を述べています。

ちなみに、イギリスのEU脱退が決まった今、EU予算への負担額を見ると、
トップがドイツの293.7億ユーロで、2位がフランスの232.9億ユーロと続いていて、

(3位がイタリア、4位がイギリス)

もし仮に、イギリスに続いてフランスまでもがEUから離脱することになれば、
EU自体の存続に大変大きな問題が生じることは必至の状況だと思われ、
もう単にフランスの国内問題とは誰も考えていない…日本への影響も大きい?
とそんな状況にあったりします。

また、2005年の移民による暴動が起こってのち、フランス国内では移民に対する感情が悪化していて、
移民排斥を唱える国民戦線(FN)は、移民をよく思わない仏国民の間で、急速に支持率を伸ばしている背景があります。

国民戦線(FN)は、今後どこまで支持を伸ばしていくのでしょうか?

国民戦線の女性党首マリーヌ・ルペンとは

出典: https://blogs.yahoo.co.jp

マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen、1968年8月5日生まれ)とは、
フランスの政治家であり、極右政党である国民戦線(FN)の2代目の党首です。

ちなみに、国民戦線(FN)の初代党首であるジャン=マリー・ル・ペンは、
彼女の父親になります。また、彼が訴えた主な政策は次のようなものでした。

・EUからの離脱
・通貨フランの復活
・移民排斥
・妊娠中絶反対
・治安強化

初代国民戦線党首の娘であるマリーヌ・ルペンも、父親の政策を引き継ぎ、
父親同様、強硬な主張をして支持率を伸ばしていますが、
学校ではいじめられていたらしく、その理由は父親でした。

父が唱える政治思想は、当時のフランス国民からは異端視され、
おかげで娘の彼女は「悪魔の娘」と呼ばれていたそうです。

また、彼女は「妊娠中絶」や「同性愛」を認めていて
父親の主張と娘の主張が異なる点もあったりするようです。

世襲議員である点は、国民戦線(FN)も日本の政党も似ているとも言えますね。

マリオン・マレシャル=ルペンとは

出典: http://topic-station.com

マリオン・マレシャル=ルペン(Marion Maréchal-Le Pen、1989年12月10日生まれ)とは、
フランス共和政史上で最年少の国民議会議員で、国民戦線(FN)党首マリーヌ・ルペンの姪にあたる人物です。

日本と同様にフランスでも世襲議員が生まれているようです。

ちなみに、彼女の母親は、国民戦線(FN)の初代党首であった
ジャン=マリー・ル・ペンの娘(次女、ヤン・ル・ペン、Yann Le Pen)です。

マリオン・マレシャル=ルペンが10代の娘時代には、
移民2世で第23代フランス大統領まで登りつめたニコラ・サルコジに興味をおぼえ、
彼の集会に行ったりしていたらしいですが、その後関心が無くなり、
18才で国民戦線(FN)に加入することになります。

また、フランスのEUからの離脱問題については、マリオン自身も
「もしマリーヌ・ルペンが大統領に選出されればフランスはEUを離脱するだろう」
と述べ、イギリスに続いてフランスもEUから離脱する可能性について述べています。

※その後、マリーヌ・ルペン国民戦線党首は、大統領選で敗北を喫しました。

ブルーノ・ゴルニッシュとは

国民戦線(FN)を語るうえで忘れてはならないのがブルーノ・ゴルニッシュです。

ブルーノ・ゴルニッシュは、国民戦線(FN)創始者であるジャン=マリー・ル・ペンの懐刀的な存在で、
ジャン=マリー・ル・ペンが党首の頃は、党のナンバー2にあたる「全国代表代理」に就任していました。

彼(ブルーノ・ゴルニッシュ)は、第2代国民戦線党首を決める際に立候補して、現党首のマリーヌ・ルペンと党首の座を争いますが破れてしまいます。

その後、マリーヌ・ルペン党首の時代に副党首を務めたこともありますが、いまは役職には就いていません。

彼(ブルーノ・ゴルニッシュ)に注目する理由は、彼が"超"が付くほどの親日派であることです。

日本の京都大学に留学経験があり、日本語に堪能で、日本人の女性と結婚し3人の子供をもうけ、
年に1回は来日するとのこと。

ちなみに、彼(ブルーノ・ゴルニッシュ)が、国民戦線(FN)の幹部をつとめている頃、
国民戦線(FN)の移民政策は、日本をモデルにしていると公言していました。

彼(ブルーノ・ゴルニッシュ)は、国民戦線(FN)の活動の他にも、
大学で日本についての講座を持ち、天皇制についても日本国民を凌駕するほどの識見を持ち、日本文化全体に精通しています。

↑妻が日本人で日本語を話すブルーノ=ゴルニッシュ「国民戦線」欧州議会議員 2017/6

ブルーノ=ゴルニッシュ氏は、本当に日本語が堪能で驚きです。

仏極右政党「国民戦線」台頭の背景とは

出典: http://blog.livedoor.jp

フランス国内で急速に支持率を伸ばしている国民戦線(FN)ですが、
その背景には、

・2005年パリ郊外暴動事件に端を発した仏国民の移民に対する嫌悪感、とともに
・EUに対する仏国民の不信感

も理由の1つになっていると一般的には解説されています。

確かに、極右政党の台頭は、フランスに限ったことではなく、
ヨーロッパ全体に見られる現象になっています。

例えば、最近では欧州議会選挙でも極右の躍進が見られました。

ヨーロッパ各国の極右政党が掲げる主張の中で、
共通して見られる問題は、

・EUに対する拒絶
・単一通貨ユーロからの脱却、です。

そして、この2つの問題の根底にあるのは、
誰もとめられない深刻な"貧困化"の現実があります。

かって、極右政党といえば、ナチスをイメージさせる制服を着たり
旗を掲げたりして、一般市民からは距離を置かれる存在でした。

しかし(今から思えば)それらは古き良き時代の極右であり、
現在はそんな外見を気にする余裕など無くなってしまった感があります。

まさに、EUの拡大とグローバリゼーションという大波から、
立ち直れない程の打撃を受けた一般国民の間にも浸透したことが、
「国民戦線」(FN)はじめ各国の極右政党が台頭した背景であると言えます。

日本国民も他人事ではないかも知れません。

仏国民戦線(FN)だけじゃない!欧州の超極右政党

出典: http://www.iefimerida.gr

国民戦線(FN)などの超極右政党はフランス以外の国民の間でも支持を伸ばしています。

代表的な超極右政党は以下のとおりです。

・イギリスの「連合王国独立党(UKIP)
・オーストリアの「自由党(FPӦ)」
・ハンガリーの「Jobbik」
・ギリシアの「黄金の夜明け」
・イタリアの「北部連盟」
・フィンランドの「真正フィンランド人党」
・ベルギーの「Vlaams Belang」
・オランダの「自由党(PVV)」
・デンマークの「デンマーク人民党(DF)」
・スイスの「スイス民主党(DS)」
・スロヴァキアの「スロヴァキア国民党(SNS)」
・ドイツの「国民民主党(NPD)」

(参考)
・日本の「日本第一党」

「国民戦線」の支持者って、どんな人々?

出典: http://blog.goo.ne.jp

「国民戦線」(FN)は、他の政党に比べて若い層から支持を集めている、という特徴があります。

フランス世論研究所(Ifop)が実施した調査では、
18~24歳の投票した国民の実に4割弱がマリーヌ・ルペン氏率いる「国民戦線」(FN)を支持した、という結果が出ました。

これは、フランス国内の若年層の失業率が25%と、
EUの平均を遥かに超える高い数字になっていることが主な原因となっています。

フランス国民全体の数字と比較しても、
約2倍以上の失業率と深刻な数字になっています。

日本の失業率は3~4%といった所でしょうか。

「国民戦線」の党名が消える?

今まで見たように、近年、躍進を続けてきた「国民戦線」(FN)ですが、
2017年の大統領選と国民議会選での敗北をきっかけに、党改革の動きも出てきています。

この象徴的な作業として、党名を変更することでイメージを新鮮なものにしたい
という狙いがあるようです。

確かに「国民戦線」の"戦線"という部分は、人々に恐怖を連想させ古臭いイメージがつきまとうのは否めないです。

父親が創設した歴史ある党名を、娘が消し去ってしまうのでしょうか?

気になる国民戦線内での脱ユーロ思想の行方

出典: https://fx-works.jp

大統領選の敗北で、党改革の動きも出てきている「国民戦線」(FN)ですが、

・脱EU
・脱ユーロ

政策の今後は一体どうなるのでしょうか。

ちなみに「国民戦線」(FN)のニコラ・ベイ幹事長は、
「大部分の有権者が納得していない考えです。ですから我々は、そうしたことを考慮に入れない訳にはいかないでしょう」

と述べて、「脱ユーロ」議論についても変更される可能性を示唆しました。

日本国民としてもしっかり注目していく必要があります。

フランスのゲイの世界で「国民戦線」が人気のワケ

出典: http://xn--qckr6eoh5ijz3cze8240gt1ta.com

マリーヌ・ル・ペン党首が率いる「国民戦線」(FN)は、
同性愛の有権者から多くの支持を集めている、という調査結果があります。

しかし、現ル・ペン党首の父親であり初代国民戦線党首のジャンマリー・ル・ペン氏は、
同性愛者を生物的な変異だと発言したこともあります。

また、娘である現マリーヌ・ル・ペン国民戦線党首自身も
公約の1つに、同性愛者の結婚を認める法律の廃止、を掲げています。

では、なぜ?そんな公約を掲げる国民戦線」(FN)が、
同性愛の有権者から多くの支持を集めているのか?

その答えは、今のフランスには同性愛の問題より優先すべき問題が山積みになっている、
ということのようです。

また、国民戦線」(FN)は、他のどの政党よりも党幹部に同性愛者が多いことも、
ゲイの世界で「国民戦線」が人気の理由になっています。

仏極右政党「国民戦線」とは?のまとめ

出典: http://www.newsweekjapan.jp

これまでマリーヌ・ル・ペン党首が率いる「国民戦線」(FN)について見てきましたが、
"極右政党"というコトバの意味が、時代とともに変化していることが分かります。

かっての極右政党といえば、ナチスドイツなどのファシズムを理想化する、
一部の国民の熱狂者の集団というイメージがありましたが、

現在の「国民戦線」(FN)などの極右政党は、グローバリゼーションの波からこぼれ落ち、
誰からも相手にされない人々に対して真剣に向き合う、稀有な存在になっていることが、
多くの国民から支持を集めている理由になっていると考えることができます。


 

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