「ペットボトルキャップ回収寄付」は詐欺だった?エコキャップ活動の裏側

「ペットボトルキャップ回収寄付」はエコキャップ推進協会によって至る場所に回収ボックスを設置してペットボトルキャップの寄付・回収を行っていました。しかしペットボトルキャップの回収は中止になってしまいました。その理由とエコキャップ活動の裏側に迫りました。

「ペットボトルキャップ回収寄付」は詐欺だった?エコキャップ活動の裏側のイメージ

目次

  1. 1エコキャップ推進協会によるペットボトルキャップの回収
  2. 2ペットボトルキャップの回収とワクチン寄付のシステム
  3. 3エコキャップを寄付する方法
  4. 4エコキャップ回収の換金額
  5. 5エコキャップ推進協会のリサイクル事情
  6. 6ペットボトルキャップの回収とワクチン寄付はしてなかった!?
  7. 7エコキャップ推進協会は詐欺?
  8. 8詐欺か!?寄付しなかった理由
  9. 9エコキャップ推進協会の現在
  10. 10ペットボトルキャップの回収とワクチン寄付:まとめ

エコキャップ推進協会によるペットボトルキャップの回収

出典: http://www.yonegym.jp

企業や店舗などの至る場所でエコキャップ回収ボックスを目にします。これは一般の方々から使用済みのペットボトルの蓋を寄付してもらって業者が回収・換金しアフリカの子供達が使用するワクチンの費用に当てることを目的としています。

このエコキャップ回収は一見するととてもクリーンな活動の様に思えますが、実はその裏でとんでもないトラブルが起きていました。
なんとペットボトルの蓋の回収を行っている業者「エコキャップ推進協会」がペットボトルキャップを回収・換金しているにもかかわらずワクチンの費用に当てていなかったのです。
今回はそんなペットボトルキャップ回収のシステムとエコキャップ推進協会の詐欺行為?についてご紹介します。

ペットボトルキャップの回収とワクチン寄付のシステム

ペットボトルの蓋の回収によるリサイクルと寄付の流れをご紹介します。

回収ボックスのある場所で寄付できる

ペットボトルの蓋を回収するボックスはエコキャップ推進協会を始めとする各リサイクル業者によって会社や店舗などの至る場所に設置されています。
回収ボックスに溜まったペットボトルの蓋はリサイクル業者によって回収されリサイクル資源として換金されます。換金された金額はUNICEF(ユニセフ)と連携しているNPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」に寄付されます。
寄付されたお金によってユニセフはワクチンを製造して世界各国のワクチンを必要としている子供達に接種されます。

ペットボトルの寄付・回収の流れ

つまりペットボトルの蓋は一般市民→回収ボックス→リサイクル業者→換金されてJCV→ユニセフ→ワクチンになって世界各国へという流れになります。

エコキャップを寄付する方法

ペットボトルの蓋を寄付するためには様々な方法があります。

様々な場所に回収ボックスがある

一番簡単な方法は回収ボックスを利用する方法です。回収ボックスは主に企業や店舗や公共施設など多くの場所に設置されています。
回収ボックスが近隣に見当たらない場合はリサイクル業者へ直接寄付する方法があります。ちなみにJCVはペットボトルの蓋の回収を行っていませんので注意して下さい。

リサイクル業者に直接寄付する場合はペットボトルのキャップの引き渡し方法がいくつかあります。ペットボトルのキャップの回収方法は「自宅まで回収しに来てもらう」「リサイクル業者へ持ち込む」「郵送で送る」などがあります。どのような引き渡し方法が良いかは各リサイクル業者へ問い合わせて下さい。

リサイクル業者が回収したペットボトルのキャップはリサイクル素材として換金され、お金がJCVに寄付されます。この時に領収書が発行されますがJCVはリサイクル業者宛の領収書しか発行しません。
もしペットボトルのキャップを寄付した方が領収書を欲しい場合は各リサイクル業者に問い合わせする必要があります。
ただし自分でペットボトルのキャップを換金して直接JCVに寄付した場合は、JCVから領収書を貰うことが出来ます。

エコキャップ回収の換金額

ペットボトルキャップの参考金額

ペットボトルのキャップは家電などのプラスチック製品を製造する際のリサイクル素材として使用できるので、キロ単位で売却して換金することが出来ます。
ペットボトルのキャップは約2キロ(860個分)で20円相当のポリオワクチン1人分になります。

エコキャップ推進協会のリサイクル事情

エコキャップ推進協会はエコキャップリサイクルの最大手業者として知られていましたがとんでもないトラブルを巻き起こしてしまいました。

エコキャップ回収事業の大手

出典: https://www.eco-ring.com

エコキャップ推進協会は2007年にNPO法人として設立され、これまで本部である横浜を中心に様々な場所でリサイクル運動を行ってきました。エコキャップ推進協会がこれまでに回収したペットボトルのキャップは約123億個にも及ぶと言われています。

ペットボトルのリサイクルの立役者

出典: http://www.nakamura-sika.net

エコキャップ推進協会はペットボトルのキャップをリサイクル資源として換金し、その金額をJCVに寄付する事によってワクチンが製造されていました。
エコキャップ推進協会がリサイクル運動を始めた当初は年間約52,000円程度しか集まりませんでしたが、年月を重ねるごとに年間89万円、760万円と次第に増えていきました。
そして2012年にはなんと3500万円もの寄付金を記録しました。

キャップの寄付・回収によって救われた子供達

出典: http://sojanow.com

ポリオワクチンを製造するには1人分が20円相当となり、ペットボトルのキャップの数で換算すると860個になります。これを2012年の寄付金3500万円で計算すると約175万人の子供達に向けてワクチンを製造したことになります。

多大な功績があったが

出典: http://www.takumi-inv.com

この様にエコキャップ推進協会は年月を重ねてペットボトルキャップの回収を続けて褒められるべき功績を残しました。しかしエコキャップ推進協会にはとんでもない事実が隠されており、JCVとの摩擦を引き起こしてしまいました。

ペットボトルキャップの回収とワクチン寄付はしてなかった!?

リサイク事業で詐欺行為!?

ペットボトルのキャップのリサイクルにより素晴らしい功績を残したエコキャップ推進協会ですが、なんと2013年以降の2年間はJCVに一切寄付をしていなかったのだそうです。
ちなみにエコキャップ推進協会はその2年間もエコキャップの回収を続けて換金額9100万円を記録しています。

詐欺行為にJCVも怒り心頭

出典: http://www.hirokimusic.com

それまでは毎年しっかりJCVに寄付していたエコキャップ推進協会ですが、2013年以降に全く寄付をしなくなったせいで腹を立てたJCVはエコキャップ推進協会へ内容証明を送りつけています。
またJCVはその内容証明の文面をホームページ上に掲載することでエコキャップ推進協会に対する怒りを露わにしました。

JCVの内容証明

出典: https://www.rios.co.jp

JCVの内容証明の中身は

「JCVに寄付するという名目でリサイクル活動をしていたにもかかわらず、平成25年9月1日から平成26年8月31日までの期間で一度も寄付がされておらずこちらからの問い合わせにも一向に返事をしてくれない。」

という物でした。これによりJCVはエコキャップ推進協会に対してリサイクル金額を寄付しなかった理由を説明するようにと申し出ています。またこの内容証明が世間に公開されてからエコキャップ推進協会は詐欺呼ばわりされるようになってしまいました。

エコキャップ推進協会は詐欺?

ペットボトルのキャップを回収してリサイクル資源として換金していたにもかかわらず、1年間JCVへ一切寄付していなかったエコキャップ推進協会は世間から「エコ詐欺」と呼ばれ激しく非難されました。

ペットボトルキャップの虚偽報告

出典: http://www.kameyama-mie.jp

しかしエコキャップ推進協会はエコキャップ回収ボックスを設置していた小中学校には「回収したペットボトルのキャップは〇〇人分のワクチンになりました。」という偽の受領書を送付していました。
これにより偽の受領書を受け取っていた学校側は「騙された」と憤りを露わにしました。

エコキャップ推進協会の矢部信司理事長

出典: http://hamarepo.com

寄付金の未払いが発覚してからエコキャップ推進協会の矢部信司理事長は「説明不足を率直にお詫びしなければなりません。」と平謝りをしました。そして本来寄付されるはずだった9100万円の行方についても説明しました。

詐欺か!?寄付しなかった理由

出典: http://blog.livedoor.jp

ペットボトルのキャップを回収し、リサイクル金額を1年間JCVへ寄付しなかった理由を説明する際にエコキャップ推進協会の矢部信司理事長は「決して私腹を肥やしていたわけではない」と説明しています。

ワクチン寄付だけでなく障害者支援も

出典: http://ganbaremmc.exblog.jp

エコキャップ推進協会は設立当初からJCVの寄付以外にも障害者支援事業へも寄付していました。未払いがあった時期は1900万円をその障害者支援事業へ充てていたと話します。しかしこのことはあまり世間に認知されていなかったそうです。
またエコキャップ推進協会はそれ以外にも東日本大震災が発生した際は被災地に対して4000万円を寄付しています。

エコキャップ推進協会の現実

出典: http://korekalife.net

矢部理事長の説明はさらに続きます。ペットボトルキャップの回収によって得た金額は寄付以外にも人件費に充てていたのだそうです。矢部理事長曰く、エコキャップ推進協会はスタッフ13名が平均年収300万円以下の状況で働いており以前はもっと酷かったのだそうです。そのためスタッフの待遇面を改善するべく人件費に3900万円を費やしたのだそうです。
またエコキャップ配送キットの運用を任せていた企業が破たんしてしまい、その後処理をするために2000万円以上の出費が必要になってしまったとも語っています。

JCVも悪い!?

出典: http://ecocap.or.jp

さらに矢部理事長はJCVに対して反対意見も述べました。
エコキャップ推進協会は資金繰りで問題が発生したため寄付を中断していたにもかかわらず、JCVは弁護士と共に寄付を強要するような態度を示してきました。
しかしエコキャップ推進協会はJCVと信頼関係で成り立っているだけで下部組織ではありません。そのため矢部理事長は「いくら寄付が滞ったからと言って、昨年と同様に寄付しろと要求するのはおかしい」と述べています。

7割の寄付金を失ったJCV

出典: http://waseda-nokotsudo.jp

実際にそれまでJCVが各リサイクル業者から受け取っていた総額の内7割はエコキャップ推進協会によるものでした。そのためエコキャップ推進協会の寄付が滞ってしまったらユニセフへの寄付が7割も失われてしまう事になります。そうなるとJCVはユニセフへの示しが付かなくなるため、焦ってエコキャップ推進協会に内容証明を送り付けたものと思われます。

エコキャップ推進協会の現在

リサイクル金額の未払いやJCVとのトラブルを引き起こしたエコキャップ推進協会ですが、現在も至る場所に回収ボックスを設置してリサイクル活動を継続しています。しかし内容証明の一件があってからエコキャップ推進協会はJCVではなく別の団体を通じてリサイクル活動を継続しています。

JCVの現在

出典: http://fujii-kakou.co.jp

一方でJCVは7割の寄付金を失った事になるので独自のワクチン支援方法を模索しています。今回の一件は十分な説明をしないまま寄付金の支払いが滞ってしまったエコキャップ推進協会に問題がありますが、それに対して必要以上に強気な態度を示してトラブルを巻き起こしてしまったJCVにも問題があったと言えるでしょう。

ペットボトルキャップの回収とワクチン寄付:まとめ

いかがでしたでしょうか。ペットボトルのキャップをリサイクル資源にしてワクチンを提供するという活動は素晴らしい事ですが、それを運用していくことはとても難しい事であることが分かりました。
エコキャップ推進協会は別の支援活動をしていたものの肝心なワクチン製造への援助は滞ってしまったため多くの信頼を失いました。
もしかしたらペットボトルのキャップ回収を行っている別の業者も、リサイクル金額をワクチンではなく別の目的で使用してしまっているかもしれません。

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